図工に正解は・・・
図工専科が配置されている学校の多くでは、中学年、つまり3年生から図工専科による図工室での授業が行われると思います。
今の勤務校でも、3年生から受け持っているのですが、
ここ数年、そんな3年生に【図工】というものをわかりやすく感じてもらうために、最初に行っている題材と、伝えていることについて書いていきたいと思います。
まず、全員に白い紙を渡し、
教師と一緒に指示通りに切っていきます。
1:どこでもいいので角を一つ切り落とす
2:どこでもいいので辺をくねくね切る
3:どこでもいいので角をカクカク切り落とす
4:だいたい面積が半分程度になるように切る
5:好きな方に名前を書く
という5つの指示を全員で同時に行い、出来上がったら、一斉に掲げ、みんなで見合います。
そうすると、口々に、
「全然ちがう!」「魚みたい!」「ちょっと似ている!」など、勝手に伝え合いが始まります。
図工の正解とは
ある程度伝え合いが落ち着いたら、こどもの活動を言語化、価値化します。
「同じ形を、指示通りに切ったけど、みんなバラバラになったね。これはとても図工らしいと先生は感じるんだよ。」と伝えます。
そうすると、たいがい、勘のいい子が「図工には正解がないんだね!」
と言うのですが、これは半分合っていて半分間違っています。
「いや、図工には、正解がないんじゃないんだよ。正解がなかったら何をやってもいいことになってしまう。図工には、正解がないんじゃなくて、正解がたくさんあるんだよ。」
「同じテーマや同じ材料を使っても、みんなのなかの好きな物や、経験の違いが自然と現れて、たくさんの正解ができるのが図工なんだと思うんだ」
「先生は、みんなの色々な正解が見たい」
と、どんな学級でも、どんな学校でも伝えるようにしています。
ただし・・
ただし、色々な正解と言っても、なんでもありではない、合わない正解があるということも、高学年あたりで伝えるようにしています。
算数を例に黒板にこんなことを書きます。
算数:テストでは、式も答えも決まっている。
図工:作品では、式(問題の解き方:つまり作り方)も、答え(仕上がり)も自分で決める。
ここで注釈を伝えます。
「ただし、6年生になって、どんな式でもいいからと言われて、
『1+1』という式を選んで、解いて、『100点だ!』と言っている友達がいたら、どうだろう?」
そう聞くと、たいていの子供は、「ダサい」「かっこわるい」と言います。
つまり、その年齢や、その子のレベルなどに合った正解を目指すことが大事だよ、と伝えます。
正解がたくさんあることは、なんでもありではないのです。
ちなみに、
最初の写真の、色々な形の紙は、「へんな定規」と呼んで、
このように発展していきます。
鉛筆でなぞり、写す
クレヨンでなぞる
絵の具の混色で、たくさんの色で埋めていく
図工は、正解がたくさんあって、カラフルで、たのしい。
そんな第一印象になってくれたら嬉しいです。