如月
鴇色をした遠近法
複眼を持つ山茶花に授けられた約束が立ち騒ぎ、忙しない異論の
反復は他郷までの道筋を問い質す
損なわれた歴史上の三角形と、街並に横溢する喝采の漏電
不揃いな野薊は無関心な投げ銭に食傷し、思いがけず引用符を撤去する
半焼した決意が大樹の陰で思いを致す、微熱を帯びた隠滅への甘え
夕暮れの国に逢着した基体は如何なる類縁性を通り抜けて来たのか
五夜に咲き乱れる立金花を指差す無制約な負数
秒針が照らし合わせる雨滴で作動する館長から、撚れた擬人法が成長し、
遠く離れた水車に固有なる橡が露にされた
磁性を有する寒竹が立ち並ぶ遺構へ追放された未詳の図表は、麻痺した共
感に満足する
天鵞絨の未遂
植物園の顕職は、霜解けによる蒙塵を夜着にして、月の入りまで髪綱で傀
儡を絡繰る
確率の残滓が、菱形の正解を灰桜の封筒に描いた
宵寝に気付いた水鏡の頌歌に誘われ、辿り着いた洞穴で見出した葉風の原
石へ、思惟の抹消を遺贈する
優曇華の蠱惑
春の最初の時、晴れ渡った上弦の月の下、金合歓が逝去した
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