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#771 障害をものともせず頑張る、うちの職場のみっちーの話

別にこの話を美談にするつもりもないですが、備忘録として残しておこうかと思います。

昨年、目に障害を持つ子が面接に来ました。

障害と言っても全盲ではなくて、ギリギリ見えるくらいの障害です。とは言え10cmくらいに近づかないと見えないので、見えてないと言えばそうも判断できます。全てがぼんやりと見えるらしいです。

面接では色々と話を聞きました。

将来何をしたいのか?から、障害がある上でどう頑張るつもりなのか?など突っ込んだ内容まで。将来はカフェを開きたいということだったので、結構ハードな人生になるだろうね、、ということまで、相談じみたことも話しました。笑

色々と話を聞いてみる中で、流石にそこまで視力が弱いと、うちのような飲食サービス業(ローカルカフェチェーン)では厳しいかもな…と思っており、お断りしようかと思っていた矢先、、

「たくさん面接をしてきたけど、どこも雇ってくれず…」

という言葉を聞きました。

普通に考えたらその結果は当然だと思いました。対面の接客においても、調理においても、視力が極端に弱いというのは成長のスピードに大きく関わってきますし、大きな失敗に結びつくかもしれない。

外から見ても目が寄っているのでなんらかの障害がありそうなことはわかります。お客様を少なからず不安にさせてしまうかもしれません。一緒に働くスタッフにも負担がいくかもしれません。

僕はさっきの言葉を聞いて一度息を深く吸い、ゆっくりと吐きました。その短い時間で目の前の彼がやっていけるか、もう一度考えたんです。

でも難しいなと思いました。どう考えても不安が大きい。難しいなと思って口を開きました。

「じゃあ、試しにうちで働いてみたらいいたい。」

と。



難しい。けど無理ではない。

勢いで言っちゃった感はありますが、そこら辺はちゃんと算段がありました。

絶対に難しい。でも僕はまだやったことがない。

やったことがないことに絶対はない。ただ単に難しいだけかもしれない。ならば一度やってみようという結論になりました。

それに、いいやつだったんです。誠実そうだし嘘をついたり陰口を言ったりすることがなさそう。何より一生懸命頑張りそうだなと思いました。

僕の考えとして、どんなに仕事ができても性格が悪い奴とは働かないと決めています。しかし、性格が良ければ少しくらい仕事ができなくても雇うようにしています。

僕らはチームで動いているので、変な話、個々人の力が小さくても、チームとしての総和が大きくなりさえすればいいんです。(もちろん、個々の力が大きければより良いですが)

面接に来た店舗もモーニングビュッフェの会場なので、お客様との接点は比較的少なめです。
とりあえずこの店舗で働いて、少しずつ成長して最終的にフルサービスの店舗で働くという流れをつくれば、問題ないかと思いました。

また、面接に来たそいつはみんなから応援される素質があると思いました。

応援される素質はここ最近最も重要視している要素の一つで、チームワークと思いやりの源泉でもあり、良いチームづくりに欠かせない要素だと思っています。
#自分が1番応援される人になるようにしています

それに僕の考えをみんな知っており、彼を入れることに関して異論を唱える人はいないと思っていました。

何よりも、自分自身全力で応援すると決めたので、大丈夫だと思ったんです。

とはいえ彼の行動までコントロールできるわけではなく、最終的に彼の頑張り次第になりますが、支えてくれる人がたくさんいるので、うちの職場であれば大丈夫だろうと踏みました。

ただ、彼が全盲だったら受け入れは難しかったでしょう。うちの職場にはその状態で働ける場所がまだないからです。彼の目が少なからず見えていたことが採用に繋がったのは事実です。



社会は健常者を基準に作られている

歳は18も離れていますが、みっちーなんて呼んでます。

そんなみっちーにいつもこんなことを言ってます。

「残念なことに、社会の仕組みは健常者を基準に作られているから、障害がある分下駄を履かせてぬるま湯に浸かってもらうつもりはない。社会に出れば、障害の有無は関係ないし、容赦ない競争社会に身を置くことになる。だから、ハンディキャップがある分、もし夢を実現させたいのなら、健常者よりもたくさん努力しなくてはならない。超激アツの熱湯風呂だ。ただ、どんなに努力しても、やっぱり健常者には敵わないことがあるかもしれない。でも、君の強みを発揮するポジションや、発揮の仕方は必ずある。一緒に勝ち筋を探っていこう。」

ジジイの念仏か、と思われるかもしれませんが

「はい!頑張ります!」

と言ってみっちーは応えてくれます。

そんなみっちー、今ではずいぶん作業が早くなりました。

雇った当初は、洗い場をやるにしても、めちゃくちゃ遅かったです。

そんなみっちーに僕は「体が動きを覚えたら、そんなに目が見えなくても動きは速くなるから」なんて言っていました。そしたら、本当に速くなりました。

「本当にそんなことできるんだね。笑」なんておちょくりながら、みっちーの成長のために、全力でフォローしています。職場のみんなも、フォローしてくれます。

とはいえそう簡単にはいきません。失敗も多いです。たまに鼻血を出すので心配です。(ちゃんと病院で診てもらってます)これから接客にも挑戦してもらうので、たくさん失敗するでしょう。

でもみっちーが挑戦し続ける限り、成功できると信じています。それだけの素質が彼にはある。絶対に大丈夫です。



いろんな人が働けるし頑張れる世の中を作っていきたい

今までの人生で、いろんな人と働いてきました。自分自身は何の障害もなく産まれることができましたが、そうではない人もたくさんいます。自分の職場で受け入れられる範囲でいろんな人が働くことができる環境を作っていきたいと思っていますし、頑張りたい奴が頑張れる、そして成長して評価される。そんな世の中を作っていきたいと思っています。

『できるかできないかでできるかどうかは決まらない。やるかやらないかが重要だ。やった結果のフィードバックを受けて、成功に向かって改善のサイクルを回し続けること。』と常に自分に言い聞かせて今日も頑張っています。


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