人生の伏線について(2023/01/05の日記)
出社すると、隣席足元に置いてあったキャビネットの配置と中身が変わっていた。
隣席は昨年夏に退職した部下の女子が使っていたが、現在は自分が物置代わりにしている。
キャビネットには何だかわからない厚紙の束などが放置されていたのがきれいになくなり、代わりに『Q社』と背表紙に書かれたファイルがズラリと並んでいた。
Q社は畜山生太郎(ちくやま・しょうたろう)から自分が引き継ぐ先である。
畜山は得意先とのメールやその添付データを全て印刷して綴じる癖があるため、担当先各社について膨大なファイルを所有している。
それらを保管期限も決めずに溜め込み、積み上げ、担当交代の際には「僕は取引の記録をこの通り全て文書化しているのだよ。なにしろこれを読めば全てがわかるのだからね」と言ってまるごと押し付けるのだけれど、そもそも「文書化」の意味を取り違えている。
ネルソン氏は昨年そのテイで40冊もの分厚いファイルを押し付けられた。
今回のQ社ファイルは13冊だったからネルソン氏に比べれば少ないが、パラパラやると今さら役に立つとも思えない古い情報が多々見受けられる。
そもそも引き継ぎとは、後任者へ "必要な" 情報を伝えることのはずだ。一切の整理をしないまま「はいどうぞ」とやるようでは、何も教えないのと変わらない。
要は、情報の取捨選択ができないのだろう。資料の大事な部分に線を引こうとしてほとんど全文に引いてしまうタイプに相違ない。
そして畜山はこの件について何も説明しないまま午後から早退した。
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仕事初めということでなかなか本調子ではない。今日は簡単な事務処理だけに留めておいた。
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帰宅すると食卓にサザンオールスターズのCD『世に万葉の花が咲くなり』が置いてあった。娘が図書館で借りてきたのだという。
このアルバムが発売された頃、自分は塚本駅前のCD屋でバイトをしていた。元々サザンは好きだったのに、2週に渡って勤務中にずっとこればかりを聴かされて本気で嫌になったのを覚えている。
30年後に自分の子供がこれを借りてくるなんて、あの時は想像すらしなかった。これも人生の伏線だなぁ、と思った。