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ブス3人、やるときゃやる!!|『ルームメイト』(2)

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テーマ発表!!


 前回に引き続き、映画「ルームメイト」をベースに新しい物語を妄想します。

※「ルームメイト」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 それではまいりましょう!

三葉 はい。

嘉村 「ルームメイト」は、友人よりも恋人を優先した主人公が、友人から恨みを買い、酷い目に遭う物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?


案①


三葉 まずは、「ルームメイト」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。


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三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 以上を踏まえて「案①」は……ズバリ!「『ルームメイト』 ~『ブス3人、やるときゃやる』編」です。


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嘉村 「ブス3人」って……。

三葉 ストーリーをご紹介しましょう。舞台は高校、主人公は1年生の女子です。

嘉村 つまり、JK1ですね。

三葉 そして……彼女はギャル!派手めの美人で、髪は明るい茶色。スカートの丈は短い。性格は明るい。一方、地頭は悪くないものの……勉強は得意ではありません

嘉村 なるほど。

三葉 また、彼女には素敵なカレシがいました。2人は、中学3年生からの付き合いです。残念ながら高校は別々になってしまいましたが……大丈夫。いまもラブラブです。しょっちゅうLINEで連絡を取り、放課後はデートを重ねている。

嘉村 ふむふむ。

三葉 彼女はハッピー♡……だったのですが!ある日、カレシの浮気が発覚した。

嘉村 おー……。

三葉 主人公は愕然とする。目の前が真っ暗になる。膝に力が入らない。カレシは「ただの遊びだよ!」「オレが本当に愛しているのはお前だけだ!」と必死に言葉を並べますが……主人公は許せない。彼女は別れを告げた。カレシから謝罪の電話やLINEが届くが、すべて無視する。

嘉村 ほぉ。

三葉 主人公は落ち込んでいました。最愛のカレシに裏切られた!その上、彼女には話を聞いたり、慰めたりしてくれる友だちがいなかったのです。というのも……彼女は高校入学当初からカレシとの付き合いばかり優先していた。その結果、友だちができなかった。

嘉村 あー、なるほど。

三葉 かと言って、彼女は失恋したばかりです。落ち込んでいる。元気がない。新たに友だちを作るべくクラスメイトに声をかけたり、距離を縮めたりする気力はない。

嘉村 でしょうねぇ。

三葉 さて……そんなある日の放課後。デートをする相手も、遊びに行く相手もおらず、かといって家に帰る気にもなれぬ主人公は、屋上へ向かいました。幸い、人影はない。彼女は屋上の隅っこに座り、膝を抱いて、ぼんやり空を眺めました。やがて涙が流れた。

嘉村 ふーむ。

三葉 と、その時です。人の気配がした。主人公が我に返る。すると、いつの間にか3人の女子生徒が傍に立っていました。

嘉村 ほぉ。

三葉 3人は、ブスで陰気で地味で……いわゆる「スクールカースト」の最底辺に位置する生徒でした。クラスの連中からは「ブス3人組」と呼ばれ、小バカにされている。

嘉村 ははぁ……。

三葉 ギャルの主人公と、ブス3人組……住む世界が違います。主人公は、これまで彼女らと言葉を交わしたこともありませんでした。その3人がじっと見つめている。主人公は戸惑う。彼女は涙をぬぐって「えーと……何?」と問うた。

嘉村 ふむ。

三葉 ブスAがおもむろに口を開きました「愛するということにかけては、女性こそ専門家で、男性は永遠の素人である」

嘉村 ……ん?

