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【書評】『趣味は何ですか?』

その日、私はある講演会に招かれていた。 

「インタビューの極意」という題目で話をしてほしいという依頼だったので私はノンフィクション作家として、インタビュアーは先入観を持たないほうが良く、頭も真っ白な状態で臨んだほうが話は盛り上がる、などと語った。

通常、講演会というものは大半の人が居眠りをしていたりするのだが、
その会は人数が少なかったせいか、皆さんが熱心に耳を傾けてくれた。

 おかげで私はいい気分になって、講演をを終えようとすると、
 一人の女性が手を挙げてこう質問したのである。

 「”先生のご趣味は何ですか?”」

 しゅ、趣味? 一瞬、頭が真っ白になった。

まさに先入観も練りもなさそうな質問なのに、
答えるほうの私が真っ白になってしまった…
(趣味は何ですか?序文 作者 高橋秀実) 

どうもこんばんは。 とみやんです。
(多分1年ぶりの投稿)

 仕事が落ち着いて、
日常に余裕が生まれた時、
 突如として現るる、もはや問題ともいえる贅沢な悩み。 趣味。

 「何か趣味でも始めてみようかな~?」と
検索窓に安直にも 「2020 趣味 オススメ」とかなんとか
繰り返し入力しているうちに、
気が付けば検索履歴がスクロールしないと昨日分までたどり着けないほど、調べつくしたことはありませんか? 

僕はあります。

 思い返してみれば、 
趣味との出会いは、履歴書の『趣味・特技』欄。 

今にして思えば、なんて書いたのか覚えてすらいない。
(きっと映画鑑賞とか当り障りのないことを書いたのだろう)

 これを読んでくださっているあなたも、
 「趣味は何ですか?」と聞かれたとき

① 「特にないかな~?」で終わる
② 「う~ん」と考えて「強いて言えば~」で答える
③予め準備していた当り障りのない趣味を答える

の3種に当てはまったことがあり、
 今でも”自分が何をやりたいのかわからない”という状態かもしれません。

 そもそも、趣味を持つ必要があるのか? 

仕事が充実していれば必要ない。
などの考え方もあるでしょう。 

僕も今でもこのような考え方の持ち主なのですが、 逆に

 「趣味を楽しむとはどういうことなのか?」
「そもそも趣味とは何なのか?」
 「仕事以外で趣味を楽しんでいる人はどんな人たちなのか?」

 と興味もあったわけです。 

そこで手に取ったのが 今回ご紹介する「趣味は何ですか?」という本です。
趣味は何ですか?

この本は冒頭での出来事の後に 趣味とは何なのか、
ノンフィクション作家である著者が、
趣味に没頭する人たちにインタビューして出来上がった本です。

 以下、インタビューした趣味一覧

①官僚は『鉄道』と『竜馬』
② マニアの苦悩『航空無線』
③固めの愛 男は『蕎麦』女は『ヨガ』
④スタンプ巡礼『八十八か所巡り』『切手・消印・手相』
⑤地球にやさしく『エコ』の醍醐味
⑥備えよ常に『楽しい防災』
⑦『カメ』になった人々
⑧本当は冷めている『芸能ファン』『ゲーム』『ラジコン』
⑨ひとりで『ボウリング』
⑩時間つぶしの作法『武士道』『階段』
⑪田舎の時間割『ウォーキング』『茶道』『ガーデニング』
⑫『登山』の心得 

10番の「階段」は「怪談」ではありません。
 階段です。誤字ではありません。
英語でstairs。
 つまり、フロアとフロアをつなぐ段差に味を感じ、
 生きがいにしている人がいるということです。

趣があることを味があると表現するなら趣味は味です。
趣味は文字で言えば、”味味”です。
人生を楽しむための趣味なら、人生の味なのでしょう。

 あまり役に立たないかもしれない。

 この本は、
画期的なマーケティング手法や洗練されたコミュニケーション術、
偉大な大富豪のマインドも、
パラレルキャリアやハイブリッドサラリーマンの何たるかなど、
 あなたの仕事に役立てられそうな情報は何1つ書いていないかもしれません。 

ただ、
理想のキャリアを実現するためであれ、
新たな可能性を見つけるのであれ、
人との新しいつながりを求めたのであれ、

何にせよ、
最終的な目的は人生を楽しむために行動しているのだと思います。。

 遠回りかもしれないけど、
その一助になる良書だと思います。

個人的には筆者のシュールな言い回しがツボで、
読んでいて飽きませんでした。 

kindle版なら500円でお気軽に買えます。

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