本能
目が覚めた。
トイレに行きたくなったのだ。
暖房も付いてなく、寒かった。
それでも流れるようにトイレへと向かっていった、頭が全く働いていなかったからこそ動けたのだと思う。
電気は付けなかった。あの、こっちの世界に無理やり引き戻された体と全く開く気配の無い目に強い光は毒だと思ったからだ。
まだ真夜中かと錯覚するくらいの暗闇だったが、一つの電気もつけることなく布団へと戻った。
起きる時間に目を覚まして、「夢だったのではないか?」と思ってしまったほどだ。
それでも夢ではなかったと思い返せたのは、あの暗闇の中でこの話を書こうと思い立ったからだった。
頭は最低限しか働いていないはずだった。
人間としての本能、トイレに行く。それだけだったはず。
それでもこの話を書こうと思い立てたのは、私の本能の中に「書く」ということが組み込まれたからなんだと思うと、私は嬉しくなった。
本能、更新できるというか、持ってることに気付いてなかったのかも。
生まれつき持ってたんだ、書くってこと。
駆り立てられるようにこれからも書いていこう。
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