保育業界に希望を見出せなくなった理由

人手不足の原因

一言でいうのは難しいけれど、保育園に勤務して3年くらいすると、この業界の慢性的な人手不足になる仕組み、みたいなものがわかるようになってきました。

医療業界にあって、保育業界にないもの

以前の記事で書いたように、『保育士』という資格は色々な取得方法があるために、教育概念を共有しにくい上に、保育スキルの習熟度も個人差がある。そのため出来る保育内容が変わってくる…という現象が起きています。

コレ、医療業界では起こりにくい現象だと思います。

病気の診断基準が医師の個人的概念で診断したら大変なことになりますからね。
医師の好き嫌いで治療方法(保育園なら保育方法)を決めていたら治る病気も治らなくなるでしょう。
人体の仕組みとは?病気とは?治療方法は?色々な共通の知識や技術のもと、医療従事者は働き始めます。そして専門性を高めていく…という流れになります。
もっと良くしよう!と、常に議論、研究が行われ、新しい理論や治療を開発し、常にアップデートをしている業界だと思います。
今まで信じてきた治療とは180度違う方針に変わることなんてよくあることです。
常にアンテナを張って、医療従事者は新しい発見に対応しようと格闘しているような気がします。

保育業界ってそれが育ってないんだなぁ…と、ある日思いました。
何十年も同じことしている保育士もいる…。
ツヤ子の子どもの頃と同じじゃない…。(ちなみにツヤ子は50年前保育園児でした。)


抑圧的支配型保育士と共感型保育士

これは完全にツヤ子が保育士さんを観察して勝手に作った言葉です。
保育士さんは気の利く、自己犠牲心の強い、いい人たちが本当に多いです。それが故に2パターンに分かれるようです。


抑圧的支配型保育士の特徴

1.意見をはっきり言う。
2.自分の考えが一般常識と思っている。
3.それを理解しない人、抵抗してくる人は『おかしい人』と反応する。
4.赤ちゃんでも集団生活のためなら我慢するべきと考える。
5.自分の保育法を変えない。
6.新しい保育法を取り入れることは殆どしない。
7.子どもに対して抑圧的態度で保育をするため、本人が保育に入っている時、子どもは従順な行動をとる。いなくなると子ども達は途端に落ち着かなくなるが、それは自分のスキルが高いからと思い込んでいる。

共感型保育士の特徴

1.自分の意見をはっきり言わない。
2.自分の意見は正しいので、意見を言わなくても周囲は理解をしてくれると思ってる。
3.他者の機嫌を気にしすぎ、我慢することが多い。
4.全ての人に『いい人』と思われたい。
5.強めの意見の人に流されやすい。または都合よく利用されやすい。
6.本人は上記の自分特徴を自覚しているのに、他者に『嫌われたくない』という気持ちが強く、変わろうとしない。
7.周りの人のためなら、例え不満があっても、自分が我慢すればいいと思いがち。
8 .子ども達に共感的保育ができるので、子ども達が落ち着きを取り戻せる。


抑圧的保育士が管理職になる仕組み

共感型保育士は抑圧的保育士の顔色伺いながら仕事をしています。
結果的に抑圧的保育が優勢になり、子ども達は落ち着きを失い、クラス崩壊します。
落ち着きを失った子ども達の立て直しを任されるのは共感型保育士のことが多いです。共感型保育士は抑圧的保育士の顔色を伺うと共に、子ども達の立て直しをしなくてはなりません。そのため負担感はどんどん重くなる…。
コレが3年くらいに続くと共感型保育士はしんどくなり、退職していく…。
そして、抑圧的保育士が残り、着実に勤続年数を重ねていきます。クラス崩壊を招くような保育スキルにも関わらず、結果的に役職についてしまうようです。

管理職となった抑圧的保育士の支配

抑圧的保育士は支配好きなので職員も支配したがります。
自分に従順そうな職員を選び、自分のクラスに配置し始めます。何ぶん管理職なのでシフト管理は朝飯前です。こうしてクラスのブラックボックス化はますます進行していきます。

