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後輩指導は自己成長につながるのか

後輩指導は自己成長につながるのか

多くの指導者が不安に感じている点だと思う。仕事で後輩指導を頼まれたとき、上司や先輩は「自分のためにもなるんだから頑張ってよ」などと声掛けをしてきます。

そんな時に

・自分が教えてもいいのだろうか
・自分自身の成長を求めなくてはいけない時期ではないか
・仕事以外の時間がかかるなあ
・せっかく教えてもなかなか動いてくれない

そんな想いが浮かび上がってくると思います。

かの有名なドラッガーの言葉として、部下の強みを引き出す経験学習のリーダーシップでは、以下の言葉が引用されています。

他人の育成を手がけないかぎり、自分の能力を向上させることはできない
松尾睦.部下の強みを引き出す経験学習リーダーシップ.p41

後輩指導が自分の成長につながる。それはなぜなのか①自身の学び直しになる②自身の教育スキル獲得になる③教えることの難しさを知ることができるの3つの観点から考えてみたいと思います。

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①自身の学び直しになる

教えることは2度学ぶことである」とフランスの思想家ジョセフ・ジュベールが述べたとされる言葉です。

後輩に指導しようとすると、指導する手前間違ったことは伝えられないという思いが働き、再度調べ直すという行動に繋がることが良くあります。

また、教えていて「これはどういう意味なのですか、もう少し説明してください」などと質問されて、答えに窮しながら自身がその内容について理解が甘かったとわかることもあります。

教えるという取り組みは、今の自分の業務に必要な知識または技術の学び直しになると考えられます。

②自身の教育スキル獲得になる

どんな仕事でも、一定部署である期間が経過すると、知識や技術を深める取り組みはなされますが、新たなスキル獲得ができる機会が減ってくると思います。

転職しまくって5つの専門分野を身につけろ」https://bnl.media/2017/01/ishikawa-career.html

予防医学の研究者である石川善樹は、いくつかのスキルを掛け合わせてキャリアを築く重要性を述べています。

教えるスキルを専門分野まで高められるか。それは人の特性にもよる部分かと思いますが、新たなスキルを獲得するチャンスにはなり得ると考えます。

③教えることの難しさを知ることができる

人を教えた経験が少ない時は、「あの人は教えるのが下手だ」とか「それじゃあ、やる気にならない」とか、なにかと否定しがちかと思います。

実際に教えることで、一生懸命かみ砕いて説明しても全く伝わらなかったり、伝わったとしても動いてくれなかったりなど、教える事の難しさを知ります。

そんなことを経験するうちに、安易に人の教え方や伝え方を否定することが少なくなり、自身がどう伝えたらいいのか、またどのように話を聞いていったらいいのかなど、自分のコミュニケーションの問題として捉えることが出来るようになってきます。

これも自身の成長として捉えてもいいのではないでしょうか。

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後輩指導が自己成長につながる理由として①~③を考えてみましたが、「そんなことを学べるとしたって後輩指導をするより、自分で学んだ方がコストがいいよ」そんな声も聞こえてきそうです。

その言葉の背景として、教え方を学んでいないために、どのように教えたらいいのか分からないという理由がある気がしています。文章の書き方にしても、コミュニケーションの取り方にしても、日本語で行っているため、私たちは無意識下で学ばなくても出来ていると思いがちです。

しかし、実際文章を書いてみたりコミュニケーションを取ったりしてみてもなかなか上手くいかない。私自身は、そんな経験がたくさんあります。

教え方を学び、教えること自体の難しさが減っていけば、教えるという作業は自己成長の良い機会になると思います。

もちろん教えるという行為は、教育の受け手の成長を目指し行われます。加えて教える側の成長にもつながったら、それは素敵なことではないでしょうか。

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