振り向いてくれないカレー。
先日から始まった煮物の出汁のリメイクリレー。
牛丼から肉豆腐を経ての肉じゃがと続いて茄子とジャガイモの煮物にアレンジした。
ここまでで四連コンボであり食費の節約に大いに一役買ってくれた。
昨日の晩御飯は大定番のカレーに変身させることにした。
まずは豚肉を細かく切る。
入れる野菜はジャガイモと玉ねぎは当然としてそこにキャベツとニンニクを加える。
フライパンに油を敷いてニンニクを入れて香りを引きだす。
そこに豚肉を入れて軽く炒める。
火が通ったら野菜を加えてさらに炒める。
全体がしんなりしたらウマウマの出汁の鍋に入れて火を点ける。
煮込んでいくうちにアクがドンドコ出るので丁寧にすくう。
三十分くらい煮込んだら火を止めて味を見る。
うん?濃いか…と思ったが気にせずカレールーを投入。
よく溶かして再び味見をするとしょっぱくてこれを食べたら高血圧で倒れちゃうよと思った。
しまった出汁の味が強すぎたかと思って急遽カレー救出隊が結成された。
まあ、隊長しかいないこじんまりとした組織なのだが。
とりあえず頭に浮かんだのは水で薄めるというアイデアだったがそうするとカレーがシャバシャバになるのでちょっと面白くない。
甘みが弱いように感じたのでカレーにはハチミツでしょうと手に取りかけたが確かハチミツを入れるとトロミが失われるという話を覚えていたのでこのアイデアは却下。
甘さをダイレクトに加えるために砂糖を大匙一杯入れてみた。
すると思っていた以上に味にまとまりが出ていい方向に向かっているような気がした。
それでもまだ味にトゲがあったので牛乳を少しづつ入れてみた。
よく混ぜて味見をすると大分マシになっていた。
後はゆっくり冷ましておこうと思ってカレーを休ませた。
しばらくして晩御飯の時間になったので再び火を入れた。
恐る恐る味見をしてみると美味くはないがどうにか食べられる味になっていた。
副菜はトマトと紫玉ねぎのサラダを拵えた。
汁物は鶏ガラスープにごま油を垂らして卵を落とした中華風かき玉汁。
カレーをよそってから妻にご飯できたよと声をかける。
お腹すいたーと居間にやってきた妻に何食わぬ顔をしてカレーを差し出した。
いただきまーすと言って一口頬張った後に表情が曇ったのを見逃さなかった。
やっぱり美味しくない?と言って私はしどろもどろで失敗の原因を述べた。
一通りいい訳が終わると妻はまあこれはこれでと言いながらモグモグと食べてくれた。
私も自分の不始末だからと思って一生懸命食べた。
いつもなら妻からお代わりの声が上がるのだが昨日はそれも無しだった。
何となく消化不良の晩御飯が終わってドッと疲れた。
それなりに料理はしてきたつもりだがまさかカレーに足元をすくわれるとは思ってもみなかった。
何より四日間育ててきた黄金の出汁を無駄にしてしまいそうなのが悔しい。
私は料理の果てしない頂きのふもとにも立っていなかったのかもしれない。
楽しく頂きますができるように精進あるのみだ。
何のこれしき、負けないぞぅ。