そして恐ろしいことにその采配を止められる人材はもう保育園内にはいません…。

子ども達は益々落ち着きを無くし、翌年受け持つ共感型保育士のクラス運営は困難を極めます。

そんな時、抑圧的保育士が決まって言うセリフは『私が受け持ってた時はそんなことなかった。やり方が悪いんじゃない?』である。

形骸化していく会議

抑圧的保育士が管理職となり、会議を仕切り始めると新しい意見は出ることはありません。
『はっきり意見を言う』抑圧的保育士に意見を言う保育士はあまりいないからです。

子どもの発達問題についても『困ってるんですよね〜』といった具合で解決法を考える会議ではなく、ただの困ってること報告会になっていきます。

『そんなこと言えない』と言って、意見を言わないと決めたのは自分。

共感型保育士は自分の意見を公の場で言うことはまずありません。個別ではとてもしっかりした意見を言えるのに、会議などの公の場では『そんなこと言えない』と言いいます。まるで誰かに意見を言うことを止められているような言い方をすることが多いです。

はて…?
誰が止めているんだろう?

それは場の空気を読みすぎる共感型保育士、自分自身なのでは?

共感型保育士は非常にスキルの高い人が多いのに、活躍できない理由はそこにあるように見えます。

仕事ができる人ほど働きにくい業界

ツヤ子が保育業界で思ったことです。

気が利く人ほど抑圧的保育士の不適切保育に疑問を持ち、責任を感じ、それに押しつぶされてしまうように見えました。

賃金が安いのは確か。

しかし、一番の問題はそこのような気がしています。

抑圧的保育士は抑圧的保育士を新しく生み出すか、若手保育士を潰す

これも保育園の慢性的人手不足を招いている原因に見えます。
抑圧的保育士はスキルはともかく、経験年数だけは着実に重ねているので、新卒保育士と組んで仕事をすることが多いです。
さて、そこから起きることといえば…。

新人教育プログラムが無い…。

そもそもそツヤ子の勤務する保育園には新人教育プログラム的なものがありません。新人保育士さんは一緒に働くベテラン保育士の指示を忠実に従い、保育スキルを真似て日々の業務をこなすしかありません。
つまり、抑圧的保育士のスキルを真似るしかないということ…。
そして、それは新しい抑圧的保育士を生むということ…。
毎年、気づくとフレッシュだった新人保育士さんが抑圧的保育を完コピしてます。
そしてツヤ子は
『ああ…。このコもか…。』と思ってしまいます。

抑圧的保育に苦しみ退職するか?それとも抑圧的保育士になるか?

若手保育士さんが悩むのはコレのように見えました。
一年目はベテラン抑圧的保育士がいるので子ども達は従順です。しかし、いざ、ひとりでクラス運営を任された時、上手く行かないことが多いようです。
そしてそんな若手保育士さんが言われてしまう言葉は…。
『あの子、チカラが無いんだよ』である。

うっそ~!何いってんの!?

あらあら、ブラックツヤ子が現れた…。

そもそも子どもの発達なんてお構いなしの抑圧的保育がまかり通ってることがおかしいんでしょ!

新人指導者を育成する仕組みもなく、新人指導のプログラムもない、その上新人指導者をフォローする仕組みもなければ、新人のスキルチェックの仕組みもない!
これで新人が本気で育つと思ってるの?

上手くいかなきゃ『チカラが無い』って個人攻撃かい!
何いってんの?新人を育てられないあなた(抑圧的保育士)のチカラが無いんでしょ! 
(ブラックツヤ子の鼻息が荒い…。)

ちくしょー!一生懸命育てたのに〜!

