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あの先輩
私は高校生の頃、部活に入っていなかった。
けれどある日、美術の授業中に先生から「美術部に入らないか?」と声を掛けられた。
その日は「バイトで忙しい」と断ったが、美術の授業があるたびに先生は私に声を掛けてくれた。
それから私は押しに弱いのもあって、なんとなく美術部に入ったのだけれど、バイトがあったり、弾き語りのライブをしたり、ライブを見にいったりとまあ「忙しい」と言って部活に顔を出したのは片手で数えるくらいだった。
私は絵を描くのが好きだったし興味はあったけど、描きたいときに描きたかったのだ。
もともと「やらなきゃいけない」というものが苦手で、「やりたい」と思うまでやらないタイプなわたしは、放課後残って絵を描くなんて出来ないのであった。
幽霊部員をしていた美術部には一個上の先輩が1人いて、何度か会ったことがある。
すごく可愛い女の先輩だった。
先輩のことが好きな私は、先輩が卒業するとき、幽霊部員のくせにのこのこと部員が集まる美術室に行って、先輩にお手紙を渡しに行った。
そのとき先輩に「あなたの描く絵、すごく好きなの。センスあるなって思って」なんて言葉をいただいてしまった。嬉しかった。
あの先輩、元気かなあ。と時々思い出す。
魅力的な人ってそうは居ない。あの時の私は先輩に魅了されていた。
そんな私は今、時々絵を描いたり、描いてなかったりしてる。
相変わらずの生活だ。
私は絵を描くことで食べていこうとは思っていないけれど、
あの先輩はどうか絵を描くことで生活出来て欲しいなと思う。
もう二度と会うことはないけれど。
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