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未完成婚で母になる!?#08 セックスと子作りを切り離す

未完成婚で母になる!?

このタイトルでnoteを書き始めたのは、覚悟を決めたときだった。

「夫と一度もセックスをしないまま、子供を作ることになってもかまわない」

「一度のセックスもないまま産まれた子供であったとしても、その子も夫も心から愛していく」


未完成婚のまま、勇気を出して婦人科へ行き、子宮内膜ポリープが見つかると同時に、不妊治療の相談をした。

子宮内膜症持ちの、39歳7ヶ月…………

妊娠・出産の一番の障壁となるのは年齢だ。

わかっちゃいたけれど……
突きつけられた現実は、やっぱり厳しいものだった。

それなのに、一度もセックスができていない夫と私の間には、埋められるかどうかもわからない深い深い溝ができてしまっている……

離婚寸前まで危うくなった夫婦関係から、やっぱりやり直そうと思ったとき、「一度もセックスしないまま子供を作る」ことを受け入れようと思った。

そして、その覚悟が、不妊治療の現実を前にして、確固たるホンモノの覚悟になった。


夫と一緒に暮らし始めた最初の2ヶ月間、コミュニケーションのすれ違いもあり、セックスの誘いを断られ続けた。

女性からセックスに誘う……

男女平等が謳われる現代社会においても、女性からセックスに誘うのは、肉食系である私でも勇気のいることだった。

はしたないって思われたらどうしよう…
ひかれたら、どうしよう……

まぁ、予想通り、絶食夫は肉食獣のように迫る私にひいてたと思うけど笑

ひかれようがなんだろうが、あのときの私は「迫る」という選択肢しか持ち合わせていなかった。

だって……39歳なんだもん………
子供が欲しい39歳なんだもん……

なのに、いっこうに迫ってくる気配のない夫……

これは!私が!!
いくっきゃないでしょうーーー!?

子供ができないことに比べたら、セックスに誘うことなんで朝飯前だ!

勇気を出して、半ばヤケクソで、でもそこは見せないように精一杯の平静を装って、夫を誘った。

誘う、断れる、誘う、断れる…………

深刻にならないように、断った夫が傷つかないように、傷ついた自分も誤魔化せるように、私は笑った。

そして、1人で眠る寝室の布団の中で、静かに泣いた。

あぁ…………今夜もダメだった…………
今夜も1人で寝るのか……

私の何が、ダメなんだろう………
夫は、私のことが……好きじゃないのかもしれない………

布団の中で、泣きながらこの現状を検索する。

当時は、まだアセクシュアルという言葉を知ったばかりで、今ほど理解もできていなかった。

https://note.com/0128flamingo/n/n72d795c9bce4


誘う、断られる、笑って誤魔化す、1人で泣く…


これを5回くらい繰り返したあと、ついに私は限界を超えた。

夫婦のあいだの、深い溝があらわになった。

そして、その溝を埋められないほどに、さらに深く深く掘り下げるような言動をとったのは、私だった。

私は荒れた。

夫にノイローゼや精神疾患を疑われるレベルにまで、私は追い詰められていた。


私が妊娠・出産できる時間は、もう残り少ない。
こうしてる今も、どんどん失われている……

毎月毎月、律儀に私の身体は子宮内膜を厚くして、受精卵を育てるベッドを作る。

それなのに、精子と出会うことのない卵子が、まったく使われることのない子宮内膜のベッドと共に、血の塊として流れ去っていく……


ごめんよ、ごめんよ………

今月も、せっかく準備してくれたのに無意味だったねぇ……
たぶん、来月、用意してくれても無意味だよ……

女性が持つ卵子の数は、生まれたときからあらかじめ決まっている。

もうさ、卵子がもったいないからさ、しばらく卵子、出さなくていいよ?
たぶん、まだまだセックスないからさ。
残り少ない卵子、とっておいてよ。

どんなに私がそうお願いしても、私の卵巣は聞き入れてくれない。

生理痛の激痛は、ロキソニンを飲めばどうにか抑えることができるが、毎月自分の身体から失われていく、使われることのない卵子を見送る心の痛みは、収まるどころかどんどん激しさを増していった。

なぜ、この苦しみが、夫にはわからないのか………?