三葉 主人公は訳がわからぬ「へっ!?」。しかし、ブスAは無表情のまま続けました「男は愛することにおいて、無器用で、下手で、見当外れで、無神経、蛙が陸を走るように無恰好である」

嘉村 ……。

三葉 主人公はポカンとする。そんな彼女に、ブスBが訊きました「三島由紀夫をご存知ですか?」「えっ?あっ、うん。名前は知ってるけど……」「いまのは、三島由紀夫の『愛するといふこと』という文章からの引用です」「へぇ……」「……」「えーと……」「いかがです?」「えっ!?」。


嘉村 突然「いかがです?」と問われても困りますよねぇ……。

三葉 ブスCが言った「つまりですね、風の噂で聞いたのです。あなたが、悪い男に騙されたと」「あー……うん」。主人公は軽くうなずく「そうね」。「泣いているあなたを見て、何か言葉を贈りたいと思いました。それでいま3人で相談しまして。結局、男の愚かさを伝える三島由紀夫の言葉が一番だろうということになった次第です。いかがでした?」「えーと、難しいことはわからないけど……つまり、あたしを慰めてくれたってこと?」。ブス3人が言った「そうですね」。

嘉村 ほぉ。

三葉 主人公の目から大粒の涙があふれ、ボタボタと床に落ちました。……相手はブスです。陰キャです。クラスののけ者です。突如「三島由紀夫が云々」と言い出す不審者です。いきなりそんなことを言われてもリアクションに困るのです。まったく厄介な連中です。……が、しかし!この3人は主人公を心配し、激励してくれている!

嘉村 ふむふむ。

三葉 カレシに裏切られ、友だちもおらず、孤独に苦しんでいた主人公にとって、これほど嬉しいことはありません。

嘉村 でしょうねぇ。

三葉 彼女らの優しさが、心に染み入った。

嘉村 ふむ。

三葉 とまぁ、こうして彼女らは出会いました。そして……聞くところによると、ブス3人組は文芸部員とのことです。

嘉村 ほぉ。

三葉 本なぞとんと読まぬ主人公は、感嘆の声を漏らしました「へぇ!文芸部かぁ……」。ブスAが言う「正確には、『文芸同好会』ですけどね」「ん?」「つまり、部員が4人以上集まらないと『部』と名乗れないんですよ」「へぇ」。そして、部活動と認められていないため、部室を与えられていないのだという。「我々は、致し方がなく屋上で活動をしています」。

嘉村 なるほど。

三葉 「そして、あなたが涙しているのを目撃しまして……」。主人公は赤面した「あー、はいはい。なるほどなるほど」。学校の屋上で1人涙を流すJKって……ウハッ!マジで恥ずかしいんですけど!あたしは乙女か!

嘉村 ふむふむ。

三葉 その日、主人公は文芸部の活動に参加することにしました。主人公は頭をかく「ハハッ。本当にいいの?あたし、本なんて全然読まないよ?お邪魔じゃない?」。しかし、ブスBは言った「邪魔だなんてとんでもありませんよ」。ブスCがうなずく「あなたのような……その……太陽のような人と一緒に読書できるなんてとても光栄です」。主人公が首をひねる「太陽?暑苦しいってこと?」。次に、主人公は慌てて額を押さえた「あっ、デコが光ってる!?あたし、脂性でさぁ」。ブスCが微笑む「そういうことではありません」「違うの?」「はい。私たちは月ですからね。他に依って生き、他の光によって輝く、病人のような蒼白い顔の月。だから太陽に憧れるんですよ」「ふーん……」。

嘉村 平塚らいてうですか。さすが文芸部。シャレたことを言いますね。


三葉 主人公には、ブス3人組が何を言っているのかどうもよくわかりません。しかし、悪い気分ではない。むしろ……彼女はワクワクしていました。これまで触れたことのない知的で、そして文学的な雰囲気に胸をときめかせていたのです。

嘉村 なるほど。

三葉 ブスAが、カバンから1冊の本を取り出した。そして、お気に入りの一節をゆっくり朗読しました「少女の白い肢体。その下腹部の柔らかな茂みの前に、私は跪いた。顔を埋めると、青草の香りがぷんと鼻をつく。私は、その茂みに分け入り、彼女から流れる甘美な汁をあまさず飲み干した」。

