
歌集研究『プラチナ・ブルース研究』(2012)門松清美、中西耀子、中村厚子、名取友紀子 プチ★モンド発行所
「当時の研究方法は、まず十八の小タイトルからなる歌集の目次全体を八回分に分けました。そして毎回、該当部分を読み進めながら、作品内容や用語の特徴、作中に見られる心情や嗜好の理解、歌の背景をなす社会状況、流行・風俗などを討議し、それぞれがテーマを立てました。それらを各自が持ち帰って文章化し、暫定的な結論を出しましたが、歌集全般との関係も考慮しなければならず、相応の努力が必要でした。」 (松平盟子「はじめに」より)
松平と長きに渡って間近で接してきたプチ★モンド門下生4名による『プラチナ・ブルース』研究編です。文体・表記・隠喩・音と調べ・風俗・嗜好・社会背景など、多角的な視点から歌人・松平盟子の人物像を浮かび上がらせるために、数々の論考が展開されています。
読み手として短歌を読む行為は、歌人についての理解を深めながら、ものの見方・捉え方の差異に気づき、改めて自身と向き合うプロセスなのではないでしょうか。読後に自身が何らかの変化をしていることが理想的な「読む」という行為なのかもしれません(これは短歌に限ったことではありませんが)。
より深く自身と向き合うためには、異なる意見を持つ人との議論が必要です。研究の過程で4名の執筆者は大きな化学変化を生じさせ、短歌の詠み手としても新たな変化を体現したものと想像します。
この本は歌人・松平盟子研究の貴重な研究書であり、歌集を読み解く際のひとつの指針と足り得る論考の成果がまとめられています。歌集『プラチナ・ブルース』のガイド書として、歌人・松平盟子を知るための入門書としてお勧めの一冊です。

facebook 短歌の会 プチ★モンド | Facebook