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エッセイ 【なれの果て……】

昔の漫画で『人間交差点 -HUMAN SCRAMBLE-』がある。矢島正雄(原作)・弘兼憲史(作画)という作品で1980年から1990年にかけて書かれた昔の漫画で大体が1話完結の作品でその中に『なれの果て』という作品がある。弘兼憲史さんは『課長島耕作』の作者でもある。


主人公は自分を成功者だと思っている外交官で発展途上国に駐在している。しかし無事に終わって帰国することを願っているだけでやる気もない。ただ国のお金で家族と裕福に暮らしている。それがある日この最果ての地で、大学の同級生を見かける。大学に通わず、大学を中退して人生の落伍者だと思っていた同級生は現地コ−ディネ−タ−としてこの国で活躍をしていてるのを知る。

ちょっとしたトラブルがあって窮地の時に、その同級生をコーディネーターとして雇いピンチを凌ぐ、そして昔ばなしとなる。大学生で卒業することに意味を考えず外国に飛び出した同級生を「落伍者」と思っている主人公に同級生は「俺を落伍者と思っているだろう」と問う。そして、「俺もお前をそう思っている」と言われる。「所詮は相容れない、なれの果てだ」と……

どちらも自分の世界観で生きていて、そこに相容れないものがあったとすると、そのままこの関係は変わらずに老いていく、そして朽ちて消えてゆく……この頃「なれの果て」という言葉になぜか魅力を感じてしまう。


このごろ、書かないというか書けなくなった。本はよく読むしアニメ・ドラマともよく見るようになった。このごろはシナリオの書き方なども少し習っている。ただ、書けなくなってきた。

理由はわからなかった。noteには下書きにいろいろな文章が溜まって下書きのまま溜まっていく……昔に読んだその『なれの果て』をふいに思い出す。結局書けなくなったのは歳をとっただけなのだというのがわかった。


昔から話の合わない同じ年のいとこがいる。大学を卒業して中学生の講師をしながら、15年間、東京都区立の公立学校の教員採用試験を受けていた。そして採用されたときは40歳近かった。今は同じ教師の職を持つ男性と結婚して、教師を続けている。

彼女はとにかく「やめない」僕みたいに辞める人をすごく嫌う。僕はあまり嫌わない。ただ非難しない人は何故か攻撃対象になることが多く、いつも苛められたり、陰口をたたかれる。自分は陰口をたたかないが、そういう距離感をあまり会社で考えない。

なので話があわない。この前、祖母の7回忌の時にあったのだけど、そこでも会話がないかなと思っていたら、よく話をした。何故か?と思ったら、僕らも人生が終わるということだった。仲悪く人を非難している時間が無くなってくるということ……

50代で人気の出た作家で最近有名な中山七里さんでさえ、小説を書き始めたのは2006年、1961年生まれの方なので45歳、そこから書き始めて売れ出したのが4年後になる。今は人気作家になっているが、売れてもなお兼業を続けていたという才能だからなせたこととは思う。

書けないまでも小説を好きなんだから読んで、そして少し書いてみたいと思ってずっときたけど、老眼で読むのに疲れてそして書くこともやめていた。ちょっと書けるぐらいにしておかなきゃなと本当に思うようになった。


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