東京に来てアンチ夏になった話
何かを嫌いだというのはよくないのを承知で言うが夏が嫌いだ。
1、上京前の夏…好き!
岩手県盛岡市に生まれ育ち、結婚するまでの26年間を盛岡市で過ごした。
盛岡の夏は暑いことには暑い。
ただ、夜には涼しくなるので日中の暑い時間アイスを食べて窓を開けて昼寝などしていれば涼しくなる。
盛岡の夏は短い。海の日あたりも梅雨で、はっきり夏になるのは7月最終週。8月16日には花火があるが、年によっては19時半から始まる花火を見に外に出るのに、薄手の長袖を羽織っていくほど。
盛岡の夏の雨の日は涼しいので休みながら暑さを楽しめる。
夏が楽しみで、短い夏をいとおしく思った。
わたしのような人間が言うのも野暮なので、ここは岩手の先人、宮沢賢治先生に代弁していただく。Macで新しいフォントをダウンロードするときにはみんな見ているそう。(モーリオは盛岡市のエスペラント語)
2、東京の夏…死!
最初におかしいと感じたのは上京5年目、2018年。仕事終わり、家に帰る19時前後、エアコン嫌いのわたしが駅から自宅までの徒歩十数分を歩くのにコンビニ、ドラッグストアで3回休憩した。夫は7月の神宮球場で熱中症の1歩手前になり、外に水分補給に行った。
そこから命の危険を感じる暑さと湿気が続いている。朝(身支度を30分で終えるのでエアコンをリビングには付けない)、東窓の我が家のリビングは室温29度、湿度70%代、起きた瞬間から息苦しい。死神が手招きしているような暑さであり一刻も早く出ないと死ぬ‥!と駆け出す。食欲もないが食べないと死ぬ!!と特別好きではないが塩分とカロリー摂取を手早くできる魚肉ソーセージやチーズかまぼこをかじっている。
家から駅に行くだけでとめどなく汗が流れる。日傘は多少暑さを和らげてくれるが、湿度には何も寄与しないので、朝リビングにいた死神がそのまま追いかけてくるような感覚である。ちょっとでも油断をすると死ぬ!走っても脱水になって死ぬ!と死への恐怖におびえながら駅まで行く。駅も暑い。先日、一本電車を見送ったら次の電車が遅延し10分駅に立たされた時も軽くめまいがした。汗はリブTシャツですら吸いきれないほどになり、胸部をTシャツの比較的乾いているエリアに擦りつけて吸わせる。家から職場に行くだけでこのありさまである。家から一歩も出たくないが、さすがにちょっとウォーキングしないと・・というときには、太陽の入らない地下街や、ショッピングモールで漫然とやり過ごしている。とはいえ、秋服を買うには暑すぎて、何も決められないし本も集中して読めない。あらゆる趣味やタスクへの感度が落ちてしまう。荷物が多いのも腹立たしい。大きな日傘、塩飴、帽子、日焼け止め、ハンディファン、エアコン寒すぎ対策のカーディガン、ミニバッグでは決して外出できず、ほとんどA4がギリギリ入るくらいの大きさの黒リュックで過ごした。
3、怒りの矛先は東洋医学へ、健康体へ
X(Twitter)でフォロワーが中医学アカウントをフォローしていたからか、おすすめにいくつか流れてくるようになった。もう発狂するような暑さを前にわたしの怒りは爆発寸前になった。うっかりそのアカウントを押してから次々に出てくるようになった。
梅干し、クコの実、きくらげ、すいか、山芋を食べて、朝からスープ作って、冷たいもの甘いものNG、ストレスをためるな、寝ろ、運動しろ。
わたしは胃腸虚弱で、焼き肉店で焼き肉冷麺ジュースをセットで口にすると必ず下痢をした。朝常温の水500mlを飲む健康法をまねて、オートミール食べて、牛乳飲んで…と様々なパターンでおなかを壊すので、それ以来出先では下痢による脱水症状を防ぐためソフトクリーム、アイス・かき氷の類を単独で食べるのはすべて禁止している。今シーズン家で食べたのもピノ3個だけ。アイスコーヒーなどの氷の入った飲み物も禁止、オフィスではホットコーヒーかお湯の水割りを飲んでいる。
ついでに上記に書いているものはみな好きではないし、朝からスープなど作っている時間はない。仮に前の晩に作っても温めなおして冷まして冷蔵庫に入れて・・・とすると何時に起きるのだろうか。
これ以上我慢しろと!?すでにかなり食べ物の制限をしているのだから、今下痢しないで食べられるものくらい許して!と怒りのあまり「梅干し」「うめぼし」をX(Twitter)のミュートワードにし、目についたアカウントを全部ブロックした。(中医学は何も悪くないです。わたしの俗人的な問題です)
わたしは野球観戦が好きで、素敵な写真を撮ってくださるX(Twitter)アカウントを見ていたところ、夏のデーゲームでの熱中症対策について言及していた。「アイス:好きなだけ食べる」 無理!!!!!(この方も何も悪くないです。わたしの俗人的な問題です)
東京の夏というのは胃腸虚弱じゃない人間だけが楽しめるものなのかもしれない。(代々関東圏にいる人たちは暑さに強いのだろうか…周りにも意外と四季では夏が好きという人が多くて驚いている)
4、おまけ…今の楽しみ
今年の7月長野県松本市に行った際、暑いのだけれど、カラッとしていて、首の後ろに井戸水を掛けて冷やすととても気持ちよくて、「夏はこうであってほしい」と強く思った。信州・北海道の移住サイトを眺めて現実逃避するのが通勤電車のなかの楽しみのひとつだ。
一方、関東くらいの寒さであり、着るものに指定がなければ冬は大得意だ。去年の1月京都・奈良に旅行した時も全行程余裕で体調を崩すこともなかった。1月の正月後の京都は寒くて人がいない、という話であったが、盛岡の痛いくらいの寒さに比べたら余裕で、インナーレギンスも一度も使わなかった。
5、結論…冬早く来て!!!
上記の歌詞を見た時には、藤原基央さん岩手県でも同じ歌詞書けるだろうか(藤原基央さんは秋田県出身なのである程度冬の寒さは知っていると思うけど)と思ったけど、今ならとてもわかる。早く冬来てほしい…!
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