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【Movie】本日公休@シネスイッチ銀座
シネスイッチ銀座で台湾映画「本日公休」を鑑賞してきたので、つらつらと感想を記してみる。
主人公のアールイは台中でひとり、理髪店を営んでいる。
すでに独立している三人の子供たちとは、価値観の違いから少しギクシャクした関係性である様子が描かれるのだが、自分にも心当たりがあり、少しドキッとしてしまった。
下町で長年、常連客を中心に営まれている理髪店。そこには昔ながらの心温まる常連客同士の交流があって・・・というストーリーは正直大好きだけれど、自分の親だったら、体調のことを気にかけたり、経営や仕事のやり方について、つい口を出してしまったりするかもしれない。
理髪店は監督の実家を使って撮影したとのことで、とても味のある佇まいをしている。ドアのデザインや壁のタイルなどもレトロで愛らしい。
常連客とのくだけたやりとりも楽しい。
「彼女ができたから、彼女の好きな髪形にして!」とニタニタしていた少年の様子とまさかの展開には驚いたけれど。
家父長制と学歴社会を想起させたシーンだった。
そんな中、アールイは長年の常連客であり、現在は遠方に住む医者のコ先生の髪を切りに、店を一日休んでひとり車で出かけていく。
ここから物語はロードムービーのような雰囲気になってくる。
道中、会社を辞めて現在は農家を営んでいる青年にお茶をごちそうになり、お礼に青年の長髪を切ることになる。青空の下、田んぼに囲まれながら髪を切るシーンが印象的だった。青空床屋、流行ればいいのに。
不良グループに絡まれたと思ったら、その中の一人が理髪店の元お客さんで、最終的に親身になって助けてくれる。不良が意外と情に厚いというのは台湾も日本も同じなのかもしれない。
約束の時間を大幅にオーバーしつつ、アールイはコ先生の家に到着する。
久しぶりのコ先生との再会。
見守る家族たちの中、いつものように髪を切るアールイ。
髪を切りながら、理髪店でのコ先生の様子、アールイが夫を亡くした時に力になってくれたことなどを子供たちに話す。
時に、子供たちにサポートしてもらいながら、髪の毛をきれいに整えていく。
効率やコストでははかることのできない大切なもの、アールイと常連客たちが共有してきた長い時間の尊さを感じた。
アールイにはアールイの、子供達には子供たちの生きてきた時代や環境、それに伴って育まれた価値観や現在の生活の事情などがある。
完全に分かり合うことはできないけれど、それぞれがお互いを理解しようとしながら、同じ時間を共有していく。新しい出会いやそれに伴う別れなどを経て、自分自身も人間関係も変わっていく。そんなことを思わせるラストだった。
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