2回目のセックスカウンセリングのときに、カウンセラーさんを前に、ついに私は数ヶ月に渡り溜め込んだ不満を口にした。

私: 
「お見合いのときに、『子供が欲しいですか?』って確認したよね?
『欲しいです』って、あなた言ったよね?
結婚してからも、『もし、子供が生まれたら…』って話も、何度もあったよね?
だから、あなたも子供が欲しいと思っていたのに…」

夫:
「言ったけど、でもこう言ったよね?『子供は欲しいけど、できなかったらできなかったでかまわない』って。自然にできたらできたで。できなかったら、それでいい。子供が必ず欲しいとは、思っていない。」



あぁ……………………なんてことだろう…………

「子供が欲しい」に、ここまでバリエーションがあるなんて………

お見合い時点で38歳の私に、「子供が欲しい」ということは、「速やかに、子作りに励みます。不妊治療にも取り組んでみます。それでも、できなかったら、そのときはそのときで」って意味だと思っていたのに………

こんなに違っていたなんて……

自然にできたら、できたで………???

何言ってんだ!!!
一緒に暮らして半年経つのにセックスがない夫婦なんて、まったく自然じゃないだろう!!!


私:
「自然になんて、できるわけないじゃない!
だって、セックスしてないんだよ?
私が妊娠できる時間は、もう残り少ないんだよ?
タイムリミットは、すぐそこだよ!
このペースでいったら、もう間に合わないよ?
何もチャレンジすることなく、子供を諦めることになるなんて、耐えられないよ!!」

夫:
「私には私のペースがある。
そこまでフラミンゴさんが急いでいるなら、私じゃない人のほうがいいかもしれない。
私は、そのペースには合わせられない。」



なんてことだ………
なんてことだろう………

39歳になった私に、今さらそれを言うなよ!!!

子供が欲しい39歳が、すぐに不妊治療に励むのは当然で、誰もが想定できることじゃないか!!

お見合い時点で、それを想定できなかったあなたが無知なだけだろう!!!


なんで、40歳目前の私を選んだの?

なぜ、私よりもゆったり子作りできる、20代後半や30代前半の女を選ばなかったの?

おかしいでしょう!?


なぜ、結婚前に教えてくれなかったの……?

結婚前に………

時間を戻せたら…………

私は、結婚を失敗したのかもしれない………


「新婚時代が一番楽しくて幸せでしょう??」

いやいや、まったく……真っ暗ですよ……


お付き合いが始まったとき、結婚が決まったとき、二人で家を探していたとき、両家の顔合わせをしたとき……

新婚生活が明るく輝かしくラブラブなものだと、つゆほども疑わなかった。

こんな未来が来ようとは……
誰が予想できただろうか……


こんな風にやり取りを書けば、私の夫がひどい男に見えるかもしれない。

実際、あのとき私が愚痴った友達からは、「なんてひどい奴なんだ!そんなヤツ別れちゃえば!?」と言われもした。

その言葉が欲しかったのも、ぶっちゃけ事実だ…
「こんなに苦しんでいる私」を、認めてなぐさめてもらいたかった。

なんて子供じみた欲求だろう…


別れようかと思っても別れられなかったのは、それでもやっぱり夫が好きだと思ったから…

苦しんでいるのは、自分が好きだと思う夫から好かれていると思えなかったから…

「性行為がまだない」以外のことで、日常生活に不満がまったくない。

真面目に堅実に働き、私の特殊な仕事を理解して応援やアドバイスをくれ、私が作ったどんな料理もよく食べ、食後には必ず洗い物をしてくれ、私が体調不良のときは心配してくれ、忙しい中で薬を買いに行き、ごはんを作ってくれる。

お互いかなりの音楽好き、旅やお出かけのペースも欲張って詰め込むタイプだが、それも一緒だ。

本当に、セックスがないことだけ、他に言うことは特になにもない、一緒にいてまったく気を遣わなくていいのだ。

これって、すごいことだと思っている。
こんなことは、なかなかない。

優しくて穏やかで、いいところもたくさんある夫…

だから、別れを踏みとどまった……。

日常生活に、夫の優しさや好意は散りばめられている。
それに気づかなくなるくらい、セックスがないことで、子供が産めなくなるかもしれない恐怖で、私はいっぱいいっぱいだったのだ。


