【web小説感想】『タラッサの歌姫―巫女ですが偽装結婚しました―』著:ムツキ
皆さまごきげんよう。夏の読書感想文企画第2弾でございます。企画概要は第1弾の冒頭をご覧くださいませ。
第2弾はムツキさんの『タラッサの歌姫―巫女ですが偽装結婚しました― 』です。ご参加ありがとうございます。
感想に入る前に一言。いっぱいちゅき🥰なお話でした。控えめに言って最高。語ります。
あらすじと作品傾向
<作品傾向>
恋愛/冒険/海洋ロマン/古代ギリシャ風/女主人公/長編
感想
本作は恋愛×冒険をテーマにした長編小説です。企画概要にあるとおり、2万字相当部分の第2章まで拝読させていただきました。
作者さんからは『率直な感想をお願いします!』とのことでしたので、ゴリゴリと感想を書いていきたいと思います!
前述しましたとおり、こちらの作品、めちゃくちゃ好みです。
主人公のニアがとにかくかわいいんですよね。
神に愛された巫女であり、海の生き物と心を通わせることのできる少女、ニア。彼女はその生い立ちからか、若干天然気味というか、良くも悪くも純粋な言動が目立ちます。これがニアの欠点であり、かわいいところでもあるのです。
彼女を取り巻く人々も素晴らしく良いキャラクターをしていて、先輩巫女のドーラ婆ちゃんや、神官長のネストルさんはめちゃくちゃに推せます。この二人の飴と鞭がちょうどいい塩梅なんですよ。
ニアが多少自分勝手な行動をしても、ちゃんとドーラが厳し~く叱ってくれる。そのおかげで、読者はストレスなく物語を読むことができます。ドーラに対しても「ちょっと厳しすぎるのでは?」と思うことがあるのですが、ここで緩衝材となってくれるのがネストル神官長。彼は優しいお父さん(またはお兄さん)ポジションで、穏やかにニアを見守ってくれます。この二人のおかげで、ニアののびのびとした性格が形成されたのか~と非常にほのぼのできる関係性でした。
また、メインカップリングの関係性も良いんですよね~。神殿の巫女であるニアと、神を信じない王子キリル。
二人の出会いは、キリルが「託宣に金払うとかありえん。そもそも占いなんて信じられない」と部下に漏らしているのをニアが目撃して「ハァ~~? 何コイツ」とブチ切れるシーンから始まります。(※セリフは意訳しています。)これをきっかけに、どういうわけか二人は運命の糸に導かれていくのです。
ニアの行動に振り回されたり、時には鋭くツッコミをいれてくれたりするキリル王子。彼の存在が読者にとって結構大きいんじゃないかなあと感じました。
というのも、このお話、私はどちらかというとニアよりもキリルに感情移入をして読んでいました。古代ギリシャをモチーフにした世界観なので、作中に登場する人々のほとんどが神の託宣ありきで生きています。しかし、現代人である私の感性は不信心なキリルに近いのです。彼がニアの起こす奇跡に対して、私(読者)に寄り添った反応をしてくれるのが非常にありがたかったです。
しかも、ずぶ濡れのニアに自分が着ている羽織物をさりげなく貸してくれたり、ニアが危険な目に合うかもというシーンで庇ってくれたりと、胸キュン行動をしっかりとこなしてくれる素晴らしい人。ここにちょっと俺様属性が入ってくるものですから、恋愛小説のヒーローとして非常に好みです。
ここまでキャラクターの話をしましたが、本作は情景描写も素晴らしく美しいと感じました。中でも好きなのは以下の描写。
私は海という題材がとても好きです。優しくもあり、荒々しくもある海。そんな『海』を流麗な文章で丁寧に描写してくれる作品でした。
終わりに
序章から第1章は冒険色が強く、恋愛要素が混じってくるのは第2章からになります。第2章では、とあるハプニングによって、ニアとキリルが偽装結婚することに。正反対ともいえる二人が、冒険や恋愛をとおしてその関係性と人間性をどのように変えていくのか、今後がとても楽しみです。企画が終わってゆっくりできるようになったら、ぜひ続きも読ませていただきますね。
企画に参加してくださったムツキ様、素敵な作品をありがとうございました。本作は以下のリンクから読むことができます。『小説家になろう』のアカウントを持っている方も、持っていない方もぜひ読んでみてくださいませ。
タラッサの歌姫―巫女ですが偽装結婚しました― (syosetu.com)
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