歌人へのプチ★しるべ 大辻隆弘『橡と石垣』(2024) 砂子屋書房
資料「中部の文芸 短歌 松平盟子」中日新聞 2024年7月22日
「短歌を詠むとは、自画像を描く行為に似ている」「自画像にも似る歌集のさまざまは人生の諸相を映し出す。それを読むことで読者は自身を見出し、自らを問うのだ」(松平盟子)
三重県松坂市出身の歌人・文芸評論家の著者による最新の第十歌集である。50代半ばから60代はじめまでの長歌を含む作品が収められている。長年教職に就いていた著者は鋭い人間観察によって日常やコロナ禍、ウクライナ侵攻など数々のモチーフを歌に詠んでいる。一貫していることは、己とは人間とは何かという著者のまなざしであり、歌を介して自身を見つめ直す冷静な思考にほかならない。アララギで学んだ写実を根本においている作品群は師の岡井隆の精神が受け継がれている。その精神が評論の仕事にも花開いているのである。
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