【読書日記】ファンタジア(ブルーノ・ムナーリ)
月一で通っている、Xデザイン学校アドバンスコースで、ファンタジアを輪読しました。
さて、そもそも、この本のタイトルでもある「ファンタジア」とは何なのでしょうか。
ファンタジアとは、
・これまでになかった新しいことを考え出せる人間の能力
・気まぐれで不可思議なもの
・変なものである
・でまかせでもある
つまりは、何よりも自由な能力と述べています。
では、新しいものを生み出すときに使われる、「発明」や「クリエイティビティ」とはどのように違うのでしょうか。
上記の解釈と、自分なり考えるクリエイティビティを図示してみました。
私はこれまで、クリエイティビティとは・・・、と、何かとモヤモヤしていましたが、この本を読み、これまでになかった新しいことを考えるだけではく、それを実現する力をクリエイティビティとする、といった形に考えをまとめることができました。
また、輪読会では、ムナーリがこの本を通じて何を伝えたかったのか、をメンバーと考え、
「創造性を引き出すための方法論」
としました。
イノベーションやトランスフォーメーションがビジネスの場で大きく叫ばれ、デザイナーに限らずとも創造性が大きく求められる時代。個人や集団に蓄えられた知能と記憶から、「ファンタジア」「発明」「創造力」を経て「想像力」の力で生産(世に生み出していく)ことを表していると理解しました。
「創造性を引き出すための方法論」として考えた場合に、この考える力はどのように拡張をしたらよいのでしょうか。それは、ファンタジアを多角的な視点で見ることが大切と伝えています。
ムナーリは、加えて、関係の中の関係が大切とも言っています。
知識豊かな人がファンタジアが豊かとは限らないが、ベース知識がなければ、関係を持つことができない。
例えば、仮想空間をいくら想像できても、実現できる手法を知らなければ、得られる関係値は異なってくるというところでしょうか。
この関係性の広がりは幼少期の教育にも関係していることが述べられている。
デザインとしてのファンタジア
ここで、私が学んでいる「デザイン」と結び付けて考えていきたいと思います。
本の中では、デザインとは企画を設計する手段であり、人々の共通の要求を解決するためのプロジェクトメソッド等を企画設計すること、と述べられていました。
世の中がどんどん変化し、プロジェクト自体も多様化する中、私はデザイナーでいられるのでしょうか。
私が本から学んだこととしては、
自然界に溢れているもの、身近なもの、そこにあるものを、より深く観察し、多角的視野から、違いを意識し受け止め、活用(結びつける)していくことのデザインだと考えました。
昨今のプロジェクトでは、Wダイアモンドが浸透し、発散と収束を繰り返すことが多くなりましたが、「収束」についても考えさせれられました。「発散」フェーズで出た、様々なアイデアや意見を多角的視点で収束できているのか。
関係性や考える力にも影響を受けていることを再認識したところで、これからもさらに学びを深めていきたいと思いました。
今後の研究にも役立てて行きたいと思います。