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ナッツのような香り

 昨日は梅雨の中休みで晴天の一日。

 気温がグングン上がりお昼前には三十度を悠々と超えた。

 車を少し離れて用事を済ませて戻ってくると車内が灼熱になっていた。

 ハンドルを握ると思わず熱っと思うくらい。

 カーエアコンの調子があまり良くないのでなかなか冷えないのも暑さに拍車をかけた。

 最終的に気温は三十四度まで上がったそうでこの時期にしてはかなりの高温。
 
 汗だくになりながら用事を一つ一つ済ませて帰宅すると近所の森からジーワジワジワというセミの鳴き声が聞こえてきた。

 おお、今年初だなと思ったがいくらなんでも早すぎる気がして季節感が少しだけ前倒しされた気がした。

 そういえばアメリカでは素数ゼミと言って221年ぶりにセミが大量に羽化しているというのをテレビで見かけたばかりである。

 その数なんと一兆匹と言うとてつもない数で庭木や家の壁にびっしりとセミが張り付いている姿は集合恐怖症の私はゾクゾクと鳥肌が立った。

 私の自宅の庭にも大量のセミの幼虫が眠っており夏を迎えると抜け殻が木に残っていることがよくある。

 住んでいるのが田舎なのでセミの大音声はかなりのもので苦手な人には辛い季節だと思う。

 私は慣れっこなのでどうと言う事はないが、至近距離でアブラゼミに鳴かれるとうるせぇなと思ってしまう。

 セミの中ではヒグラシが一番好きである。
 
 太陽が西に傾いてほんの少し気温が下がった頃にカナカナカナと遠くから聞こえてくるとああ、今日も一日が終わるなと言う実感がわいてきて悪くない。

 そういえばセミは食用にもなるらしい。

 成虫はもちろん幼虫や羽化したてのまだ羽が乾いていない状態のセミを油で揚げるのが一般的な調理法なのだそうである。

 生で食べるのは寄生虫がいるリスクがあるので絶対に避けた方がいいそうで、味はナッツに近いらしい。

 セミの食事は木の樹液を吸う事であり土臭さや苦みが少なくて昆虫食ビギナーにもお勧めの食材なのだそうだ。

 私はコオロギやイナゴ、ハチ、ザザ虫は口にしたことがあるので昆虫食に抵抗はないがなぜかセミは未食である。

 というのもセミは普通の市場には流通しておらず自力で捕まえるのが一般的だからだ。

 子どもの頃は虫取り網でセミを追いかけたものだが、この歳になってそれをするのは少々抵抗がある。

 少し気をつける事があるとすればセミはエビやロブスターのような甲殻類の親戚関係にあるそうで、甲殻類アレルギーのある人は食べない方が無難であるという事だ。

 とまあ延々と昆虫食の話をしてしまったが、中にはうへぇ気持ち悪いと嫌悪感を抱いた方もいらっしゃったら申し訳ない。

 セミはエビの仲間と思えば案外イケるんじゃないかなと思うがどうでしょうか?

 名前も陸エビとか何とか耳障りのいいものに変えたらまたイメージも変わるような気がする。

 そんな話をつらつらと書きながら昨日の晩御飯のお話しを。
  
 ああ、いたって普通のメニューなのでご安心を。

 豚のロース肉を細切りにする。

 玉ねぎを細切りに。

 フライパンに油を敷いて豚肉を炒める。

 ある程度火が通ったら玉ねぎを投入。

 玉ねぎが透き通ってきたらケチャップ、ウスターソース、赤ワイン、砂糖で味付けして軽く煮詰める。

 ワインのアルコールが飛んだらポークチョップの出来上がり。

 副菜はキクラゲ入りのちぎり天をトースターでこんがりと焼く。

 もう一品は安定定番の冷ややっこ。

 豆腐は絹ごしがいい。

 食べる直前まで冷蔵庫で冷やして出てきた水分を切ってゆかりふりかけを振りかける。

 ぬか漬けは定番のきゅうり。

 よし、こんなものかなと思って妻と一緒にいただきます。
 
 昨日も休肝日にした自分を褒めてあげる。

 まずはちぎり天をかじる。

 きくらげのコリコリした食感が心地いい。

 味は普通の魚のすり身を揚げたもの。

 口開けの料理はこういう物がいいなと思いながらパクリ。

 次に冷ややっこを。

 冷蔵庫でよく冷やしたので涼しげでいい。

 ゆかりふりかけの塩気と酸味がよく合っていた。

 昨日は本当に暑かったのでこういう喉越しで食べるものはありがたい。

 妻も冷たくて美味しっと言いながら箸を伸ばしていた。

 それからメインのポークチョップを食べる。

 細切りにした豚肉にソースが良く絡んでご飯が進む味。

 ケチャップとソースの組み合わせはいかにもザ・洋食と言う感じで好ましかった。

 軽く盛ったご飯と一緒に食べながら合間にぬか漬けもつまむ。

 ぬか漬けは二日漬けたので丁度いい漬かり具合でなかなか良かった。

 ゆっくりと時間をかけて食べて腹八分目でご馳走様。

 後片付けをサクッとしてお風呂に入って早めに就寝。

 それにしてもアメリカの素数ゼミ、ものすごい数ですよね。

 甲殻類アレルギーの無い人向けに食用として売り出したら一財産築けるかもしれないですね。

 あ、ちょっと調べたらもう売っている人がいるみたいです。

 カラリと油で揚げてタコスの具にしたりしている記事がありました。

 ビジネスチャンスは思わぬところに転がっていますなぁ。

 素数ゼミの説明はちょっとややこしいので各自で調べてくださいませ。

 以上、椎名誠氏の名著全日本食えばわかる図鑑に登録したいセミを食べてみませんか話でした。

 とっぴんぱらりのぷぅ。

 

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