春になりたかった
春になりたい。
陽気で暖かくて、僅かに寒い。
風はやたらと強く、外に出れば花粉、砂埃
異常な程にシャワーを浴びたいと常に思う。
それでも春は好きだった。
桜を始めとした花々で飾られた季節。
虫や動物、木々が目を覚まし、
生命に満ち溢れた幸せな季節だと、僕は思っている。何せ幼少期からずっと、桜が羨ましくてたまらなかった。
新たな季節の訪れを知らせるものとしては、
あまりにも美しすぎるからだ。
人々と同じ思考は好まない。けれど、
桜に対して魅了されるのは、古くから現代へ
そしてこの先も永く愛されて行くのだろう。
そんな春の象徴のような桜の木に、
僕はなりたかった。