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アイルランド風の肉じゃが(Dublin Coddle)
去年、ツイッターに「オジャフリ」なるグルジア料理の写真が流れてきました。おいしそう・・・
肉とジャガイモの組み合わせ。
— TrinityNYC (@TrinityNYC) August 10, 2019
日本の肉じゃが然り。
世界共通、絶対うまいやつ。https://t.co/MW13sNgWVR
ジャガイモとお肉の組み合わせって、どうやっても美味しい。
奇蹟の組み合わせ。
ところで、ジャガイモといえばアイルランド、アイルランドといえばジャガイモ。
なにせ国民の主食だったジャガイモが「Late Blight」と呼ばれる疫病菌に冒され、それが瞬く間に国中に広がってジャガイモ全滅、国家存亡の危機に立たされるほどの大飢饉に至った歴史(「ジャガイモ飢饉」)を持つ国。
飢饉から逃れるために、18世紀のアイルランド人は次々と船に飛び乗って国を離れ、大西洋に浮かんで、多くがメシを目指して新大陸へと向かった。
当時欧州からの移民受け入れ港だったニューヨークにヘロヘロになって辿り着いたアイルランド人たちは合衆国に根をおろし、その子孫たちはいまや全米人口の10%(3300万人)にも相当する巨大勢力「アイルランド系アメリカ人」となりました。3300万人。本国アイルランドの人口480万人のざっと7倍。
そこで紹介したいのが、DUBLIN CODDLE というお料理です。
昨夜、この、「絶対うまいやつ」のアイルランド編を作りました。美味かった。簡単で失敗しない絶対うまい家庭料理。
— TrinityNYC (@TrinityNYC) August 10, 2019
アイルランド風の肉じゃがのレシピ、要ります? pic.twitter.com/QmeCr8QmBs
飢饉のころ、労働者階級のダブリン市民は、少なくなってきたジャガイモをできるだけ伸ばして美味しく食べるために、手元にある食材は肉でも野菜でもなんでも一緒に鍋にぶっこんでグツグツ煮て大事に食べた。
その人たちが、アメリカに持ってきた庶民の味「ダブリン・コドル」。
以下、去年のツイートで紹介した作り方を再掲します。
材料(4人分)
*ジャガイモ 大き目4個
*豚ソーセージ 5~6本(Bratsがオススメです)
*厚切りベーコン 1/2~1パッケージ(12 oz / 340 g)
*タマネギ 大き目2~3個
*チキンかビーフのストック(コンソメ) 2カップ(350~400㏄)
*パセリ適量
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【器具】
ルクルーゼのようなオーブンにそのまま突っ込める重い鉄鍋。
【オーブンの温度】
あらかじめ300℉/150℃に温めます。
1)厚切りベーコンを炒める
2センチ幅ぐらいに切ったベーコンを鉄鍋で炒める。カリッとしてきたら、鍋からキッチンペーパーの上に出して、油をきる。鍋に残ったベーコンの脂は、少量残して、缶かなにかに出しておく。
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2)ソーセージを焼く
ベーコンを取り出した同じ鍋にソーセージを並べ、表面に焼き色がシッカリつくまで焼く。焼き上がったら半分に切る。(そのままでもよい)
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3)タマネギをざくざく切る
ソーセージを取り出したあとの鍋にタマネギをドサっと入れて、パセリを散らす。
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*私は今回はホワイトオニオンを使いましたが、スイートオニオン、スパニッシュオニオン、基本どんなタマネギでもOKです。量をたっぷり使うのがコツ。
4)その上に肉類を重ねる
タマネギの上に、さきほどのベーコンを敷く。ベーコンの上に、ソーセージを置く。段々重ね。
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5)ジャガイモを粗く切る
ジャガイモの皮を粗く剥き、適当な大きさにゴロゴロ切り、ソーセージの上にドサッと入れる。皮付きのままでもいいです。ふたたびパセリを散らし、適当に塩コショウ。
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*ジャガイモは”ほくほく感”が出るラセット(Russet Potatoes)を使いましたが、他の種類の芋でもいいです。お好みで。ジャガイモは、あまり小さく切ると煮崩れるのでちょっと大きめに切ったほうがいい。
6)ストックを入れてひと煮立ち
材料を段々重ねした鍋に、チキンストックあるいはビーフストックをヒタヒタに入れ、ひと煮立ちさせる。このとき、かきまぜません。(わたしは出来上がりのスープが好きなので、ストックはやや多めに入れます。わたしはビーフストックを使ったほうがコクがあって好きです。チキンストックを使うと、できあがりがアッサリ目です。)
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7)オーブンで90分
ストックがグツグツしてきたら、そのまま蓋をして、予め300F/150C に温めたオーブンに鍋ごと突っ込み、1時間半放置して、オーブンの中でゆっくり煮込みます。
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*オーブンがなければ、弱火にしてグツグツ煮込んでも同じ。ゆっくり時間かけて煮込んでください。
8)できあがり!
90分後できあがり。ソーセージとベーコンのうまみとタマネギの甘味がハーモニーを醸しだし、オーブンの鉄鍋の中で芋が蒸されホクホクになっています。最後にパセリを散らして、アイリッシュ・ソーダ・ブレッドを添えて、スープをしみこませて食べるも良し。ギネスビールで流し込むも良し。
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ダブリン・コドルは簡単に作れるので、鉄鍋さえあれば、キャンプ場でも作れる一品です。中には、チキンストックじゃなくて、ビールを入れて、その水分で芋を蒸し焼きにするレシピもあります。
参考にしたレシピ
今回は、ローリー・マクナマラさん( https://twitter.com/simply_scratch ) のレシピに忠実に作りました。
Dublin Coddle についての歴史は、このページがおもしろかったです。
セント・パトリックス・デー
今日、3月17日は、セント・パトリックス・デーのお祭りです。
移民としてアメリカに渡ってきたアイルランド人とその子孫が大勢住み着いたニューヨークシティでは、毎年この日には盛大なパレードが催されますが、今年2020年は、コロナウィルスが猛威を振るい、残念ながらパレードは取りやめになってしまいました。
マンハッタンのセントパトリックスデーのパレード、延期の決定が昨夜なされたんですね。25万人がパレードし観客が200万人近くになるという世界最大のパレード。でもいまは仕方ないね・・・。 https://t.co/LnbiJQhYgd via @ABC7NY
— TrinityNYC (@TrinityNYC) March 12, 2020
2022年、ニューヨーク。NYPD(NY市警)のバグパイプチームの行進風景。
わたしのアメリカ人の夫も、アイルランド系移民の子孫です。夫の親戚がダブリンに住んでいます。アイルランド人の親戚のおばさんがNYCに遊びにきたとき、夫よりもわたしのほうがずっとアイリッシュぽい、という評価をいただきました。
Happy St. Patrick's Day!