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「赤胴車のある広場」に行ってきました
武庫川団地。川西航空機社(※1)の工場跡地を利用し、都市再生機構(いわゆるUR)によって建設された住宅団地です。
※1:救難飛行艇やダンプカーなどの製造を手掛ける新明和工業社の前身となった航空機メーカー
武庫川団地から大阪・神戸方面へと向かうための鉄道輸送は阪神本線は武庫川駅から分岐する支線である武庫川線が担っており、車両は2022年現在、かつて本線の普通列車に使用されていた5500系が使用されていますが、2020年までは阪神に残る最後の「赤胴車」が運用されていました。(赤胴車については過去の記事で解説しています↓)
そんな武庫川線の終点、武庫川団地前駅からほど近い広場には、最後の赤胴車の中の1両である7890形7890号車が保存されています。
去る10月27日、7890が保存されている「赤胴車のある広場」に行ってきました。
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窓ガラスには高層団地が反射する
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行先表示幕は「武庫川団地」のオリジナル表示
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(実際に購入すると駅のアナウンスが鳴るそう)
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そこは往時の駅の雰囲気そのもの
駅名標の次駅表示は隣接するショッピングセンター
「メルカードむこがわ」の名前が載せられている
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撮影日
2022年10月27日
使用機材
FUJIFILM X-T3
XF16-80mmF4 R OIS WR
赤胴車のある広場 所在地
「7890形とは何ぞや」という話をします。
冒頭で紹介した記事でも触れているように、阪神電鉄本線は普通列車に使用する車両と、特急や急行などの優等列車で使用する車両が明確に分けられています。
阪神本線は路面電車をルーツとする歴史を歩んでいることも相俟って駅と駅の間隔が非常に短く、一般的な性能の車両でもって普通列車を運行すると後続の優等列車にすぐ追いつかれてしまい、特急や急行列車の表定速度が下がって速達性が損なわれてしまいます。これに対応するため、普通列車には高い加減速性能をもった車両を使用し、優等列車には一般的な加減速性能をもたせた車両を使用して、簡単に追いつかれないようにするという方針が取られています。阪神電鉄の公式サイトでは、これらを「普通用車両」「急行用車両」などと区別しています。
1974年、西大阪線の難波延伸を見越した本線向け急行用電車 3801-3901形がデビューしました。この電車が7890-7990形のルーツとなる車両です。
現在は阪神なんば線と呼ばれている当時の西大阪線。1964年までは開業当初の終着駅の駅名から伝法線と呼ばれており、同年に千鳥橋から西九条まで延伸した際に西大阪線へと改称されています。2009年に結実した延伸と近鉄奈良線への相互直通運転ですが、この近鉄線への乗り入れ計画は'64年の時点で既に存在していました。西大阪線の西九条延伸は言わば足掛かりであり、西九条から先は大阪環状線の高架と安治川を越えて九条から地下に潜り、難波を目指す計画でしたが、同区間において38‰もの急勾配が発生することが想定されたことから、この連続急勾配を安全に通過可能な装備を搭載することを前提に設計されたのが3801-3901形でした。
3801-3901形は4両3編成の計12両が製造されましたが、1986年に4両1編成が廃車、残存した8両中の6両を使用して固定編成を組成。余った先頭車は電動車化および改番を施して武庫川線用の2両編成車に仕立てられました。この武庫川線向けに改造された2両編成車こそが7890-7990形です。
余談ですが、この時に仕立てられた6両固定編成は8701-8801-8901形に改番され、昭和阪神赤胴車の雰囲気を色濃く残す異端の1編成として2009年まで運用されています。
西大阪線の延伸計画は一時凍結され、3801-3901形に搭載された急勾配対策のブレーキ装備は他形式車と共通運用するにあたっての足枷にもなったことから異端的な存在であった同車。
5500系導入以前の武庫川線は7890-7990形と7861-7961形(※2)の2形式によって運行されていましたが、7890-7990形が異端であったのは武庫川線でも変わらず、ただし目立って見えたのは性能面ではなく外観上のことでした。
※2: 本線向け急行系車両として製造された4両編成車である7801-7901形の2両編成バージョンの電車
7861-7961形は片開き扉のクラシカルな外観で、パンタグラフは妻側に装備されたのに対し、7890-7990形は両開き扉を装備したやや近代的なスタイルで、パンタグラフは妻側ではなく乗務員室上部に設置されるという、オンリーワンな外観を有していました。
2020年、武庫川線は阪神本線で使用されていた5500系を改造して仕立てられた、同系の武庫川線仕様車へと一斉に置き換えられることなり、7890-7990形は同僚の7861-7961形と共に6月2日をもって武庫川線を引退しました。
7890の相方である大阪方先頭車の7990は早々に廃車、解体されましたが、7890はしばらくのあいだ尼崎車庫に保管され、2020年11月のニュースでUR都市機構へと譲渡され、武庫川団地の敷地内に静態保存、地域のコミュニティスペースとして活用されることが発表されました。その後、2021年3月某日の夜間に尼崎車庫から搬出され、トレーラーによって現在保存されている場所へと陸送。同年7月10日に「赤胴車のある広場」がオープンし、現在に至っています。
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