学習指導要領と守破離

学習指導要領への破の視点

学習指導要領には守破離の視点があるとよい。
守は学習指導要領の内容を理解し、それを授業に具現化すること。
ある意味でもっとも求められている授業だろう。
ただ、実際には、指導事項の抽象度の高さのせいもあって、教員自身がこれに解釈や批評を加えながら、実際の教室に対応させた内容にしていかなければならない。言うまでもなく指導事項は指導の目安に過ぎず、その目安からどう授業を構築していくのかは教師自身の授業構築力が必要だ。この時点ですでに指導事項そのものを相対化する作業が始まっていると言える。
指導事項の解説に書かれていることには何が不足しているのか。そもそも不足している指導事項もあるのではないか。この指導事項の説明では不足しているのではないか。破の段階、学習指導要領を批評・批判する段階あるいは視点がそこにはすでにあるのだ。

学習指導要領への離の視点

加えて、指導者の信念、学習者の実態、素材・教材に内在される教育的価値、これらは学習指導要領の外にあり、そして、学習指導要領よりも大きく授業構築に影響を与える。これが離の段階、視点だ。

守破離は段階というよりは視点や距離感

守破離を時期や段階と捉えるというよりも、常にこの守と破と離の視点がバランスをとりながら並走するのが、学習指導要領とのよい距離感だろう。階でもあり視点でもある。最初は守だと自分を縛りすぎることもない。
破も離もあってもいいのだ。

守も大切

ただ、守も、特に教員としてスタートしたばかりの時は、力まず、学習指導要領や指導事項の意図するところを捉えながら、可能な範囲で批評・批判していけばよいのだと思う。経験を積み、少しずつ余裕が出てくれば、自ずと破離の視点の割合が増していくことだろう。

指導事項の系統性、学習過程に沿った配置、知識及び技能との関係、言語活動を通じての指導。そんな基本的な視点から教科書素材や学習の手引きを分析するとよい。教科書に散りばめられた意図を見通すこともできてくるだろう。

そういった教員としての基本的な知識や技能を手に入れるためのツールとして学習指導要領は使いこなしたい資料だ。


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