HACCPのサクッと注意点(ハザード分析)_一般生菌数とは
HACCPのハザード分析における衛生指標菌の一般生菌数をサクッと説明します。
これからHACCPについて理解を深めていく方に向けた内容で投稿します。
今回の結論は、
・「一般生菌数」は病原微生物の名称ではなく、同じような特徴をもった微生物をひとまとめにした名称である。
・HACCPハザード分析では衛生指標菌ではなく病原微生物を明確にする。
・・・ということです
≪説明したいこと≫
HACCPではハザード分析を行なう際に、"ハザード(食品の危険なもの)"を明確にする必要があります。
微生物などの生物に関わる"ハザード(食品の危険なもの)"については、具体的な病原微生物を明確にせずに、衛生指標菌のみを記載している場合は不十分だと考えられます。
衛生指標菌とは「一般生菌数」「大腸菌群」などであり、病原微生物とは「サルモネラ菌」「黄色ブドウ球菌」などです。
一般生菌数は、30℃前後で酸素が多い状態で増殖する微生物です。一般生菌数の明確な定義がわからなくてもイメージがサックリ伝わればいいと思うので、ここでは割愛します。人間が心地良いと感じる環境で増えやすい微生物たちです。
「一般生菌数」は病原微生物の名称ではなく、同じような特徴をもった微生物をひとまとめにした総称のようなイメージのものです。
多くの食中毒菌は30℃前後で増殖しやすいため、食中毒リスクの高さを評価する指標として検査されています。
ただし、一般生菌数には、健康被害に直接的には関係ない微生物も含めて検出されることもあるため、一般生菌数が多く検出されたとしても必ず腐敗しているとは言い難いです。
ではなぜ病原微生物ではなく、一般生菌数を検査しているのでしょうか?
様々な理由がありますが、一つの理由としては、一般生菌数の検査は比較的手間がかからないからです。
仮に、日々の生産ロット毎に検査を実施するとした場合、サルモネラ菌・黄色ブドウ球菌・腸炎ビブリオ・カンピロバクター・・・・などのそれぞれの病原微生物の検査を行なうと、大変な検査となってしまいます。
一般生菌数の検査で広い範囲を検査して異常があった場合は、狭い範囲の原因特定のために病原微生物の検査をしたりします。
もちろん、取り扱っている食品の特徴に応じて、一般生菌数と黄色ブドウ球菌の両方を生産ロットごとに検査するという場合もあります。
「一般生菌数」「大腸菌群」などは、かなりざっくり説明すると衛生的な取扱いがされたかどうかを推測するための参考基準のようなものであり、HACCPのハザード分析において食中毒リスクを直接的に評価することは難しいです。
ハザード分析では、具体的にどのような病原微生物が含まれている(もしくは汚染する)という可能性があるか明確にしなければいけません。
微生物について一定程度の知識がないと、上記のような"ハザード( 食品の危険なもの)"を見落とす可能性があるので注意が必要です。
≪イラスト説明≫
参考として厚労省の資料を下記に貼付します。厚労省の資料が全て正しいとも言い難いですが、一定程度は参考になると思われます。