優先順位主義は諸刃の剣か?

私の周りの評価されている人たちは、やはり優先順位の付け方が適切であるように見受けられる。その人たちの多くは、学生時代から成績に対する努力の優先順位も高かったのだろう。優先順位と実行力。頭の良さもあるのだろうと思うが、むしろ観察から見受けられるのは、優先順位の低いものの適切な(容赦ない)切り捨てである。

恩師の一人が好んだ名言の一つに、アルフレッド・マーシャルの「冷静な頭脳と、しかし温かな心をもって」という言葉がある。この直訳風の訳文の語感も印象的だが、誰の翻訳によるものかはわからない。しかしながら簡潔な、そして的を射たいい言葉である。

優先順位は、日々の業務では絶えず判断することが求められる。その一方で、倫理的、哲学的意味における「優先順位」は、かなり難しい問題でもある。マイケル・サンデル氏が、哲学的問題で議論を沸かせる講義を行うことは最近有名であるが、そういう問題(いわゆるトロッコ問題。)に行きつく。

自分自身に関することである限り、優先順位は冷静な頭脳でもって判断し、実行力を発揮すべきだろう。しかし少しでも他者が関係するのであれば、倫理的判断と温かい心が必要になる。ただ残念ながらよく見かけるのは、優先順位の低いものを切り捨てるだけの、相対的優先順位付け行為(なんとかカーストとか、マウントを取るとかいう現象)である。

「評価の高い人」をどのように見習うか。凡人の知性も日々試されている。

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