嘉村 「荒ぶる季節の乙女どもよ。」ですね。


三葉 短い沈黙。いつの間にか息を止めて聞き入っていた主人公が、大きく息を吐き出しました「ぷはぁ……」。主人公は頬を染めて「マジかよ。文学ってエロすぎじゃね?」。ブス3人組が吹き出す。「いや、マジでヤバいって!」「ふふっ。確かにエッチですよね」「だよね!文学ってヤベェなぁ。もしかして……あんたらって、むっつりスケベ?」「そっ、そんなことありませんよ!」「ハハッ!冗談だよ」「ならいいですが……」「それよりさ、さっきの続きを聞かせてよ。甘美な汁を飲み干した後が気になるじゃん」「あなたこそ、随分エッチなようですね」「でも、あんたも気になるだろ?」「そりゃまぁ、気にならないと言えば嘘になりますが……」「だよね!」。

嘉村 ふむふむ。

三葉 こうして、主人公とブス3人組は親しくなっていきました。主人公は翌日以降も文芸部の集まりに顔を出し、時には「あたしさ、本のことはわからないけどスイーツには詳しいんだよ」と言って菓子や紅茶を持参したりした。

嘉村 いやぁ、いいですねぇ!楽しそうだ。

三葉 そうですね。彼女らは、じつに素敵な時間を過ごしました。

嘉村 ふむふむ。

三葉 ところが……残念ながら、それは長続きしなかった。

嘉村 ……。

三葉 すなわち、主人公がカレシと復縁したのです。無論大変めでたいことではありますが……それは、主人公とブス3人組との蜜月の終わりを意味していた。

嘉村 つまり、主人公は再びカレシとベッタリの生活に戻ったわけですね?

三葉 ええ、その通りです。彼女はブス3人組に申し訳ないと思いつつも、「もう活動に参加できない」と伝えました。3人は驚き、ショックを受けた。空気がグッと重苦しくなる。主人公は雰囲気を改善しようとして、「あたしバカだからさ、やっぱエッチな本を読むより、エッチなことをする方がいいかなぁなんてね。ハハッ!」……空気は一段と陰鬱になりました。

嘉村 うーむ。

三葉 ブス3人組は言った「あっ、あなたは悪い男に騙されているんですよ!」「1度浮気をした男は、2度も3度もするものですよ!」「色魔に惑わされないで!」。3人は、どうにか主人公を翻意させようと必死に言葉を紡いだのですが……それは逆効果でした。主人公はムッとする「いやいやいや。あたしのカレシを悪く言わないでよ」。主人公は去っていった。

嘉村 なるほど。

三葉 主人公が行ってしまった!ブス3人組は、大変強いショックを受けました。というのも……彼女らは小学生や中学生の頃、いじめを受けていました。友だちなんて1人もいなかった。いつも孤独だった。時に友だちができそうになっても……いじめっ子が「あんたもいじめられたいのかい?」と睨みつけると、友だち候補はあっさり彼女らのもとから去っていった。

嘉村 ふむふむ。

三葉 主人公の「裏切り」は、彼女らのこうしたトラウマを刺激したのです。

嘉村 なるほど。

三葉 かくしてブス3人組は「狂気」に足を踏み入れ、主人公やカレシに「攻撃」を始めます。では、どんな「攻撃」をしたのか?……いろいろ考えられますよね。

嘉村 ふむ。

三葉 例えば「ルームメイト」では……主人公のカレシは、ピンヒールを目に突き刺され、殺されてしまいます。

嘉村 恐ろしい。

三葉 それに対して「案①」では、例えば……ブス3人組がカレシをレイプする。そして一部始終を撮影し、「この映像をネットに流されたくなければ、○○さんと別れなさい!」と脅すなんて展開もアリですよね。

嘉村 なるほど。

三葉 あるいは……カレシを呪い殺そうとして、牛の刻参りをしたり、黒魔術を試みるのもいいかなと。

嘉村 ふーむ。

三葉 もしくは……主人公をとっ捕まえて、「あなたには、悪霊が憑りついているに違いありません。だから冷静な判断ができなくなっているのです。あんなクソ男!」「でも、もう安心ですよ。私たちが、あなたの中の悪霊を追っ払ってみせますからね」。ブス3人組は白装束に着替え、「悪霊退散!悪霊退散!」と叫びながら主人公の周りをグルグル回り始めた……とか。

嘉村 うーむ。カルト宗教感があって怖いですねぇ。

三葉 以上、「『ルームメイト』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!


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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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