アラサー女の苦しみと保護猫にもらった心地よい睡眠
数年前に仕事や諸々のストレスで原因で急に寝付きが悪くなった。
最初は薬に頼ることにものすごく抵抗があったので、なんとか眠ろうとしたが、平気で4時とか5時とかまで眠れなくて相当辛かった。
結局睡眠導入剤で眠ることを覚えてからは、それが手元にないと不安で仕方ない。沖縄でクタクタになるまでシュノーケリングして意識が朦朧としても眠れない。旅行に行くこと自体に罪悪感があって、眠ってはいけないと思ってそうだった。
その後睡眠リズムもやんわりと元に戻り、仕事はなんとか復職した。相変わらず睡眠導入剤は手放せないけど。
復職後も30歳前後の女性特有と言われる、キャリアや今後の生き方についての悩みに継続的にぶち当たり、夜眠ろうとすると色んなモヤモヤが脳みそを支配してくる。
私は私が一番幸せで、とにかく楽に感じられる生き方で生きるんだ。もう頑張らなくて大丈夫。今まで散々頑張って生きてきた。
そう自分に言い聞かせて、仕事は正社員だけど時短を選択し、子供を生涯産まないDINKSという生き方を、かなり強引に選択した。そして、自分を一番苦しめる原因となっている親と連絡を取らなくなった。
自分の生き方に胸を張って納得しているし、何も迷いはない。毎日とても幸せで充実感に溢れていて、それでいてお金と時間にとても余裕がある。
それなのになぜか「そうは言っても、悩んでるんでしょ?」「なにかあった時に後悔するよ」と世の中に思われているような気持ち悪さ、道を外れている自分への嫌悪感、そして、ものすごい罪悪感に押しつぶされそうになりながら生きている。
フルタイムで働かなくて、ごめんなさい。
生活費を夫に多く負担してもらって、ごめんなさい。
親になりたいと思えなくて、ごめんなさい。
親孝行な娘になれなくて、ごめんなさい。
そんな私の夜の苦しみは、うちに来てくれた保護猫の存在によって、たち消えることとなった。
お風呂上がりのぽかぽかした手に埋めてくれる顔の暖かさ。
ペットカメラにぼんやり映る2つの光る目。
ドライフードを食べるカリカリッという咀嚼音。
トイレしたあとにザリザリッと猫砂を掻く音。
そんな光景や音をぼんやり見つめているとスーッと眠気が来て、すぐに心地よい眠りに入れるようになった。
過去も未来も考えることをやめて、流行りのマインドフルネスである。猫さんの仕草や音だけで心を満たしきる。最高の時間である。
これからも私の罪悪感や苦しみはすぐには無くならないだろう。歳をとって、緩やかな生活に飽きてフルタイムに復帰し、やんわり出世したりして、出産適齢期を過ぎ、幼少期の記憶が完全に無くなったら、少しずつ無くなっていくだろうか。
そんな日を待ちながら、私は今日も保護猫と共に生きる。