日記 #21 『美術』
2021-07-20、東京都現代美術館に行ってきた。横尾忠則展を見るために。僕が行ったのは、午後17時で、彼の作品をじっくりと眺めるには全く時間が足りなかった。3階にある作品たちを、泣く泣く早歩きで見るしかなかった。でなければ、館員の熱い視線を浴びるはめになる。他人の視線を気にして見る、という行為ほど意味のないものはない。なにせ、頭の片隅(もしかしたら大半)でその視線のことを考えなければならないのだ。それは小説やこの日記も一緒で、書く意味すらなくなってしまう。
まぁそれは置いておいて。閑話休題。
横尾忠則の作品はあまりに多岐に渡り過ぎていて、ふらっと行った僕からしたらどれに重きを置いているのか分からなかった(もちろん全部に力を入れているのを前提として)。アニメーションのようなものもあれば、芸術的なものもあるし、少年マガジンの表紙もあった。しかしどれもが世界観を保っていて、絶対的な何かを感じる。僕は不足だらけだし、美術に関する知識が一切ないから絵に関して技術的に何か言うことが難しい。この絵にはこういう技法を使っている、だとか言えない。ただ戦争の時代から現代まで、それらに関する作品が様々な視点から描かれていて、見るのに飽きることというのがなかった。そのどれもが個性を発揮していたし、見応えがあった。あと、似た絵をたくさん描いてるのも気になった。全く同じ顔で、同じポーズした女性が色だけを変えて描かれていたりした。タイトルも大幅に変わるわけでもなかったし、不思議だった。ただ僕から見ても分かるくらいに創意工夫が凝らされていた。その作品に可能性を感じ、色々変化させて描いたのかもしれない。
美術館に行くという行為自体が久しくなくて、どこか特別なことをしている気がした。美術館に行くという事は誰でも出来るけど、行くことが特別なことになっているのは僕だけかもしれない。あと単純にあまり行ったことない場所だったから、旅してる気分になった。帰り道の古本屋で3冊も買ってしまった。見たこともないような本ばかりで、本当に眺めているだけで楽しかった。店主も柔和な笑みを常に浮かべている人で、少しだけしか話すことは無かったけどそれだけで気のいい人なのだと分かった。
今度はもっとゆっくりと見て回りたい。
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