手間を惜しまぬ母心。
昨日は久しぶりに実家からご飯のお誘いがあった。
特に用事のない日曜日だったので喜んでお邪魔しますと連絡をして手土産を何にするかふと考えた。
日曜日なので閉まっているお店も多くて選択肢はそれほど多くはなかった。
行きつけの和菓子屋はお休みなのでケーキ屋に行って人数分買うことにした。
モンブランが売り出されていたので二個買った。
後はスタンダードなものを選んだ。
夕方になったので実家に行くと父はテレビでゴルフを熱心に観ていた。
父はテレビ世代なので外で畑仕事をするとき以外はほとんどテレビにかじりついている。
ケーブルテレビに加入しているのでＣＳの二時間サスペンスの再放送なんかは大好きみたいでよく観ている。
母はそれには一切付き合わずタブレットで出来る塗り絵を楽しそうにやっていることが多い。
夫婦で別々のことをするのが仲がいい秘訣なのだろうと思う。
昨日は台所で煮物を作っていた。
私がお土産と言ってケーキを渡すとあら、気を遣わなくていいのにと言われた。
じゃあ頂こうかしらねと言ってお父さんケーキあるわよと言うと父の生返事が返ってきた。
まずは父に選んでもらいそれから家族の分と取り分けておいて母はショートケーキを選んだ。
私はモンブランを食べる事にした。
その間に母がコーヒーを淹れてくれたので飲みながらケーキを食べた。
モンブランの濃厚なクリームとコーヒーの相性が良くてパクパク食べてしまった。
父も美味しそうに食べていた。
母もケーキを食べるのは久しぶりだわぁと言いながらもぐもぐしていた。
それから晩御飯の間までまったりとした時間を過ごした。
日が暮れてからじゃあそろそろご飯にしようかという話になった。
昨日の献立は秋鮭のちゃんちゃん焼きと栗ご飯、ブロッコリーのサラダと肉じゃがという豪華版。
とりあえず冷蔵庫からビールを取り出してグラスにトクトクトクッと注いで父と乾杯する。
キューッと飲み干すとのど越しが最高でああ、やっぱりビールは美味いなぁとしみじみ思う。
父はグラスを空けると二杯目からは芋焼酎のお湯割りにチェンジ。
私は実家に行くとビールで通すことが多い。
ビールを飲みながらホットプレートの火を点けて熱していく。
温まったらバターを入れて溶けたらそこに塩をした鮭とジャガイモの輪切りを加える。
鮭とジャガイモを両面しっかりと時間をかけて焼く。
その合間にサラダに父手製のカボスドレッシングをかけていただく。
柑橘系の清々しい香りが立っている美味しいドレッシングで野菜をバクバク食べる。
サラダで口をさっぱりさせてから肉じゃがをつまむ。
母の煮物の味はいつも醤油勝ちなのだがそれがまた懐かしい。
私はあまり煮物を作らないのでしっかりと味わった。
そうこうするうちにホットプレートの鮭がこんがり焼けてくるのでそこ玉ねぎ、キャベツ、ピーマンを加えて日本酒を回しかけてフタをして蒸し焼きにしていく。
しばらく焼いて野菜がしんなりしたら味噌とみりんをベースにした甘めのみそだれを回しかけて全体になじませていく。
そこに仕上げの追いバターをこれでもかとゴトンと加えて火を弱めたら鮭のちゃんちゃん焼きの出来上がりである。
後は焦がさないように保温モードにしてお皿に取り分けて食べていく。
この料理は何といってもアツアツのうちが命である。
フゥフゥしながらハクッと食べると濃厚な味噌バターの味わいに野菜の甘さと鮭の魚の旨味が加わって控えめに言ってもかなり上出来である。
ちゃんちゃん焼きは実家でもまだ新顔のメニューで子どもの頃は食べたことがなかった。
大人になってから口にした料理だが本場で味わったことはない。
いつか北海道で試してみたいものだと思いながらビールをクィッ。
お腹八分目くらいまで堪能してからもう一つのメインの栗ご飯を頂く。
栗は鬼皮と渋皮を剥くのがとても面倒なので私は作ることはない。
市販の栗剥き器を使えば楽なのだろうが年に一度か二度しか使わない器具を増やすのはあまりコスパが良くないので手が出せないでいる。
母はまめな性格なので栗ご飯をリクエストしたら苦も無く炊いてくれる。
栗を塩とお酒で炊いただけのシンプルな炊き込みご飯だがこれを食べないと秋が来た気がしない。
昨日もお茶碗二膳お代わりしてしっかりと堪能した。
さすがにお腹いっぱいになったのでごちそうさまをしてほうじ茶を飲んだ。
父もよく食べたと言って膨れたお腹をさすっていた。
ちゃんちゃん焼きが少し残ったのでお土産に包んでもらった。
栗ご飯もおにぎりにしてもらったので今日の晩御飯は秋の膳二日目である。
普段作らない料理を口にできるので実家ご飯はありがたいなと思った。
何より今日はレンジでチンするだけでご飯ができるので助かる。
さぁてそろそろ晩御飯にするかな。
今日のお酒は純米酒のぬる燗で決まり。
今晩も美味しくいただきます。