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奈良に行った話

10月はものすごく活動的だった。
その中でも燦然と輝く、ある日の20416歩。

奈良美術館にエドワード・ゴーリー展を観に行ったのだ。


推しが「好きなゆるキャラは?」と聞かれて「せんとくん」と答えていましてね。



近鉄奈良駅から5分ほどのtoi印食店さんの入口で事前予約をして開店までの1時間で東大寺大仏殿まで行って来いという完璧な計画を立てた。

…つもりだったのだけれども。

きちんとマップ先生に徒歩でのナビ設定をすればよかったのに、わたしは単純に大通りに出てまっすぐ博物館の方まで行って東大寺参道にクイッと曲がってほーら大仏殿が目の前に、的に考えてしまった。


近そうだったのにな。

全然まっすぐ行ってクイッじゃなかった。

道はビミョーにくねっているし鹿はかわいいし地下道を通らないといけないしキャリーを引っ張った外国人は縦横無尽に歩いているし修学旅行生は絶対列の途中で抜かせてくれないし鹿はかわいいし禁止されてるのにグループで記念写真を撮る某国人は後を立たないしそのたびに小さくチッと舌打ちをして迂回しないといけないし鹿はかわいいしかわいいけどフンはあちこちに落ちていた。


あっちにもこっちにもいたのになぜ金網越しに撮ったのか。


それでも10年以上ぶりの大仏殿はやっぱりとてもよかった。
とはいえtoi印食店まで戻らなくてはいけないのでそんなにのんびりもできず後ろ髪ひかれつつ大仏さんに別れを告げた。


大仏にピント合わず、でもそれを確認する暇もなく。


発情期に入ったところらしく、10月の雄鹿はたいそうアグレッシブだった。

あっちでもこっちでもバオーーバオーーバオーバオーーと鹿の声が響いていた。
一頭が鳴くと負けじと少し離れたところの鹿も鳴く。
さらに、鹿せんべいをケチった男子修学旅行生が鹿に追いかけられてギャーギャー騒ぎ、テンション高めの女子修学旅行生が鹿のうんこ踏んだー!キャハハハハ!!と笑い、引率の先生は声を涸らして「集合時間は守ること!!」と叫んでいた。
そこにあちこちからの観光客の言語が混じり、阿鼻叫喚の東大寺参道をわたしは競歩のスピードで歩いた。

でもその頑張りが報われて、わたしは開店時間5分前にはきちんと店の前で待ち、オープンと同時に席に着くことができたのだった。


toi印食店さんの全部セット。

おいしいカレーを食べ、その後はじっくりと大好きなエドワード・ゴーリーの絵を観て、のんびりならまち近辺を散策して無事わたしの奈良は幕を閉じた。
最高だった。
奈良最高。
やっぱいい。

ただ。
あの往復競歩のせいで、その後じわじわと膝が痛くなり、ひと月後の現在また湿布を貼っているということは整形外科の先生にはまだ知らせていない。
湿布は向かいの内科で処方してもらった。
「えー、整形行かなくていいのォー?」と内科の元気はつらつ先生に言われたが、まだそこまで痛くないこの調子なら多分行かなくて大丈夫わたしにはわかる!と言い切って処方箋だけもらった。


ああまた奈良行きてえなあ。
鹿の発情期じゃない時がいいなあ。

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