考えるヒマがない異常さ
以前、数ヶ月間、休職したことがあった。
ほとんど眠れず、倦怠感や無気力に悩まされた結果だった。
休み始めた頃は、ただただゴロゴロ!ダラダラ無為に過ごして日々が過ぎていった。
昼間は家族が仕事でいなくなり独りになると、孤独と自由かなんとなく淋しくもあり、気楽でもあり、複雑だったのを憶えている。
でも、しばらくすると、人間の本能なのか、何かをしたい欲求がでてきた。
あんなに疲れていたのに、何か、創造的な作業に向かわせようとする内なる動機が芽生えていった。
絵を描いたり、文章を書いたり、本を読んで…その内容を思い巡らしたり、ちょっと本気でYoutubeで発信してみようかなどと考えてみたり⋯。
思い返せば、普通に働いていると考えるヒマがないのが当たり前になっていたことに気づく。
朝起きれば頭の中は今日の仕事のことで一杯、帰ってくれば明日の仕事のことが頭の片隅に常にあり、何も考えたくないときはテレビをボーッと観るだけの日々。
冷静に振り返れば、これは異常な状態だと思う。
確かに日本人はこうした生活をしている人ほ多いだろうと想像する。
でも、毎日毎日チョー多忙なのに気づいていない、気づけないのはマズイと思う。
人生数十年生きていくうちに、初めは1ミリのズレであったものが、長い歳月を経て数十メートルのズレになり、本当の自分との違和感が取り返しのつかないものになってしまうのだと真面目に思う。
恐らくうつ病等の症状はこれが原因である場合も少なくないのではないか。
その人のタイプにもよると思うが、休職したあの時期に私が実感したのは、とにかく何かを取り戻したり、冷静に、客観的に眺めたりするためには、それ相応の長い時間(少なくとも数ヶ月⋯)を要するということだった。