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エッセイ 【最高の批評とは……】
風見2さんのTwitterで栗本薫さんの手塚治の批評がすごく的確にまとまっているとして書いてあった。
栗本薫のこの手塚評めちゃ的確で、この過剰さって中短編を主戦場とした手塚作品にピタリ当てはまると思うんだけど、全作を通して見ると割合的に少ない長編作品の(普通に考えたら充分多いけど)代表作ともいえるブラックジャックが、長編という物語特性に包まれ緩やかに日常へと接近していたの感動的だ pic.twitter.com/X0djbURDWq
— 風見2 (@_Kazami__) September 1, 2021
書かれた文章を書きだすとこんな感じになる。
手塚治虫はたぶん、ありとあらゆるものに憑かれていた。彼は厭世観に憑かれ、人間不信に憑かれ、しかも性善説と人間への全き信頼に憑かれていた。人類の滅亡のヴィジョンに憑かれ、復活の日のヴィジョンに憑かれた。性倒錯ととりかへばや、フリークスと狂気、聖者と英雄と売国奴、殺人鬼と卑劣漢、双生児とドッペルゲンガー、サディズムとマゾヒズム、オカルティズム、不死、ゾンビ、怪奇現象、転生、吸血鬼や人狼やUFO、キリストやブッダ、服装倒錯に肛門性愛にフェティシズム、殉教と原母神話と変身譚と孤独、およそこの世に存在するすべての偉大なものと悲惨なもの、美しいものとみにくいもの、高潔なものといやしさのきわみのもの、愛とにくしみ、異常と超常、悲哀と歓喜をもたらすありとあらゆるものに、さいごのさいごまで、とりつかれてやまなかった。それは、あまりにも、偉大な人間にとって、ことに巨大な足跡をのこすすべてのクリエーターにとっては当然である。なぜならそうした巨人たりえた人々はすべて、ただ一つの「人間」にはじまり、「人間」に戻ってゆくのであって、さきにいったそういうすべてのものこそは、すなわち「人間」そのものにほかならないのであるからだ。
ちょっと長い文章なんだけど、栗本薫さんという偉大なSF・ミステリー作家がいたことを想い出した。「中島梓」というのも栗本薫さんのペンネームで、批評とかエッセイは主にこちら名義で書かれている。
シリーズものとしては最長といわれる「グイン・サーガ」は亡くなってなお他の作家によって書かれている作品で栗本薫さんが書かれた130巻及び外伝22巻kindle unlimitedで読めるようになっていた。
漫画やSFの世界は魑魅魍魎とか言われるけど、物語の性みたいなネタみたいなものをこれだけ簡略に書ける人って確かにいないと思う。この中に書かれていないものって何かなと思うとタイムトラベルぐらい?かなとも思う。
厭世観・人間不信・性善説・人間の全き信頼・人類滅亡・復活の日・性倒錯・とりかへば・フリークス・狂気・聖者・英雄・売国奴・殺人鬼・卑劣漢・双生児・ドッペルゲンガー・サディズム・マゾヒズム・オカルティズム・不死・ゾンビ・怪奇現象・転生・吸血鬼・人狼・UFO・キリスト・ブッタ・服装倒錯・肛門性愛・フェティシズム・殉教・原母神話・変身譚・孤独・偉大な者・悲惨なもの・美しいもの・みにくいもの・高貴なもの・卑しいもの・愛と憎しみ・異常と超常・悲哀と歓喜
・厭世観 (えんせいかん)この世界は悪と苦痛とが優勢を占めているとして、結局、人生は生きるに値しないものだという絶望的な考え方
・性倒錯 (せいとうさく)性欲が質的に異常な状態 異常性欲
・とりかへば 男女も入れ替える物語 (平安時代のとりかへば物語から)
・フリークス 物事に熱狂している人
・卑劣漢 (ひれつかん)自分の私利私欲や目的の為ならマナーやルール、モラルや法律等で考えれば禁止(禁忌)となる手段(方法)でも躊躇なく実行する男
・服装倒錯 (ふくそうとうさく)女装や男装を好む人
・変身譚 (へんしんたん)人が異性や動物に変身する物語や伝記
ただ、これに当てはまらない作品が今は人気がある。単純に男女では「純愛」とか「不倫もの」とか「グルメ」とか「街ぶら」とか(あと、「お笑い」も)昔の物語がオーパーツ過ぎて、書かれ過ぎていたんだなと思うことがある。
アメリカとかではつい最近に『ゲーム・オブ・スローンズ』が映像化されたけど、日本ではこういう大作の映像化ってないなと思ってしまう。アニメ色々と面白いから手塚治虫さんにしてみたらいいのかもしれないけど……
こういう大河作品は最初読むのだけど、途中で何がなんだかわからなくなったりやめてしまう。「グイン・サーガ」も最初の10巻ぐらいは読んだと思うんだけど、『宇宙皇子』・『帝都物語』・『帝都大戦』なども長いけど、読んでみようかとも思いながら途中で終わってしまっている。『十二国記』は復活されたからそれも読んでみたいなと思っているまま終わっている。いやはや人生は長いようで短いなとも思う。(また、まとまりがない)