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格安で楽しむ草津温泉の小さな旅


 

はじめての草津温泉


 15年ほど前、神奈川県にある自宅から車を走らせて、初めて草津温泉に訪れました。温泉ブームに嵌まっていた主人と私は 、憧れの温泉地を巡る楽しみに溢れていたのです。

 神奈川県を真夜中の10時頃出発。

 高速道路は一切使わず、一般道路で車を走らせていました。何故かというと、主人いわく一般道路の方が気を使わず、マイペースで運転できるからとのことです。また、夜行ドライブの方が混雑に巻き込まれることなく落ち着くからということもあります。

 
 朝の6時頃草津温泉到着。
 
 
 道の駅の駐車場に車を停めてから、躑躅(つつじ)の咲き乱れる散歩道を下っていきます。ちなみに、道の駅から階段を下りてすぐのところに『躑躅(つつじ)の湯』と言う共同浴場がありました。時間帯によっては無料で入れるとのこと。名前の由来は、躑躅(つつじ)の時期になると、園地内に美しい花が咲き乱れることからだそうです。

 20分ほど坂道を下り、バスターミナルを横切ってさらに歩くと湯畑に到着。
 
 源泉の滝が流れる絶景に目を見張りました。ザーザーと音を奏でる滝の音、白濁色の温泉に碧みがかった広大な湯畑は神秘的です。もくもくと白い湯気が立ち上り、温泉特有の香りが漂ってくる。これぞ憧れの草津温泉なんだなと感動を覚えました。
 
 湯畑の付近にはなんと、『白旗の湯』という無料で入湯できる温泉が !
  早速、拝借させて頂きました。
 詳細については、無料共同浴場の頁にて語らせていただきます。

 

リーズナブルで美味なモーニング

 
 湯畑から温泉街の路地を歩いたところにお洒落な喫茶店を発見。
 いえ、喫茶店ではなく、『ペンション五郎次』という看板表示がされていたので、宿泊がメインなのでしょう。リーズナブルな値段とパンの芳香な香りにつられて、モーニングセットを注文しました。

モーニングの手作りパンセット

・手作りパン
・手作りジャム
・ハムエッグ
・サラダ
・中身をくりぬいたパンを器にした
 コーンスープ。
 フタも切り取ったパンを使用

 手作りパンの香ばしさとジャムの上品な甘さで美味を味わいました。
 コーヒーはセルフサービスでおかわり自由です。
 感激したのはパンを器にしたコーンスープでした。とにかく、見た目がユニークでお洒落なのです。少し食べにくいのが難点ですが、パンとコーンスープが見事にマッチして口のなかに広がりました。スープの味が染み込み柔らかくなったパンの食感は癖になります。 

 メニューが気に入ったので、こちらのお店はご贔屓にさせていただきました。


西之河原温泉周辺 

 草津温泉の名湯の1つ目、西之河原温泉へと向かいました。
 散策コースである西之河原公園は温泉地特有の趣ある風景です。源泉が流れる小川、池、白い湯気が立ち込める石畳の散歩コースはのどかで風情があります。    

そして、お目当ての温泉に到着。

 なんと、池のような広大な露天風呂!!
 面積は500㎡もあり、25mプールの2、3倍ほどの広さに感じました。さすがは日本最大級の露天風呂と呼ばれるだけのことはありますね。深さがあれば泳げそうなほどです。(深くても泳ぐのは禁止ですが)これこそ、まさに千人風呂なのです。解放感があり湯船に浸かると心が洗われていくようでした。四季折々の景色も楽しめるそうなので、紅葉の時期にも訪れたいものです。


大滝の湯

 
 名湯の2つ目、『大滝の湯』。
 遠くまで来たのだから、このさい贅沢をしてしまおうということで、はしご巡りをしました。

 広大な館内で清潔感があり設備が整っています。合わせ湯、内風呂、露天風呂のある浴室が3種類あります。合わせ湯は木造の造りになっており、温度別に小分けされた湯船が数ヶ所ありました。温度が異なる温泉に順番に入っていくことを、合わせ湯と呼ぶそうです。共同浴場の白旗の湯の湯船を増やしたような感じでしょうか。木造の造りは情緒的で深みがあるので、心が癒されます。温度の低い方から順番に入っていきましたが、さすがに最高温度の湯船は爪先を入れるのも困難です。

 露天風呂に入ると温泉の滝が流れており、碧みがかった源泉の入った湯船は景色ともに素晴らしいものでした。
 岩風呂の周辺には源泉の結晶が碧く広がり、効能の強力さを感じます。

 内風呂は洗い場も広く清潔感があるので、使い心地が抜群でした。美人の湯とも呼ばれているので、女性人気がありそうですね。美肌効果もあるのですから。


 初の草津温泉は白旗の湯、西之河原温泉、大滝の湯と3種類の湯巡りを楽しんだ後、帰路へと向かいました。
 「えっ !!宿泊はしないの !?」 と思われる方もいらっしゃるでしょう。
 なんと、私達夫婦は関東周辺の距離であれば、0泊2日の夜行ドライブで小旅行をしていたのです。人混みが苦手な主人が、

