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デンマークで考えた人生の"ふつう"と"理想"について
わたしは、現在デンマークのフォルケホイスコーレという教育機関に留学している。フォルケホイスコーレとはデンマーク発祥の国民学校で、高等教育に進む前や、自分の将来の職業を決める前に、一度立ち止まって自分と向き合う時間を持つための学校と言われている。いわば人生の余白を持つための場所だ。
わたしは、22歳で大学を卒業したのち、新卒で金融機関に就職。その後広告系の会社に転職をして、合計5年ほど働いたのちに27歳でデンマークに来た。
27,28歳ごろの時期というと、結婚ラッシュ。子どもが産まれる人もいる。22歳頃に新卒で会社に就職したのち順調に昇進したり、転職で超有名企業でバリバリ働いているような人も出てくるようなころだろう。
そんな周囲の人と比べると、わたしは"ふつう"ではないだろうし、" 理想的"ではないかもしれない。
デンマークに来るまでは、そんな自分の選択に底しれぬ不安を覚えることも多かった。何か欠けていて、他人から遅れをとっている。そんな風に感じたからだ。それでも、デンマークに来てたくさんの人と触れて、話を聞くなかで感じたのは、"わたしは自分の選択に自信を持って良い"、また"やりたいことを実行できているこの人生に誇りを持って良い"ということだった。
なぜそう思うに至ったのか。
わたしがデンマークに来て、何人もの人と話して感じたのは、"自分の生きたいように生きること"を、年齢やタイミングにとらわれずに選択していることだ。
わたしの知り合いの同い年のデンマーク人は、わたしが大学を卒業した年齢で大学に入学し、この夏からフルタイムの仕事を開始したところだ。20代は学生生活やボランティア活動で海外に出向いており、30代になって初めてフルタイムで仕事を始めた人もいる。また、30代後半で新しく学びたいことを見つけ、仕事をしながら大学院で修士を取得した人もいた。
もちろん、デンマークは子どもの頃から同学年に異なる年齢の子がいる環境だったりと、日本と違って"ヨーイドン!"で全員で同じように進んでいくのが当たり前ではないという文化的な違いはある。また、大学を含む高等教育費が無料(例外はあり)という福祉制度のバックアップもこういった選択の後押しになっているのは、事実としてあるだろう。
だけれども、そもそもデンマーク人の中にあるのは、"社会で言われる理想"を追いかけることではなく、"自分の生きたいように生きる"ことを大切にすることのように感じる(なぜこう考えるに至るのか?はまた別の記事で)。"理想の人生"とは、"自分にとっての理想の人生"であり、それを追い求めることがある意味"ふつう"なのかもしれない。
わたしはデンマークに来るまで、"何か欠けていて、他人から遅れをとっている"ように感じていた。でも本当に"何かが欠けていた"のだろうか?そして、"何から遅れていた"のだろうか?
わたしが無意識のうちに意識してしまっていたのは、社会が作った、社会にとって都合の良い"ふつう"であり、"理想"の人生だ。それは、もちろんわたしが思い描く理想の人生の姿ではない。だけれども、社会の大多数の人がその"理想とされる"、"ふつう"の人生を歩んでいるように思えて、自分と比較しては、"欠けている"だの、"遅れている"だのと感じてしまったのだろう。
デンマークに来てから10ヶ月が経つ。この中で幾度となく自分と向き合ってきた。今は、その中で見えてきた"わたしが望む人生の歩み方"を少しずつ始めていくところだ。誰とも比較せず、焦らず。