ツヤ子調べ② 『「発達障害」と間違われる子どもたち』を読んで… その2〜「発達障害もどき」と睡眠不足編

前回の記事の続きで『「発達障害」と間違われる子どもたち』 成田奈緒子著 2023.3.15  株式会社青春出版社
を読んで考えたこと、気づいたことを書き残したいと思います。

「発達障害もどき」とは?

本著の成田先生は臨床経験より、診断はつけられないが、発達障害の症候を見せる『発達障害もどき』(←成田先生が個人的に作った言葉です。)の子どもがいることに気づかれます。

脳が発達する順番はどんな人でも変わらない

『発達障害もどき』の原因を理解するには、まず、脳の発達順番について理解するとわかりやすいです。
成田先生は小児脳科学者でもあるので、本著にはそのことがわかりやすく記されています。

脳には3種類の役割がある。

 ①『からだの脳』(←0〜5歳に活発に成長する。)

 ②『おりこうさん脳』(←1〜18歳で成長。とくに6歳以降に活発に成長する。)

③『こころの脳』(←10〜15歳に成長。)

どんな人でも、①⇒②⇒③の順番で発達することが脳科学で、発見されています。

『発達障害もどき』の子どもは、この順番に乱れが見られるのでは、と成田先生は述べています。

未就学児は『からだの脳』を鍛えるべし!

ついつい『早く言葉を覚えないかな?』『早く字や数を教えて、勉強出来る子にしたい!』
と思って、色々教材を買ったり、教育系動画を見せたり、習い事させたり、してないでしょうか?

そして、反応が今ひとつの子どもに、イライラしたり、今度は違う教材を…なんてループにハマり、
最後に、
『うちのコ発達が遅いかも…』と、心配になったり(涙)

『パパさん、ママさん、それはお疲れ様でしたねぇ』と、ツヤ子。(←ツヤ子は子育て支援センターで子育て相談もしてます)

心配いりません。未就学児の子どもの脳は、それをキャッチする脳が発達していない、まだ教えるには早い、ということです。

知識を教える前に、『食べる』『寝る』『遊ぶ』をたっぷり楽しんで生活し、『からだの脳』を育てることがポイント、ということです。

頭でっかちな不安定な家が『発達障害もどき』

『からだの脳』は『おりこうさん脳』を支える土台というわけです。

土台(からだの脳)が弱い家に、重くて立派な屋根(おりこうさん脳)は建てにくい。

もし、屋根が建てられても、頭でっかちな不安定な家になる(脳のバランスが崩れる=『発達障害もどき』)、というわけです。

本著は脳バランスが崩れると、子どもにどんな症候が起きるか、ということが丁寧に記されています。


ポイントは睡眠時間

脳の発達順番の乱れに影響を与えているのは、睡眠不足と成田先生は記しています。

必要な睡眠時間は10時間以上…。

  • 1歳半は13時間

  • 3歳は12時間

  • 5歳は11時間

と、小児科医の教科書『ネルソン小児科学』にはあります。(本著より)

ツヤ子の保育園の子ども達の睡眠時間は、1歳児クラスで、8〜10時間がいいところ…。(←起床時間と就寝時間を連絡帳に記録してもらってます。)
午睡の2時間を足しても10〜12時間…。
睡眠不足なのは歴然ですね…。
それが年々積み重ねられる影響を考えると…。

『子どもの睡眠』=『勉強+成長+回復』時間


『睡眠、すいみん、そんなに大事?』と、思うかもしれません。 

小さい子どもには特に大切です。

子どもは寝ている間に、

  • 日中に学んだことを脳に定着させる。

  • 成長ホルモンの分泌により発育したり、(←ツヤ子の息子は中学時代、寝て、朝起きたら、背が伸びてた!)、疲労回復する。

  • セロトニン(幸福ホルモン)の分泌により、神経回路が発達し、感情が発達します。


睡眠不足のが続くと…

  • 成長ホルモンの分泌不足が続き、発育が遅れる。

  • 日中の学習定着がしにくいため、学びを積み重ねにくい。

  • 疲労回復ができないため、物事に集中出来ない、ダラッとしてしまう…。

  • セロトニン(幸せホルモン)分泌不足により神経回路の発達が遅れ、感情発達やコントロールしにくくなる。(←キレやすい)

これらの子どもの症候は『発達障害』に似ているため、『発達障害』に間違われやすい、と成田先生は指摘しています。

ツヤ子も発達障害ではないけど、『気になる子どもの動き』に全てあてはまるように感じるのです。

あの全身筋肉の緩さ、
指先の不器用さ、
学習の積み重ねがしにくい感じ…。

脳の発達順番が乱れているから?

『からだの脳』発達が未熟だから…?

つまり、保育園の子ども達は『発達障害もどき』になっている…?

ツヤ子、ゾッとする

本著を読み進めて行くうちに、次々とツヤ子の疑問が解明されてました。
同時に、今の子育ては負のスパイラルにハマってない?、とツヤ子は思いました。

子育て負のスパイラル


①乳幼児時期からの睡眠不足から、脳の発達順番の乱れが起きる…。

②『からだ脳』が未熟と知らずに卒園していく子ども達…。(←全身筋肉の緩さ、不器用さ、学習の積み重ねがしにくい)

③学校で勉強が始まり『おりこうさん脳』を鍛えられ…。(←子どもの脳が頭でっかちの家になる)

④『おりこうさん脳』を支える『からだの脳』が脆弱なため、学習定着には時間がかかる…。

⑤子どもを心配する親は、次々と新しい教材や習い事を準備する…。

⑥勉強や習い事のために睡眠時間が削られる。

⑦脳の成長時間が削られる…。(③に戻る…。)


せっかくの親心が空振りに…

この脳の発達順番と睡眠不足の関係を知って、子育てをしていたら…。

親御さんのお金も時間も労力も…。

一生懸命、子育てしている親御さんほど、陥りがちかもしれません…。


生活様式の変化、社会的変化の結果が招いたことは…

ツヤ子の保育園では、長時間保育(10時間くらい)のお子さんが増え、特に低年齢化が進んでいます。

これは子育てしながらでも働ける環境が整い始めているということなのでしょうね。

帰宅時間が遅ければ、子どもの就寝時間が遅くなりがちに…。
加えて睡眠時間が短くなるのは自然なこと…。

けれど、その結果が招くことに、そろそろ大人達が冷静に目を向けないといけないかもしれません…。




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