「GWやお盆休みや祝日は混むから、かえって普通の土日に動いた方が落ち着く。休みさえ取れれば平日はもっと動きやすい」

 と考える人なので、旅行はほぼ土日休みを利用していました。2日間だけの休みに宿泊となると週明けが慌ただしくなるため、夜行ドライブでの日帰り旅行をしていたということです。また、節約を兼ねていたこともあります。私自身はリッチに旅行したい時もありましたが、主人は質より量(質も良いのですが)にこだわっており、

「なるべく、数多くいろいろな所へ行きたいから節約できるときにはしたいんだ」 

 とのこと。 

「確かに年に一度出費の多い旅行するより、贅沢をしすぎず数多く楽しむのもアリかも知れない」 

 私も主人の考え方に賛同するようになりました。 その話をすると、周囲の人に驚かれます。実際、私達夫婦のような旅行のやり方はごく稀なのでしょうね。 

 初めての草津温泉は感動と名残惜しさを抱いて温泉地を後にしました。

 

入湯料0円で楽しめる贅沢な温泉

 良質な温泉地の豊富さに味をしめ、年に数回、草津温泉を訪れるようになりました。初回と同じく夜行日帰りの旅です。結局1度も宿泊したことはありません。(正確にいえば道の駅に宿泊したことはありますが)
 しかも、宿泊どころか、初回を除いて、入湯料でさえ1円もお金をかけないで楽しんでいたのです。つくづく自分達は貧乏性なんだなと思い笑ってしまいます。  
 
 草津温泉には、小さな共同浴場が18箇所あります。有り難いことに、そのうちの数ヶ所は、なんと無料で入湯させて頂けるのです。10年ほど前は8割ほど無料入浴が可能でした。
 しかし、Web調べによると、コロナ渦の規制により、無料で入浴出来る場所が数ヶ所に限られてしまったとのことです。残念ですが、安全性を考えたら仕方のないことですね。

 無料共同浴場は広い温泉街のありとあらゆる場所に設置されています。宝探しのように地図で探しまくり、片っ端からさまざまな場所で貰い湯をさせて頂きました。浴場を発見する楽しみと温泉で快適さを味わうのがなんともたまりません。おおよそ15箇所ほど入湯させていただきました。
 多いときで1日12、3箇所の貰い湯をしたこともあります。お陰で、すっかりのぼせ上がってしまいました。 
 
 自分の中で感じたベストな場所の5選のご紹介です。

白旗の湯 


 共同浴場の中でも人気の高い温泉です。湯畑付近に存在し、木造の室内に趣があります。
 脱衣所と湯船が一体化しているので、貴重品には細心の注意が必要です。
 また、強酸性であるため、金属製のアクセサリー類は溶けてしまうので外しておかなければいけません。
 温湯と熱湯の2つの湯船があります。   熱湯は46度の高温なのであまりの熱さに片足突っ込んですぐに出してしまいました。
 「熱い!」と呟いたら、近くの方がアドバイスして下さりました。

「熱くて入れないの? いきなりではきついよ。温湯につかって熱湯でかけ湯すれば入れるよ」 

 お礼の言葉を伝えて、早速試してみることに。なるほど、確かに1回目の時より入りやすくなりました。ちなみに冬場であれば、冷気により温泉が冷めるので余裕で浸かることが出来ます。


地蔵の湯


 湯畑から小路を入って数分歩いたところに地蔵尊があり、同じ敷地内の中に足湯と共同浴場があります。『地蔵の湯』の名前に相応しい落ち着いた情緒ある風景です。浴場内は、白旗の湯と同じく脱衣所と浴室が一体化しており、趣のある造りでした。温泉はやや熱湯で身も心も温まりました。


千代の湯 


 湯畑から数分ほど歩いたところにある温泉です。こちらは脱衣所と湯船は別室になります。湯畑の源泉が張った石造りの湯船に浸かると癒されます。画像の湯気から温泉の香りが漂ってきそうですね。

木で縁取られた石造りの湯船


長寿の湯


 温泉街から外れた団地付近に存在しているので、見付けるのが難しいかと思われます。主に地元の方が利用されているそうです。温泉水の沸きだす溝から、お湯を救える構造になっており、洗い場として使用できます。体を洗ってタイル張りの浴槽に浸かるとさっぱりします。使い心地が良好なので、草津温泉を訪れる度に利用させて頂いていました。


巽の湯

 数ある共同浴場の中でも広大でスペースにゆとりがあります。こちらも使い心地が良好なのでゆったりと出来ました。
 

貰い湯のマナー
 

 すべての温泉に共通することですが、貰い湯の際にもマナーを守ることが必須です。各浴場に温泉に入湯する際のマナーが表示されているので、皆様が快適に楽しめるように心配りが必要ですね。


おもてなしの心が素晴らしい温泉地

 お年寄りの観光客の方から、草津温泉の湯にゆっくり浸かったら、身体の調子が良くなったというお話を聞かせて頂きました。さすがは名湯だけあって、効果抜群ですね。
 温泉、風景、食事どれをとっても素晴らしい草津温泉ですが、それに加えておもてなしの心が溢れているので暖かい雰囲気に包まれます。
 無料で貰い湯を頂けることは、もったいないくらいの有り難いことです。
 また気さくで親切な方が多く、温泉についてのアドバイスなどもして下さりました。
 お陰さまで、気持ちよく楽しませていただき、感謝しております。
 さすがは、日本三大名泉と誇るだけの温泉地です。

 
 草津温泉の皆様、最高のおもてなしを有り難うございました。




#至福の温泉


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