希望✨

「希望」

これが
ガンが見つかったときの母に
必要だった。

医師は冷静に
たんたんと説明した。

そして
「治療ができない」ではなく
「治療をしません」と、きっぱり言った。

この言葉の違いが
どれだけ大きいか・・・

その日から
母は生きる意欲を無くした。

あんなに快活で
周りに元気を与える人だったのに
目から光がなくなった。

毎朝見ていた朝の連続小説も
見なくなった。

家族としても
納得がいかずに、別の病院に
セカンドオピニオンを求めた。

その医師は違った。

慈愛に満ちた真摯なまなざしで

同じ見解だとしても
「希望」を与えてくれた。

ただ
本人がもうその話を聞く力が
残っていなかった。

発覚から
あっという間だった。

だから心の準備は
全然できなかった。

悔しい。

けれど
母は最期まで
生き切ったと思う。

＊＊　＊　　＊　　　　＊　　　　　　＊

医師は自分の言葉が
どれだけ患者に影響力があるのか
今一度、自覚してほしい。

医師の言葉一つで
患者は生きる希望を見出すこともできるし
希望を失うこともある。

事実は同じであっても
発する言葉に愛があるかどうかで
受け取り方は、全く違ってくる。

医療に携わる方々には
心から感謝しています。

でも、
どうか、どうか、
希望を持たせてやってください。

死ぬとわかっていても

「希望」は

必要なのです。

あいことば
【希望】
私たち人間が幸福に生きるには
やはり希望を持って生活することが欠かせないと思います。
たとえば不治の病にかかったりしたら
もうまったく夢も希望も持たなくなるかもしれません。
しかし、残された日々、許された命のなかに
自分には何ができるかということに生きがいを見つけ
立派に生をまっとうしている人もたくさんいます。
『あなたの希望は何ですか」
そう人に問うと、「出世がしたい」「有名になりたい」
「もっとお金が欲しい」「大きな家に住みたい」など
いろいろな答えが返ってきます。
死ぬ時には、持っていけないものばかりを欲しがる人は
案外多いものです。
しかしそれは、希望というよりも欲望です。
エーリッヒ・フロムという心理学者は
私たちの欲望は「外に対して願望を持つ」ということ
といっています。
つまり、地位や名声、財産などを求める未知なる能力と
いってもいいでしょう。
外に対する願望は、何を持つかという
「having」です。
希望とはそうではなくて、どうありたいかという
「being]なのです。
どういう人になりたいか。
どういう人生を過ごしたいか。
どういう人になりたいか。
どういう人生を過ごしたいか？
そんなことに、
めいめいが想いを持ってほしいものです。

出典：日野原重明『生きるのが楽しくなる１５の習慣』

もうすぐ母の命日です。

🌈special thanks to ひとしずく～hoho～さん
（表紙イラスト・クリエイター）