#24《登校拒否》テニスを辞めた時の話
ピアノ発表会練習での不安が強い様子を見て、
学校だけじゃないとわかり、
ますますテニスのことが気になってきた。
あれをすぐに辞めさせてあげてれば良かったんじゃないか、、、?
テニスを習ってた期間は、年長の終わり~小1終わりまでの1年間。
夏ごろから辞めたそうではあった。
夏の終わりの試合で勝ちゲームもあり、自信がついた。
乗り気じゃなかった試合、
勝ったり負けたりしながら、途中からみるみる表情がかわっていった。
帰り道はテニスが楽しくて仕方ない様子だった。
冬が近づいてきたころからだったか、
「行きたくない」
と言う日が増えてきた。
何度か休ませたこともあり、
その時にコーチに
『自分だけ上手くできない』と口にしてること、
私は無理やり引っ張ってくることはできない。
ってことをと話した。
メンバーは3人で男の子くんだけ後から始めたこともあり、まだ他の2人についていけないところが多いので、
男の子くん用のメニューを組み込んでくれて、
その後はテニスに行けば「楽しかった」と言っていた。
学校から帰ってきて
「テニスやだーーーー」
って毎週言う。
でも、行けば
「楽しかった」
と言う。
この繰り返し。
コーチからは、
お母さんが優しすぎる、甘やかしてるのでは?
このままでは将来が心配
ガツガツ行かないとダメ
男なのに社会でやっていけない
という内容を、もちろん↑こんなにストレートにではなく、「彼のために」という切り口で言われた。
優しすぎたり、ガツガツ行かないタイプの男の子くんだから、こんな風に関わってくれるのは男の子くんにとって一皮むけるチャンスかも。と思ってた。
(当時は元気だったしね。今の男の子くんからは考えられないが、スポーツ系の幼稚園で、毎日の走り込みやあらゆるスポーツを体験して、色んな試練を乗り越えて卒園した直後だし。)
そのうち、木曜日(テニス教室の日)の朝に起こすとすぐに
「テニス行きたくない」
と泣くようになった。
これからとりあえず学校なのに、その後の夕方のことを、朝起きた瞬間から不安に思うってことに驚いた。
コーチと私との会話で気になることがあった。
コーチはとても熱心で、話してるとイチローとイメージが重なる。
もちろんイチローのことは一般的に世の中の人たちが知り得る情報しか私も持ち合わせていないが、
目つきのするどさ、ストイックさ、気持ちの浮き沈みよりも“やるかやらないか”みたいな考え方、こういったとこからだ。
基本的に言ってる内容には賛成だったのだけど、
ひとつだけどうしても忘れられないことがある。
コーチは毎回練習終わりに保護者に練習の状況を話してくれる。
その時に、
「彼、大丈夫ですか?ちょっと心配ですよ。」
(ここまでは以前からよく言われていた。良いところもたくさんあるのに、このコーチには伝わらないなぁと思ってた)
「『お前男だろっ、チンチンついてんのかーっ?』って言ったら、『ついてないよ~』って笑ってましたよ。」
私はその瞬間、とっても違和感を感じた。
男の子くんはおちゃらけて笑いをとるタイプじゃない。
言葉や空気感は敏感にキャッチする方だから、言われてる内容やバカにされてる雰囲気もきっとキャッチしてる。
そこで笑って答えてる?
たぶん、そうしないと自分の心が保てない、泣いてしまう。。。そんなところだろうと思う。
しかしコーチからのこの発言を受けた瞬間は違和感はあったものの、ここまで言語化するほどの脳ミソは持ち合わせていないため、
『優しい子なんで、、、すみません。』
(へらへらっと笑ってたと思う)
その後のコーチの言葉にもまた絶句した。
『まぁ、ジェンダーレスの時代なんでね。』
え?
男として認めないの?
『ちんちんついてんのかー?』
って、ちんちんついてるでしょ!男ならもっと頑張れっ!って、励ましてるんじゃないの?
男の子くんが本当に女子の心を持っていて、それを男の子くんも認めていて、まわりにそれを理解してほしいって思ってるならそれでもいいんだけど、
そうじゃないのに、親にそんなこと言うの?
なんて失礼な人なんだろう、このコーチ。
男の子くんには他にどんな言葉を投げ掛けたんだろう?
私に伝えたこのやりとりはきっとほんの一部分。
男の子くんにとって心が壊れるやりとりがあったんじゃないか???
って、思ってしまう。今となってはね。
このときは、
このコーチとは合わないな。って確信はしたけど、
不登校や今の不安に包まれてる男の子くんの未来ことなんて知る由もないので、
不信感を抱きつつも、怒り狂って即退部だー!なんてことはせず、
小1の3月の区切りで辞めるのは確定だな。
くらいに思っていた。
テニスが終わったあと、
「やっと終わった、これで一週間行かなくていい」
と漏らしたことがある。
朝泣くけど、とりあえず学校行ったら気分も紛れてテニスに行けてたけど、
そのうち、夕方帰ってきたら
「嫌だ、行きたくない」
と泣いて泣いて泣きつかれて眠ってしまう。
ここまで嫌がるのは初めてで、休ませるようになる。
コーチに現状を伝える。
『上手くなる子はお母さんが無理やりにでも引っ張ってでも連れてくる。』
『男として将来、社会に出てやっていけない、苦労することになる』
今となっては、男の子くんにこんなの耐えられるはずがないだろうと思うけど、
当時は、男の子くんをここ(テニス教室)に連れてくる厳しさが足りない自分がダメなのか?
だから男の子くんはこの試練を乗り越えられないのか?
と考えたり、
ここに書く言葉としては短いけど、30分以上も熱く男の子くんのために語ってくれるコーチのことをありがたいとも思ってたし、
家に帰ってコーチの思いを男の子くんに伝えた。
「来週は行く」
と言ってたけど、当日になるといつもの同じパターンで、結局それからテニス教室に顔を出すことすら出来ず、
コーチには母の役不足を詫びて退部届けを出してきた。
これが小1の終わりの
「学校行きたくない」
が始まった時期と重なる。
他に原因があって、テニスがきっかけになっただけかもしれないし、
原因がわかったところで、男の子くんが元気な元通りの姿に戻るわけでもないし、
コーチのせいとか、意地悪なクラスメートのせいにしたいわけでもない。
ただ、男の子くんの気持ちに寄り添いたいだけ。
人生はABテストが出来ないから、
もしあの時テニスをすぐに辞めさせてたら?
なんて考えても仕方ない。
もしかしたら、まだまだ母に甘えられる小2でこの問題と向き合えてよかったのかもしれないし。
ただ、今後は、
男の子くんからのSOSは見逃したくないのよ。
だから、ちゃんと思い出して振り返っておこう。
私が後悔しないために。