読書日記63
ゲーム理論はアート -社会の仕組みを思いつくための繊細な哲学ー
松島斉さんの作品。東大の教授で「ゲーム理論」の有名な研究者らしい。「ゲーム理論」とは数学者ジョン・フォン・ノイマンと経済学者のオスカー・モンゲンシェテルンが共著した「ゲーム理論と経済行動」とから誕生した学問らしい。著者がいうのは「ゲーム理論とは狭義の意味においては、社会を、チェスやサッカーといったゲームの仲間に見立てて、独自のアプローチで分析する数学」らしい。
チェスとか将棋はプレイヤーが2人で正面を向かい先手・後手に別れて駒の動き方を決められて相手の王将を取るゲームとなるし、サッカーやラグビーなどはプレイヤーが増えて何人もが動き敵陣にボールを持っていきゴールやタッチダウンをすると点が入る。それが多い方が勝ちというゲームとなる。ルールの決められた複数でプレイするゲームはゲーム理論で説明がつくらしい。
森巣博というギャンブラーで生計をたてる人がいるんだけど、その人の奥さんはイギリス人で大学の教授で息子さんが数学者らしく「ゲーム理論」を中心に研究しているらしい。著書に「無境界家族」というのがあるんだけどそれを読むとそれらしきことが書いてあった。すごい生き様だけどその中で天才は生まれるだなとも思う。絶版になってしまってる作品なのか中古でしかない本だけどそれを思い出す。
経済への貢献という部分ではゲーム理論が経済をする人(社長や会社の企画営業部の人)などのインセンティブとなっているらしい。ゲーム理論の考察としてサッカーのPK戦を例にあげている。キッカーとキーパーの心理からいうと「どっちに蹴ってくるかな?」というのを簡単に決めれるか?という心理戦を考える。右に蹴る?左に蹴る?簡単に決められる人もいるかもだけどそこはあえて「決められない」と考える。選手の癖や行動は相手チームにはよまれているために高確率で考えを察知されてしまうとする(本当にそうらしい)
そうするとランダムに決めるのが勝ち数では一番になるという。意識的に行動が盗まれるとするなら(サインとか選手の癖とか)意識のまま行動するなら行動をよまれて負けるし、選手に意識と行動を逆にしろといっても今度は選手自身がうまくいかない。すると最初から1人目は右2人目は左とランダムに決めるのが一番勝つ可能性が高いということになる。
「なんだよそれって理論じゃなくてヤマカンじゃん」というのがゲーム理論の本髄らしい。「人の行動は読めるので正しい予測はできるというのはまやかしだ」というのを説明する学問らしい。つまりゲーム理論は予測の確立がどの程度可能か?を考えだす学問となるらしい。そういう応用がテロ対策でいかされていたりするらしい。
人がお金を貸した返したりする場合は「繰り返しゲーム」と称されるらしい。その中でルールを破ったりする人が増える。(返さないとか返す金額を多くするとか)すると破綻したりする例もある。その確率を考える学問となるらしい。同じきちんとした行動を取る場合を「ナッシュ均衡」といったりするらしく大体その範囲で信頼関係は成立していくらしい。昔からお金の貸し借りはあるわけだからそれは正解といえる。
アドルフ・アイヒマンというユダヤ人を大虐殺した悪魔といわれる人物がごく平凡な小役人風の人間だと裁判官は感じたという。死刑にされその悪魔の行動がゲーム理論でも解っていく。1942年にヴァンゼー会議で出席者全員がユダヤ人撲滅に賛同しているのをみて従順・同調をしてしまったためにそんな鬼畜のような行動をしたらしく、みんなの感情の中にもある「この人がこう言っているから」とかで普通の人も信じてしまうらしく、大なり小なりその感情というのは芽生える危険性をはらんでいるらしい。ゲーム理論で行動的にそれをどう防いでいくのか?というのもすごく問題視している。
ネット社会になって自分で情報を自由に管理できるようになった。そうなると情報をうまく管理して集団的な決定のプロセスを巧みに管理できる人があらわれると人は知らずに管理されているのかもしれない。日本は他の国より「仮想敵国」というのが少ない。敵がいると人の団結が強くなる心理と言うは昔からある。それがないとどんな社会でもガスのようなものがたまるらしい。
そのガス抜きが「炎上」や「いじめ」などではないか?という人もいる。つまり一定の敵国をつくりそれと戦うことで「国」を成立させるというのが本当なら日本ってもう国とは呼べない段階になっている。今でもアジアの各国では攻撃されても反撃できないイライラがある。そういったガス抜きが突然のにわかサッカーファンやオリンピックファンなどになっていくのかも知れないし(ニッポン・ニッポンとなること)イライラが「不倫芸人」や「ちょっと過激な発言をする人」に向かっていく危険性を考えるとちょっと怖い感じもする。ちょっと難しいけど理解もできるし色んな言動がそれにより抑えられるなら凄い理論だとも思った。
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