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読書日記46

派遣社員あすみの家計簿

 青木裕子さんの作品「これは経費では落ちません」の作者でジュブナイル小説を書く作家とwikiには書かれていた。kindleではunlimitedで読めるみたい。とりあえず文章はとにかく読みやすい解りやすい表現でむずかしい熟語を使わない「青春文学」作家の能力の高さというか凄さがよくわかる。へんな芥川賞作家の本を読むよりよっぽど楽しい。

 社員で働くじ28歳の女性あすみが結婚を意識して住んだ理空也という男性が失踪する。彼と住もうと借りたマンションの家賃が9万4千円。そして彼女は結婚を機に職を早々と辞めていた。あすみのサバイバル生活がはじまる。小刻みにテンポよく話が展開していく派遣への登録そして見学(面接ではないのよ~)が中々決まらない派遣事情。それまでの食いつなぎの日雇いでのバイトなど、女性がたくましく東京での生活をしていく様は爽快で面白い。重版が何回も決まっているらしく続編なんかもでそうな感じがする。

 女性が男を見るのに外見重視なのはすごくよくわかるし、そういう男性がモテるのはよくわかる。自分がちょっと上みたいな意識とか人を小ばかにするところとかそういう男女問わない問題もよく書かれている。都会の描写が少ないのでそこら辺が想像をうまくはたらかせれない部分ではあるけど、そこら辺を除けばエンターテイメントとして十分完成している。

 ライトノベルは僕は40歳ぐらいまで殆ど読まなかった。なんで?と言われるとよくわからないんだけど、それがたまに相方(奥さん)が薦めてくれるようになって読んでいる。都会で埋もれる人達の群像劇とでもいうのか、小さな部分に焦点をあてるのってすごく面白い。

 駅前でのチラシ配りや倉庫の整理や工場での仕事、美術館の監視まで日払いの仕事をこなしながら派遣の仕事を探して「生活安定」を目指す。それでも理空也への気持ちが離れないあすみ、そして新しい恋人候補でもある八城の出現。友達の仁子やバイト先で知り合ったミルキーや深谷など個性あるキャラクターも映える。昼に時間があったので読んでしまった。

 正直リアルか?というとこういう時は風俗が必ず絡むのと、派遣ってそんなに良くないというかそんなにいい派遣会社がないというか…外注費として使われるお金と人件費として使われるお金はちがうというかね。そんなにいい会社あるなら苦労しませんと突っ込む人は多いと思うw

 派遣を使って安い人件費で人を確保して会社を存続させたために10年後に競争力を失った会社が続出したというのをいうのに女性経済学者がすごく多い。女性のほうが経済を見る目は凄いというか…女性の方がこういうことには凄く長けている。

 竹中平蔵を嫌う人も女性の方が多い、女子アナでもろ嫌っている人もいる。三浦瑠璃さん(国際政治学者だけど)は早くにコロナになると失業する業種にファッション(衣料)や美容をすごく上げていた。男性の経済学者は交通やホテルや飲食をあげるなかで凄い着眼点だなと思ったし実際に失業者の業種別ではビック3に挙げられている。この細かさで経済をまた発展させたいなら女性の経済再生担当大臣を起用したらいいのにとは思った。

あと、作者は矢部浩之の奥さんではありませんw

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