真っ暗な新婚半年間を経て、やっと夫婦間の溝を乗り越え始め、夫が不妊治療に前向きになってきた今、あのときを振り返ると「夫婦は鏡」とよく言ったもんだ、と思う。

あの真っ暗期の私は、夫に腹を立て、セックスも子供もない未来に絶望し、
「こんなヤツと結婚しなきゃよかった。もう、離婚しかないのか…するなら、なるべく早い今か?」
と毎日思い悩んでいた。

その思いは、完全にそのまま夫に反映された。

夫はますます頑なになり、私への不信感を増長させ、話せば話すほど意見はすれ違い、お互いの距離は開いていった。

夫婦は鏡…。

夫が私に見せる態度は、私が夫に見せている態度とまったく同じだ。
私が怒れば夫も怒り、私が絶望すれば夫も絶望する…

私が夫に求めていたものは、いったい何だったのだろう…

夫婦が鏡なら……

夫に優しくされたいなら、私が夫に優しくあり、
夫から愛されたいなら、私が夫を愛すこと…

夫に優しくできないのは……セックスがないから。

セックスがなくて不安になる一番の理由は……子供が間に合わないから。

セックスをするタイミング、「私には私のペースがある」と夫は言った。

その夫のタイミングが待てないのは、私が39歳で子供ができるギリギリの年齢だから。

だとしたら……

セックスと子供を切り離せばいい。 


子供は、もう待ったなしだ。

でも、セックスは子供が生まれてからでもできる。
いくつになっても挑戦できる。

それでは、セックスなしで産まれた子供を、幸せな気持ちで迎えられるのか?

一緒に暮らして最初の3ヶ月間、未完成婚で夜な夜な悩んでたときも、「セックスよりも子供を先につくること」は何度も想像した。

あのときは、「そんなの、幸せじゃないから無理」だと思った。


でも、ここまで色々あって、考えて悩んだ今ならば…

セックスなしでできた子供も、受け入れられるだろう。
夫がセックスする気になるタイミングも待てるだろう。


未完成婚の解消よりも、膣内性行を達成することよりも


人工授精でも体外受精でもいいから、子供を先につくる。



普通の夫婦がたどる順番ではない。
でも、子供を産むには若くないんだから、しゃーーーない。

現代に生きてることに感謝して、今の医療技術を使えばいい。

今は辛くても、最終的に幸せになれればそれでいい。


愛し合うセックスの先に、子供があるのだと思っていた。
物心つく頃から、気づいたらそれが当たり前と思い、まったく考え直すこともない、「生命の条理」だと思っていた。

でも、私は…

セックスと子作りを切り離した。


結果の今、前よりも気持ちが穏やかにラクになった。

夫を責める気持ちも、急かす気持ちも少なくなり、夫のいいところを見つめる余裕ができた。


私を追い詰めていたのは、何もしないまま子供が産めない年齢になる「恐怖」だったのだ。

結果はどうなるかわからないが、「子供をつくる」ことに向かって、夫婦で取り組み始めた。


それでも、今でも数日おきに襲ってくる…
「このまま、セックスなしに子供ができたとき」の未来への不安、そして言いようもない悲しみ…

それを、「いやいやいや、この年齢なんだから、なんでもいいから、子供できたらすごいし、ありがたいし!セックスは後からできるし!」

と、思い直して、ネガティブな思いを無理やりに蹴散らかす。


これを何度も何度も何度も何度も、繰り返している。
前よりはずっとマシだけど、私は、まだまだ揺れている。

私の、この揺れている思いを伝えなければ…


セックスよりも先に、子供をつくる覚悟をしています。

あなたが私とセックスしてもいいかなって思えるまで、いつまでも待ちます。

でも、覚悟はしているけれども、辛くて苦しくて寂しくなることがあります。

だから、せめて、お願いだから、抱きしめてほしいです。

あなたのことが大好きです。
これからも、一緒にいたいと思っています。

こんな私と、一緒にいてくれてありがとう。


思いは、言葉で伝えなければ届かない。

私のこの思いを伝えて、夫と向き合うことは
きっと何よりも…膣内性交をすることよりも大切だろう。

私と夫が本当の夫婦になるために…

この先の未来を幸せにするために…


思いを伝えろ

向き合え

勇気を出せ




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