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ノーヘル運転はダメじゃけぇ。

 今月から自転車のヘルメット装着が努力目標になった。
 
 日中に運転していると確かにヘルメットを被って自転車に乗っている人が増えた気がする。

 どちらかというと年配の男性の方が装着率が高く、女性はお子さんを乗せた人がよく着けている。

 私の育った町では小学三年生まで自転車に乗ることは禁止されていた。

 四年生の春に小学校で警察の人を招いて安全講習が行われその後にテストがあった。

 テストは筆記試験と実技だった。

 筆記試験は楽勝だったが実技試験はなかなかハードルが高かった。
 
 特に手信号を覚えるのが大変で片手運転でサインを出すのは結構苦労した。

 テストは毎月一度しか開かれないのでみんな必死だった。

 私はどんくさかったので合格への道が遠かった。

 何だかんだで三か月かけてどうにか受かった時は有頂天になった。

 さっそく父にねだって六段変速のギア付きの自転車を買ってもらった。

 その時に学校指定のヘルメットも一緒に購入した。

 自転車という移動手段を手に入れた少年たちは当然ながら遠乗りをするようになる。

 子どもたちで行く事の禁止されていた隣町まで出かけるとそれだけで大冒険をしている気になった。

 目的地は当時爆発的に流行っていたゲームセンターでなけなしのお金でダライアスや戦場の狼を夢中になってプレイしたものである、

 学校の規則で外で遊んでいいのは五時までだったのでそれは律儀に守っていた。
 
 安物のデジタル時計を見ながら帰宅するまで必死でペダルをこいだものである。

 中学生になると行動半径がぐっと広まった。

 どこに行くにも自転車が基本だったがヘルメットは学校指定のものを被っていた。

 不良の子は自転車のハンドルをカマキリ型に改造してオラオラと威嚇しながら近所をうろうろするので大変に迷惑だったものである。

 当然ヘルメットなんか被らないのでずるいなぁと思っていた。

 高校時代は徒歩圏内の学校に行ったのだが歩くのが面倒なので途中まで自転車で行って近くのスーパーの駐輪所に自転車を隠して通学していた。

 その頃はヘルメットは髪型が崩れるので被っていなかった。

 安全よりも色気を優先するのは自意識過剰な青少年のあるあるだと思う。

 やがて車に乗るようになってからは自転車との縁は切れてしまった。

 最後に乗ったのは二十代の頃なのでもう四半世紀前になる。

 安全に乗れる自信が無いのでヘルメットとのお付き合いはないと思う。

 たまに人ごみを縫うように爆走する自転車を見ると危ないなぁと感じる。

 歩行者と自転車が共存できる社会になりますようにと祈るばかりである。

 まずはヘルメット着用が当たり前の世の中になりますように。

 そんな事を考えながら昨日の晩御飯を思い出してみる。

 昨日は簡単に買い物をした。

 帰宅して手洗いとうがいをして晩御飯づくり。

 まずは豚のロース肉を筋切りして細く切り分ける。

 塩コショウで下味をつけて片栗粉をはたいておく。

 フライパンに油を敷いて熱する。

 そこにお肉を入れてしっかり火を通していく。

 醤油、酒、砂糖、酢を加えて炒める。

 とろみがついたら豚肉の甘酢焼きの出来上がり。

 副菜は粉もの料理。

 ねぎを小口にザクザクと刻む。

 ボウルに小麦粉をバサバサと入れて塩をひとつまみ。

 水を三回に分けて少しづつ加えてシャバシャバの緩さにとく。

 そこにねぎを加えてよく混ぜる。

 後はフライパンで両面しっかりと焼く。

 仕上げに醤油をぐるっと一周回しかけて鰹節を振ったらねぎ焼きの完成。

 汁物は根深汁で決まり。
 
 オッケー、こんなものでしょうと言いながら妻を呼ぶ。
 
 昨日のお酒はレモンサワー。

 氷をぎちぎちに詰めてサワーの素と炭酸水を混ぜる。

 ではいただきます。

 チーンとグラスを合わせてグウッと飲む。

 氷がカラカラと音を立てる。

 ク~ッ、キンキンに冷えたお酒が美味しい季節になってきたなぁと満足する。

 ではつまみにねぎ焼きを食べる。

 具がねぎだけのシンプルな焼きものだがさっぱりしていい。

 醤油と鰹節の味付けが大正解で箸が進む。

 妻はねぎが好きなのでパクパクと食べていた。

 美味しそうに食べてもらえるのが一番幸せだなぁと思う。

 ついニヤニヤしてしまう。
 
 何笑っているの?と聞かれるが気恥ずかしいので別に~ととぼける。

 次にメインの豚肉を食べる。
 
 甘酸っぱいタレに豚肉のコクのある脂が馴染んでなかなかいける。

 これはお酒に合うなぁといいつつ二杯目のレモンサワーをグビリ。

 合い間に根深汁を挟んでねぎ焼きをつつく。

 ふたりで元気よく食べてあっと言う間に完食。

 洗い物をした後でデザートにみたらし団子を食べてしまった。

 ああ、夏までにTシャツが似合う男になりたいと思いつつ毎晩飲んだくれてしまうのであった。

 まだ間に合うかな?

 目指せ、吉田栄作!

 ちょっと古いかしら。

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