ダブり〜1限目〜K
「じゃーね。エトウくん」
「別に明日からじゃなくていいから、自分のペースでいいから学校でまってるね」
「でも、早く来て欲しい人がこちらに居てます
けどねぇ」
と俺に指をさして言う副会長。
「本当ありがとう」
ナカタさんも頑張ってね僕も応援してるから」
とエトウが言った。
俺は、なんの事かよくわからないが恐らく
席を外した時に話した内容の事なんだろうと
思った。
「コニシくん、ナカタさん。今日はありがとうございました。私あっちなのでここで帰りますね」
彼女が、言った。
「えっ、そうなの?でも、また会えるよね?
言ってた服屋、行こうね」
「うん。行こう、行こう」
こいつらいつからそんな仲になったんだ。
今日会って買い物行く仲になるって凄いな
と感心した。
彼女と、別れて俺たちも帰る事にした。
「で、あん時何話したんだ?」
と俺が聞くと
「内緒っ」
と副会長が言った。
「ウソっ、別に隠す事もないもんねっ」
「全然大した話じゃないよ。普通の話」
「それと、会長は凄い!って話」
どんな事を話したのかは知らないが、副会長は
本当優しくて、友達思いだって事は分かった。
「そっか。んじゃー帰りますか?」
と、俺が言うと
「ですね。帰りますかっ」
と副会長が言った。俺たちは電車に乗った。
電車に揺られ車内では他の学生たちが
「この後、どこか行く?」
「それ!いいねー行こうよ」
なんて楽しそうに話している。
だから、少し誘ってみた。
「この後、時間あるか?」
副会長は
「あるけど、どうしたの?」
俺は、
「エトウの事も落ち着いたし
良かったらこの後スタジオに来ないか?」
「イサカにも礼を言いたいし
俺のメンバーを紹介しておくよ」
「メンバーって??」
と副会長が聞いてきた。
「バンドなっ!言ってなかったか?
俺バンドしてるんだ」
「凄いねー!バンドってかっこいいよね」
「そうだろ?かっこいいだろ!?」
「でもいいの!?お邪魔して」
「まー無理にとは言わないけどな」
「ありがとう。いくっ!」
といつもの笑顔で答えた。
「ほんと会長は凄いよねっ!」
俺は言った。
「俺が凄い?そんな事ないだろ」
「でも友達には恵まれたと思ってるよ」
副会長が
「いいお友達に出会えて良かったね」
「私なんて、何も出来ないから。。正直今まで
親友って呼べる友達がいなかったんだよね」
「そうなのか?意外だな?」
俺が言うと
「私、中高一貫校で周りはみんなお金持ちなの」
地味に自慢を入れてきた。
「全然、仲はいいんだけど実際、本心では何を
考えてるのか分からなくて」
「そんな事もあって高校は別で受けたの」
俺は
「へぇー金持ちでも悩みはあるんだな?」
「だからってこの学校は無いだろ?」
「その学校よりレベル下がってんじゃんか」
「親は反対しなかったのか?」
「うん。反対はしなかったよ。お母さんは少し
不満そうだったけど、お父さんが理解してくれのさすがに最初は2人とも反対だったけど」
「でも私のやりたい様にしなさいって」
「いい家族なんだな」
と俺が言うと
「うん。お母さん口うるさいし、お父さん面倒臭いけど、2人とも大好き」
「私も、あんな夫婦になりたいと思ってる」
俺は正直羨ましいと思った。
あんなタワーマンションに住んで、理解のある親
もし、俺が副会長の家の子なら今頃は凄く頑張ってたと思う。
いや、今以上に怠けていたかもしれない。
でも、ダブってはいないのは確かだ。
「会長のお母さん、お父さんは?」
と副会長が聞いてきた。
俺は
「普通だな。
お前の後に話すのはあまりにも酷だ」
と言った。
「でも、感謝はしてるよ」
と俺が言うと副会長が
「じゃー親孝行しないとねっ」
と笑顔で言った。
なぜか、この笑顔には正直温かみを感じる。
そんな話をしているうちに電車は駅に着いた。
1限目Lにつづく
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