赤子を背負って田植えをするのは とっても可愛いママだった
今年も棚田の田植えに行ってきました。
毎年参加している、棚田ボランティアという名目の活動の一つである。
田植えや稲刈り、脱穀などおいしいとこどりの活動と、時々申し訳程度の草刈りをするだけで、それはそれは美味しい米を手に入れることができる。
今年は、例年参加してきた地主さんとはちがう地主さんの棚田で活動させてもらった。
初めて関わる地主さん。
これまでもお見かけしたことはあるが、笑顔なんて一度も見たことがなく、いつも怒ってる?って感じの方。
ちょっとビビりながら当日を迎える。
それにしても、田植えって地主さんによって、それぞれやり方があるんだということを知ったのが、今回の大発見である。
苗の植え方や、道具の違いや、土手の処理の仕方など、一緒に活動をしていても、それぞれにこだわりがあり、おおらかさがあり、これはやってみないとわからなかったこと。
いつのまにか、農業といえば・・・、田植えといえば・・・とひとくくりにしてしまっていた。
それぞれの家によって、掃除の仕方が違うように、料理の仕方が違うように、なんでもその人ぞれぞれのやり方があるのは当たり前。
なのに、棚田ボランティアをして数年もすると、どこかわかった気になっていた。
いかんいかん。
年寄りの知ったかは、一番いかん。
ただ、そうは言っても、なかなかそういうことに気がつかなかったり、気がついても、素直に受け入れられなかったりする。
いろんなやり方があるのはわかっても、どっちのやり方のほうがいいのかにこだわってしまうのだ。
それも、デメリットばかりに目がいってしまう。
年寄りの知ったかの危険信号なりっぱなしである。
そんな時に、
まっ、人それぞれやんな。
って、とりなしてくれるのは、自分とは異なる世代の人々の存在。
それも、若い人の存在。
同世代にだと、ライバル心がむくむく。
少し上の世代にだと、この年齢になっても反発心がめらめら。
今回は、まだ1歳過ぎの赤ちゃんを背負って田植えをしている、かわいらしいママの存在が、和やかにしてくれていた。
3歳くらいのお姉ちゃんと、その妹を連れて、ご両親が田植えに来られていた。
お姉ちゃんの方は、ズボンをまっちゃっちゃにしながら田んぼに突撃をしている。両頬に泥をつけたまま、おやつをほおばる姿がなんとも愛らしい。
妹の方は、ママの背中で頭をがっくんがっくんさせながら眠っている。
ママはといえば、今どきのかわいらしい方で、田植え仕様の服装なのに、どこかおしゃれな感じがする。
母娘でひらひらのお洋服を着て、にっこりなんてポーズがとても似合いそうである。
そんなママが、「眠ってくれているのでチャンス!」と言って、田植えに精を出しておられる。
パパは、まっちゃっちゃのお姉ちゃんのお相手をしながらも、田植え作業をどんどんすすめておられる。
こちらも、新築のおうちの前で、おしゃれないでたちで家族写真なんかを撮っておられるのが似合いそうなのだ。
そんなおしゃれファミリーが、田植えで泥だらけ。
彼らの姿をみているだけで、とっても癒される。
いつのまにか知ったか信号の音がおさまっていく。
いろんな世代の人々と、いろんなジャンルの人々と、無心になって一緒に働く時間。
お金を稼ぐことにはならないけど、働くってことを実感する。
これって、仕事とは呼べないのか。
呼べないか。
やっぱり収入がないと、食べていけへんから。
でもなあ。
あっ、今年の地主さんは、とっても優しいていねいな方でした。
そして、とても働き者である。
口角がいつも下がっているだけで(悪口じゃないです・・・。)、言葉使いもていねいで、何より、「ありがとうございます。」ってことばを、とてもはっきりとおっしゃる。
笑顔を見ることは一度もなかったけど・・・。
損してはるかもしれんなあ。
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