【35%】法学部生が考察する、19歳投票率の低さ
6月15日、通常国会が閉会。政治家たちは7月10日の参議院選挙に向けて続々と動き出しています。そんな中、選挙の時に毎度話題にあがるのが若者の投票率の低さ。なぜ、若者の投票率が低いのか。私なりの1つの考察にお付き合いいただければと思います。
私は今東京で下宿している大学生です。自宅生の割合が増加傾向にあるとはいえ、いまだ下宿して大学に通う学生の割合は半数近くを占めます(下記表より)。ここで、大学生の半数を占める下宿生のほとんどは住民票を実家から移していません。実際に私の友人に話をしてみてもそうしたと答えた人は1人もいませんでした。
大学生が住民票を移していないと何が起きるのでしょうか。投票できる選挙区が実家になるため、選挙権を行使するには実家に帰省する必要があります。
ここで、帰省費用にいくらかかるのかが問題となります。私は実家が長野県ですから電車を使うと往復1万円ほどかかります。しかし、周りの友人を見ているとこれは安い方で往復2万円ちょっとという人が多い気がします。
これ即ち下宿している大学生にとって、選挙権とは行使するのに2万円かかってしまう権利だと言えます。社会人の方にとっても2万円なんて安い金額ではないでしょうから、まして大学生にとっては結構な大金です。
18歳選挙権が始まったときに、18歳の投票率より19歳の投票率の方が低かったことについて、メディアが「18歳選挙権」とばかり読んでいるため、19歳の若者が当事者意識を持てなくなってしまったせいだ、という意見があったと記憶していますが、私はそれはお門違いだと思います。そんなしょうもない理由で投票意欲がなくなるわけがありません。大学生を子どもだと勘違いしすぎです。
2021年秋の衆議院選挙では、19才の投票率が18才の投票率より15%も低かったのですが(NHKより)、それは多くの学生が大学に進学して下宿していたからだと思います。
また、そもそも「若者なんて政治に興味がないゆえ投票率が低い」という意見もあります。しかしながら、大学の1年ゼミでは、ゼミ生同士で様々な社会問題について熱く議論し合い、それは時々お互い衝突するほどのものでした。にもかかわらず、班のメンバーの中で実際に選挙権を行使したのはたまたまワクチン接種で帰省した班員1人だけです(自宅生除く)。
そして、大学生の4年間に選挙で投票することもないと次第に選挙権をもっていることを忘れ、選挙に行かない癖が出来上がってしまうのではないかと思います。結果、社会人になって住民票を移したとしても選挙権は行使せず、20代の投票率も低下してしまうのではないかと私は危惧しています。
私も先日帰宅途中、某党の政治家の演説に立ち寄り、少しばかりお話しさせていただきましたが、一部の政治家の演説会では、運動員から遠回しに選挙区を聞かれ、投票権がないと分かれば、あとは空気のように対応されたこともあります。大学生の半数は選挙に行けない、さらには選挙権を持っていないと知られていくと、政治家からはだんだんと選挙権なき者として扱われるようになってしまうかもしれません。
もちろん住民票を移せばよいだけではないか、と言われてしまうと正直あまり文句は言えません。確かにその通りではありますから。ただ、住民票を移すのには手間がかかりますから、親からあまりいい顔はされません。
ですが、実際問題、住民票を移していない大学生がほとんどの状況ゆえに選挙に行けていないわけであって、決して大学生は政治に興味がないわけではないと知っていただけたらとは思います。
参考・引用:第57回学生生活実態調査 概要報告|全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連) (univcoop.or.jp)
衆院選 18歳と19歳の投票率は43% 前回より2.52ポイント高く | 2021衆院選 | NHKニュース
(ともに2022/6/20)