ツヤ子が若手保育士さんの親ならこう思う。
悩める若手保育士さんを見ていると、彼らの親御さんの気持ちを考えてしまう…。
一生懸命育てた子どもが、やっと保育士になって独り立ちして、ホッとしてるだろうに…。
でも、おかしなベテラン抑圧的保育士に悩まされる我が子…。

抑圧的保育士は愛着問題を抱えている可能性がある

何故、抑圧的保育士になってしまうのか?
何故、彼らは自分達の保育をアップデートさせないのか?

これまでに何度も紹介してきた本
『愛着障害・愛着の問題を抱える子どもをどう理解し、どう支援するか?』 米澤好史著 2019.8.25  福村出版
では以下のような内容がありました。(要約)

子どもの情報を伝えても聞く耳を持たない保護者(保育士、指導者)にどう対応したらいいか?

その保護者(保育士)自身に愛着問題の特徴である自己防衛がある。そのため、自分のやれることしか聞こうとせず、できないことを聞くと自分が不安になると思っている。人の言うことを聞く必要がないと思いたい虚勢の自信など、優位性への渇望が考えられる。

ああ……。まさに、抑圧的保育士の特徴…。
ああ……。まさに、最近多い保育園児の親の特徴…。

しかし、この本スゴイなぁ。

愛着の問題を抱えている大人が、子どもと愛着形成できず、子どもを愛着障害にしてしまっている…?
そして子ども達は愛着障害を抱えたことを知らずに大人になり、就職し、親になり、また子育てに悩む…。

あらあら…。おやおや…。

ツヤ子が保育園に就職し、感じた疑問。
『子どもが落ち着きをなくしていく構造』は突き詰めるとそんな感じなんだなぁと、ツヤ子は思いました。

この保育園は何も変わらないよ

そう言って沢山の保育士さん達が退職していきました。気がつくとツヤ子が就職した時にいた職員は半分以上入れ替わっていました…。

結局さ、子ども達のためじゃなくて、大人達のための保育なのさ

ブラックツヤ子が呆れたように話します。
子どもからの視点が無いんだよ。
だから子ども達はおかしくなってるのさ…。
大人達都合の育児環境で子ども達をおかしくしておいて、最後は『発達障害なのでは?』と、医療(療育)に丸投げするんだせ…。
医療業界が逼迫する訳だよ…。


防犯カメラの導入の必要性

ツヤ子の職場でも教室に防犯カメラを導入することが検討されています。
正直、この話を聞いた時、
『やっと不適切保育が証明できる』と思いました。
何度か『不適切保育なのでは?』と管理職に訴えたことがありますが、
『看護師は保育のことをわかってない』と言われ、相手にしてもらえませんでした。
管理職自身が抑圧的保育士なので、不適切保育になりやすい抑圧的保育を『不適切』と認めることはまずないでしょう。
前述の米澤先生の本の内容からしても理解できると思います。


自浄作用のない組織 

ツヤ子が保育業界に希望が見い出せなくなった理由は自浄作用がない組織だと思ったからです。
おそらく、防犯カメラをつけたところで、抑圧的保育士の管理職は『抑圧的保育』を『不適切』と認めないだろうし、自分の意に沿わない保育士に対して防犯カメラの映像を使って攻撃したり、支配を強めるのではないかと思ってしまったからです。

疲れたね〜

最近、その一言に尽きます。 
保育業界に転職し、色々モヤモヤし、調べ、自分なりに答えを見つけつつありました。
でも、答えを見つけたところで、一介のおばちゃん看護師があれこれ言ったところで、

『保育業界の人から見たら、ただの理屈ばかりの面倒くさい人だよ』(←うちの息子のコメントです)

ですよね~。(←ちゃんと自分が面倒くさいことは自覚しています!)

やっぱり医療業界に戻るか〜と思っていると、人生って不思議なものですね…。

ツヤ子、癌になる!

あら~、びっくり仰天!
私、癌が見つかりまして…。
とりあえず、お仕事はお休みして治療することとなりました!
まさに医療業界に戻るですね~!(患者としてというのが笑っちゃいますが…)

それでは今度は病院に行ってまいります!

皆さまもご自愛くださいませ!




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