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舟越桂 森へ行く日@彫刻の森美術館

「舟越桂 森へ行く日」を見に、箱根へ行く。

箱根への道(プロローグ)

個人的に、箱根はどの公共交通機関を使っても、遠く・高く・人が多いので、モチベーションを高くキープしておかないと、気になる美術展があってもつい見逃してしまいがちになるエリアである。
今回は乗換案内検索で一番最初に出てきた、〈上野東京ラインで上野から小田原まで移動、小田原駅から箱根登山バスに乗り換えて二の平入口まで乗り、そこから徒歩で美術館まで歩く〉ルートを選択。渋滞で30分以上遅れてぐったり。美術館のHPではあまり推奨されてないルートでした。次回からは箱根登山鉄道で行こう…。

バス停から美術館まで歩く道中、気になるビアバーを見つけたり、ねこじゃらしを持って踊る母子を見かけるなどして、すでに楽しい。

会場内は写真撮影禁止のため、感想のみつらつらと記していく。

舟越さんのアトリエ

1Fの展示室に入ると、アトリエの一部を再現したスペースがある。壁に吊るされた道具やデッサン、カール・ドライヤーの写真などが壁に貼られている。
「『くまんばち』がいても、おどろかないで下さい。飼っています。刺しませんから。舟越」という張り紙?もしくは看板のようなものがあり、思わずにっこりする。展覧会の記録集には壁に貼られたメモの写真が掲載されており、何が書かれているのか読めるようになっているので、買ってよかった。
「砂と街と」は好みの顔だったので、行きも帰りもじっくりと眺めてしまった。モデルのKIKIさんと雰囲気が似ているかも。

「末盛千枝子と舟越家の人々」展をふりかえる

「冬の本」や「月に映る月蝕」など、昨年市原湖畔美術館であった「末盛千枝子と舟越家の人々-絵本が生まれるときー」展で見たことのある作品をもう一度見ることができてうれしい。
末盛千枝子さんは絵本や美智子上皇后の書籍などを手掛けている編集者で舟越さんの姉。
「末盛千枝子と舟越家の人々-絵本が生まれるときー」展は、末盛さんが編集に関わった書籍や、父親の舟越保武さんや弟の直木さん、桂さんの作品が展示されており、かなり充実した展覧会だったのだけれど、図録は作られていないということで、代わりに末盛千枝子さんの著書『出会いの痕跡』を購入。今まで積読状態だったものを、今回の展示を機に読み始めたところ、帯の文章が桂さんだったことにようやく気付いた。

今まで気づかなかった

「『おもちゃのいいわけ』のための部屋」では、書籍『おもちゃのいいわけ』に掲載されている自作のおもちゃが並んでいる。
おもちゃは前述の「末盛千枝子と舟越家の人々」でも出展されており、その際は撮影可だったので写真が残っていた。

木っぱの人形と木っ端の家
本の表紙にもなっている「ハンガー」
(今回の展示では未出展)

おもちゃの素材をみると主に「楠」とあり、制作の過程ででた木を使ってお子さんのために作ったおもちゃのよう。素敵だなあ・・・。

まねしたくなる舟越桂

2F展示室には2000年以降の作品が展示されていた。
「戦争をみるスフィンクスⅡ」は人間の愚行を眉をひそめて眺めているスフィンクスの姿を描いたもの。
これがまた、表情が「すごくイイ、いやな顔」をしている。
言葉で表すとしたら

少し胸を開いて
眉間にしわを寄せて、やぶにらみ
口は横にイ゛イ゛イ゛イ゛


という感じだろうか。
桂さんの作品でこんなに表情があるものってめずらしいのではないだろうか。歯がしっかり見えちゃってる。
なにかムカついたことがあったときは、心の中で、もしくは実際にこの表情をしようと思った。

ふれてみたくなる舟越桂

「水に映る月蝕」は、体のまあるいフォルムが何ともいえず愛らしく私には見えた。見る人によっては「気持ち悪い」と感じる人もいるかもしれないけれど。なだらかな肩からは羽のように2本の手が上に伸びている。

この作品を見ていて、ふと「ふれてみたいな」と感じた。

すっと通った鼻筋や薄い唇になめらかな白い肌。
どこかぬくもりを感じるのは、木彫だからなのだろうか。ほかの作品を見ていても、背骨の上のあたりやひじ、おでこや鼻、ほほやあごなどの赤み、肌の質感からしずかな艶めかしさが漂う。

彫刻だけでなく絵画なども含め、「ずっと眺めていたい」「もっと近くで見たい」ということはあっても、「ふれてみたい」と感じたことはなかったので、なんだか新鮮。

部屋の中をなんども回遊し、作品を眺める。贅沢な時間でした。

実物を見るまで上半身が裸体だと気づかなかった




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