Buddy Daddies

Crunchyroll AnimeAwards 2024 最優秀オリジナルアニメーション賞  受賞


#1、カーチェイスのシーンで、 零がライフル?をクルリと回すシーンがカッコ良かった。
曇りガラスを拭くミリの手が可愛かった。
物語の導入部分での華やかな惹き込みが良かった。

日が落ちた時、ベランダにある植物の薄らぼんやり感が好きだった。
キッチンの戸棚を開けると食材がぎっしり描かれていて、別の戸棚の中も見たい!!と思ってしまった。
家の中のシーンが多かったけれど、描かれている中心がキッチンの中だったり、リビングだったりと視点移動しているから雰囲気が変わるし、カーテンを開けている状態なので、外の景色も日中で変わり、飽きさせない画面の工夫がされているなと思った。

OPで零が夜の街をバイクで走っているシーン、オレンジの色彩が凄くリアルだった。
福岡市での在住経験があるので、福岡で暮らし始めた頃、街路樹のイルミネーションとお店や車の光で、福岡の夜はオレンジ色だなぁと思ったのを思い出し、景色が飛び込んでくる感覚になった。


#3
一騎「聞かねぇよ」 零「言わないよ」、
一騎の言葉に「クタクソ」だけで返す零、
「零パパだって!!」と茶化すけれど、そう呼ばれるようになった理由までは聞かない一騎。 そして、
零「3人分?」 一騎「3人分。」
あまり語らなくてもお互いのことを分かり合えている「Buddy」であることが上手く表現されているなと思った。
夕陽に向かって 3人で歩くシーン。
ミリと手を繋ぐ一騎には「パパ」になる決意を感じ、手を繋いでいなかった零は、一騎ほど距離を縮められていないのかなと思った。
「3人分?」のところからずっとオフ台詞だったので一騎と零の表情は分からなかったけれど、掛け合いが凄く良かったし、お二人のお芝居で作った空気感と夕陽の色彩で温かくて柔らかい気持ちになった。
映像ではミリとの距離感。
お芝居ではバディ感。
作り手さんが言葉以外で伝えたいことがギュっと詰まっているように思えたし、本当に素敵なシーンだった。


これ以降の回では、零と 2人で話す時にはミリのことを「アイツ」と呼ぶこともあった一騎が必ず「ミリ」と呼ぶようになり、零にとってのミリの存在は
「困った時に助けてあげる人」から
「助けてあげたい人」に変わっていった気がした。
ED の最後のイラストでは、一騎ではなく、零がミリを抱っこしているところにキュンとした。


#1,#2 はドタバタしていたし、#2 はミリが「キャー」というキーキー声を出すので、ちょっと見続けるのは無理かも。。。と思ってしまったけれど、#3 でグッと作品に惹き込まれた。
#3 でミリが公園でブランコをしている時の声、アフレコ現場にブランコが設置されているんじゃないかと思うくらいリアルだった。
振り返りの配信で #2 の最後の乱射のところを
「主人公だからあれだけ撃たれていても当らない」
「流れ弾をくぐって避けていた」
と主人公のお二人がツッコミながら解説していたのも面白かった。


#4 以降、3人が「おはよう」などの挨拶を交わす場面が多かったけれど、ミリを含めた 3人での暮らしの中で起きた変化なのかなと思った。
#2 で「飯食う前には「いただきます」だ!!」と一騎が叱っていたのに、#7 では 2人共「ごちそうさまでした」と言っていたりと。
(零は「でした」だけだったけれど。。。)
特に #1 では、一騎が帰ってきてもゲームに夢中だった零が、 #7 ではゲームをしていても「おかえり」と言うところは、零、変わったなぁ。と思った。
何気ない変化が、何気なく描かれていたので、普段は放送回のお気に入りのシーンを次の回まで繰り返し観ることが多いけれど、この作品では「あれ? これいつから変化したんだろう」と思い、放送回よりも前のお話を見直すことが多かった。
1話進むと約1ヶ月経過していることが多かったけれど、作り手の皆さんが
紡いでくれた物語の中で、描かれていない空白の期間に思いを馳せながら、
次の放送まで過ごせた気がする。


ミリは、頭の中の言葉のシーンや、ひとり言のシーンが無かったので、本当に4歳児を見ているようだった。
屈託のない笑顔にピッタリの笑い声で「海坂ミリ、4歳です」にしか見えなかった。
OP曲「SHOCK!」の歌詞にある「頭の中が分かんない」という感じで、一騎や零と同じように振り回されていたので、2人の心情を追いやすかった。


#7
「零!!」と呼ぶ一騎の声は、機嫌のバロメーターや、どれくらい離れたところにいる零を呼んでいるのかを感じられ、同じおうちにいるような気分にさせてくれた。
PVを観た時から一騎の声は華やかだなぁと思っていたので、お墓参りのシーンは、あの声だけで切なく感じ、中の方の少し掠れる声質で、更に切なさが増してしまった。
「大丈夫。忘れちゃいないよ」
は、柚子さんに向けたものプラス、一騎が、自分の気持ちへの確認のようにも感じた。

零がミリを自転車に乗せて走るところ、あそこの背景画も福岡市の土地勘がある人ならば、おぉ!!と思うところだと思う。
どこら辺に住んでいるのか、どこら辺に保育園があるのか想像出来る。
零が一騎の置手紙を見ながら「ミリ、俺たちはな、捨てられたんだ」って、子供 2人の会話だよ。。。
ミリの「えぇー?!」が凄く可愛かった。

