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自分語り

 世の中が、有用な情報を含まない文章をネット上に公開するのはよろしくないという風潮にいつの間にかなっていたから、noteを始めてしばらくは何を書くか随分迷った。
 それで最初は料理のことを書いたり、あしたのジョーの感想を書いたりしたけれど、元来そういうのはあんまり得意でない。
 得意でないことを無理にやるのだからつまらない。書く当人がつまらなければ、読み手だってきっとつまらない。
 こちらはそう思っているけれど、読む側はそんなことは知らないので、面白いかも知れないと思って読む人もある。そうしてわざわざ読んだのが、果たしてつまらなかったとなれば腹が立つに違いない。
 つまらないなら読む前に教えとけよ、こいつ、つまらないものを読ませやがって、もう死なす、となるかも知れない。
 怒られないよう自分語りを止したのに、つまらない思いをしながら書いて、それがつまらないからと云って死なされるのではかなわない。それではいよいよつまらない。

 悩んだ挙げ句、以前からブログやSNSでフォローしている人が有料マガジンをやっているのを参考のつもりで購入してみたら、中身は果たして日記であった。日記だけれど、面白い。面白いものに怒る人は多分いない。どうやら自分語りがいけないのではなく、書き方の問題らしいと腑に落ちた。
 開き直って自分も日記を書き始めたら、段々面白がってくれる人が現れた。しばらく続ける内に、あんまり職場の話を書くのもよくない気がしたので、過去の話に切り替えた。そうして今に至っている。

 同じパターンで、10年ばかり前、帰省中に髭を剃らずにいたら随分見苦しくなった。いい加減で剃れと親が云うのを、面倒がって「イチローみたいでいいだろう」と返したら、「イチローとは違うようだ」と父が変な顔をした。
 実際、見苦しいばかりで一向イチローっぽくなかった。あれも伸ばし方の問題だったろうと思うけれど、違うかも知れない。知らない。


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百裕(ひゃく・ひろし)
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