米をおすそ分けしたら最高の鯛めしができた
少し前。会社の福利厚生で、米10kgが郵送で届いた。クルマもないし重たいものは買い物しづらいから非常にありがたい。だが我が家は一人暮らし。こんなにあっても到底消費しきれない。
米をおかずに米を食べる? かれいいでもつくる? おにぎり100個つくって冷凍保存しちゃう? うーん、どれも大量消費にはあまり向いてない気がする。
ちょうど家で水を買っていたので、空きペットボトルに米をつめたら10本分くらいになった。
ちょっと考えて、ご近所組合3人(おなじカフェの常連という共通項があるだけで、年齢も職業もバラバラなご近所さん)にそれぞれLINEで「お米もらってくれない?」と持ちかけてみた。みんな快くOKしてくれた。これで消費の目処が立ったとホッとした。
そして、数日後。
米が鯛めしセットと、日本酒と、チョコと、和菓子に変わった。
米をおすそ分けしたら、たまたま鯛一匹買っていたからと鯛の切り身&出汁&日本酒セットが。しかも裏月山じゃん…
わたしの大好きなテオブロマのチョコが
甘いの食べたい…と思っていたら、美味しい和菓子が
「お米ありがとう〜! はいコレ!」って、気づけば物々交換会になっていた。
食べきれないお米をいっしょに消費してほしかっただけなのに。
思いがけず、ちょっとしたわらしべ長者みたいになってしまった。
「令和の時代に物々交換なんてさ、江戸時代みたいだよね〜」って笑いながら。
その日のグループLINEは、それぞれ自宅でつくった鯛めしの写真で賑やかだった。みんなで「おいしそう〜」「おいしい!」「ついお代わりしちゃった…」「ありがとう」って言い合いながら食べるごはんは、なんだかちょっと特別な味がした。
みんな別の場所にいながら、おなじ素材でつくった、同じ釜の飯を食べている。そんな感じ。
いちばん贅沢で、いちばん美味しいお米の食べ方を見つけてしまった気がする。
学生時代なんてとうの昔に過ぎた。だけど。
授業後にゆるっと集まって鍋をつついたあの頃のような感じ。社会人になって、おすそ分けしあえる仲間ができたことが、ちょっとした自慢だ。
出身地も育った環境も違うけど、いろんな偶然が重なって、今こうして東京の下町に暮らして、同じ米を食べて「うめぇ」って言っている。
「この歳になってさ、こんなご近所さんができるなんて思ってなかったよね」「だからこの街っていいんだよね〜」ってアハハと笑う。
早くまた、みんなで集まりたいね。
minami.n