1日1本映画を観よう① 『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』
『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(2007)
ジョージ・A・ロメロ監督
○評価点:
☆4(☆5が最高。☆5は『ローマの休日』『羅生門』クラス)
○感想:
さすがはゾンビ界の第一人者であるロメロ監督。B級感のある固定カメラや、モキュメンタリー、VOPの手法を余すことなく使って、一種の総合芸術を作っている。人数が多く一人一人を深掘りできないという制約を、アップによる自己紹介という手法であっさりとクリア。これはメタ的な映画なのかもしれないという疑念を残すことで、都合のよい展開も納得させてしまう。
○さくっとあらすじ:
0~10分(継続的日常)
卒業制作として映画作りをしている学生と先生。
10分~70分(突発的非日常)
そんな中、死人が動き出すというニュースが入る。逃げる途中でゾンビと遭遇し、それをひき殺してしまった。罪悪感で一人が自殺を図る。脈があるということで病院に連れて行くと、そこでゾンビに遭遇。逃げる。やがて黒人達の隠れ家に連行され、そこで物資を調達する。学生一人の家に到着すると、家族がゾンビ化しているということで離れる。
70分~ラスト(ラストバトル)
友人の屋敷に到着する。そこでかくまってもらうが、実は友人もゾンビになりかけていた。ゾンビになった友人に襲われて、主人公が死ぬ。
○あとがき:
VOP(一人称視点)映画の特徴は、カメラで撮影している人物が主人公というものだが、その理由付けがなかったり薄かったりする映画が多い。『グレイヴ・エンカウンターズ』では、なんで撮影しているのか理由付けがないのでホラー展開にいまいち説得力がなかった。(クローバーフィールド系映画ではカメラなんて捨てて逃げればいいのに、と何度思ったことか……)
この『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』は、どうして撮影をしているのかという問いかけが定期的になされて、それについて回答を描きながら進めていたので納得できるものだった。
感想でも述べたが、この映画には様々な手法を巧みに利用して、物語を進行させているので演出の実験的なお手本という意味でも非常に価値がある映画。
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