零がミリと 2人になってあたふたするところ、熱を出して本当にどうして良いのか分からなくなるところ、丁寧に物語として落とし込まれているなと思った。
この出来事が切欠となり「Daddies」になる。
最終話でミリに歌の感想を聞かれ答えた零の声は、穏やかで優しくて「パパ」だった。

これ以降、シリアスな部分も入ってきて、これ、どうなるの?終わるの?と思いながら観ていた。
ミリを母親に返すことを決め、3人で出掛けてクレープを食べながらの会話、あそこはウルっとした。
どうなるんだろうと思いながら最終話を観たけれど、悲しい結末になるのかなと思っていたけれども、そうではなく上手く話が纏められていたと思う。
纏められていたけれど、生活として続いている、これから先も続いていくように描かれているのも良かった。
最終話の EDは OP曲が流れた。
明るい雰囲気で終わって良かったし、紡がれていない期間が写真として描写されていたけれど、ED曲の歌詞が使われていた。
別作品だけれども、その作品の ED曲を担当されていたアーティストさんがアニラジにゲスト出演されていて、「ED曲は初回は流れない。最終話も流れない時がある。OP曲に比べて流れる回数が少ない。」と寂しそうにお話されていた。
多分、ED曲を担当される方は同じ気持ちなのではないかと思うので、あれは嬉しかったんじゃないのかな。
「OPからEDまでが作品の作り手」という感じがして良かった。

大きく気になったのは 2点。
1つ目は #5で、遠足に行く時に薄手の上着を羽織っていたこと。
5月中旬くらいだったはずなので、九州でこの時期に薄手でも上着を羽織ることはほぼ無い。
2つ目は #7でかりんと話しているところの紫陽花。
もう少しはっとするような描写にして欲しかった。
心情を追って欲しいシーンでもあるので作り込まなかったのかもしれないけれど、あそこは背景画の魅せ場だと思う。
背景画でもグっと惹き込んで欲しかった。

出来れば、これが観たかったというのも 2点。
#1の EDはアニメーション無だった。
エンドロールでのW主人公のお二人のお名前は、横並びで出して欲しかったかなぁ。
もう1点は #4で市役所の案内係として出演されていた女性声優さん。
福岡出身なので、ネイティブ博多弁をあの可愛い声で聞きたかったなぁ。

1回目の放送前特番で内山さんが
「豊永さんはやりたい放題で、台本をちゃんと見てますか?」
と仰っていた。
2回目の放送前特番にはプロデューサーさんも出演されていて、その時も「ここは、こうお芝居するのかー。と思いました。」みたいなお話をされていた。(動画は公式さんがアップしていて今でも見れる)
豊永さんはかなりアドリブを入れてお芝居をされていたようだけど、どこがどうなのか全く分からず仕舞いだった。
この作品でのお芝居は、普通に読むとこうだけど、こうした方が面白いかな。という視点で組み立てたらしい。
ここ、アドリブかな。と思うところもあったけれど、ここがアドリブならばどこからだよ、台本、くれ!!という感じだった。
アドリブと分からないようにお芝居をされているというのは勿論だと思うけど、そのお芝居の面白さに作画も合わせている、連携プレーなんだろうなとも思った。
また「Buddy」が内山さんだったので、振り切ったお芝居をしても大丈夫。という安心感もあったのかなと。

アニラジを主人公のお二人がパーソナリティでやられていたけれど、各話毎に振り返りながら、アフレコ現場でのお話などを聴けて凄く良かった。
声優さんのお話を聴くと解釈が変わりそうなので嫌。という方もいるかとは思うけれど、解釈が変わりそうな話し方はされていなかったし、丁寧にお話されていたのでオススメ。(公式さんがアップしてくれている)


ラジオ以外にも、Buddy Daddies は放送前から色んな企画をしてくれて楽しかった。
特に「スタッフ・キャストインタビュー」は、皆さん丁寧にコメントされており、毎回、楽しみだった。


▼ インタビュー記事


最初の放送前特番の配信が 10月で、放送終了後のイベントも 3回あり、最後のイベントは 8月だったので約10ヶ月間、作り手の皆さんや、受け手の皆さんと一緒に過ごせた。
#6 が終わった頃から、作品を通じて過ごせる時間が終わってしまう寂しさを感じてしまい、ED曲「My Plan」の
「この日々が長く長く長く長く続くように」
という歌詞に、そんな想いが乗っかってしまって切なかったけれど、今となってはお二人がカバーした曲を聴くと作品を想い出せるので良い。
DURDNさん、カバーの提案をして頂いて有難うございました!!


今回、W主人公を担当したお二人は「Buddy Daddies」が放送される 10年前に「絶園のテンペスト」でもW主人公で共演している。
高校生を演じていたお二人が 10年後に再び W主人公で共演し、担当キャラクターが「高校生+約10歳」の年齢になっているのも感慨深かった。
監督さん,キャラクターデザイン/総作画監督さんのお二人は「絶園のテンペスト」の作り手さんというのも嬉しいところだった。
作り手の皆さん、素敵な作品と楽しい時間を本当に有難うございました。
忘れられない作品となりました!!

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