図工とアート

図工教員 日々の図工の授業から感じたことを起点に、アートやデザインに関わる話題、教育の話題などをつれづれと書いていきます。

図工とアート

図工教員 日々の図工の授業から感じたことを起点に、アートやデザインに関わる話題、教育の話題などをつれづれと書いていきます。

最近の記事

これは「作品」ではなく「時間」です。

今回は、作品返却と、それに向けての決意表明。 1学期も終わり、作品返却も行われていると思いますが、 ぼくは(特に高学年)作品を返却するときに、このような言葉を添える時があります。 いま返却したのは、「作品」ではなく「時間」です すると、大体の児童は、?な表情。 そこで説明を付け加えます。 「いま、手元にある作品は、急にできたわけではなく、みなさんが、4時間なり6時間なりかけて、できあがったものです。いわば、あなた方の時間の結晶がそこにあるとも言えます。」 これで

    • 紙バンドサウルス

      久しぶりの更新です。運用の仕方を迷っていたのですが、とりあえず書き始めることにしました。 そして今回は題材のお話 【紙バンドサウルス】 その名の通り、紙バンドを使った、恐竜の作品です。 以前も、紙バンドを使った題材をやったこともあるのですが、今回、恐竜というテーマが紙バンドという材料と児童の興味に合ったな、という実感があったので、ここに記録します。 まずは、この題材のめあてはこちら ・知識技能:紙バンドの良さや特徴を知り、それを生かして立体的な恐竜を作ることができ

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      • 名札はデザインの入口

        名札の形式ぼくは、授業の中で、特定の名札のフォーマットを用意していません。 では、どうしているか。 子供自身に作ってもらうようにしています。 名札に使う紙は、図工室に常に端切れがあるので、基本的にはそれを使うように伝えています。 また、 ・作者、作品名がわかること ・作品に合う色や形を考えること を基本的な条件にしています。 たとえば、こんな感じ。 (作者名は、個人がわかってしまうので、マスキングしています。) 少しわかりづらいですが、スプレーを使った同じ題材です

        • 「模倣と創造」によせて

          今回は、図工やっていく上で読んでよかった本について。 【模倣と創造】 佐宗邦威 著別の学校の図工教員に教えてもらった本なのですが、自分が図工を教えていく中で考えていた哲学の背を推してくれるような、とても刺さる内容でした。 大きな構成としては ・模倣 ・想像 ・創造 という3章に分かれていて、 【創造力は生まれ持ったセンスだ】という思いこみの人々に向けて、そうではないということと、 ではどうやって創造力を伸ばしていくのかが、イラストとともに、丁寧に書かれています。

          学級・専科経営こそ、デザイン的な思考を

          コグニティブデザイン 最近、こんな動画を見ました。 人の認知のクセを利用して、人の心地よい行動を促すデザイン(コグニティブデザイン)に関する講義形式の動画です。 この中で、研究室にシャインマスカットが贈られた、という話がありました。 うれしいことなのですが、房のまま冷蔵庫に保管したので、 「最初に手を付けづらい」⇒「牽制しあう」⇒「シャインマスカット劣化」⇒「おいしくない状態のシャインマスカットをみんなで食べる」という問題が自然発生してしまった、という話。 この

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          図工に正解は・・・

          図工専科が配置されている学校の多くでは、中学年、つまり3年生から図工専科による図工室での授業が行われると思います。 今の勤務校でも、3年生から受け持っているのですが、 ここ数年、そんな3年生に【図工】というものをわかりやすく感じてもらうために、最初に行っている題材と、伝えていることについて書いていきたいと思います。 まず、全員に白い紙を渡し、 教師と一緒に指示通りに切っていきます。 1:どこでもいいので角を一つ切り落とす 2:どこでもいいので辺をくねくね切る 3:どこ

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          好きな美術作品と目指したい図工

          ぼくは仕事柄、休日に美術館に行ったり、写真展に行ったりするのですが、今日はそんななかで出会った大好きな美術作品の話。 自分の中のひとつのターニングポイントともいえるような鑑賞体験。 世界中の子と友達になれる その作品は松井冬子さんの『世界中の子と友達になれる』です。 この作品にはじめて出会ったのは、2011年の横浜美術館。松井冬子さんの個展でした。 180cm×230cmの大きな作品。 この大きさも相まって、作品の世界に吸い込まれるようでずっとこの作品の前に立ってい

          好きな美術作品と目指したい図工

          春におこなっている図工の題材

          たまには、題材の紹介もしてみようか、と思います。 ここ数年、高学年でおこなっているのですが、 【春の絵】を描く題材です。 春をテーマに描くことは、教科書にも載っているので、ここでことさらに紹介するほど特殊なものでもないのですが、 この題材では、まず最初に鑑賞をおこなっています。 鑑賞のやりかた まず、6枚の春に関する絵を見るところからスタートします。 有名なもの、無名なもの、具象的なもの、抽象的なもの、色に特徴があるもの、モノクロのもの を意図的に選んで、見せ、第

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          図工のめあてとふりかえり

          授業のなかで、大切だと言われる「めあて」と「ふりかえり」 ぼくはいろいろ考えた結果、ちょっとだけ特殊な形でおこなっているので、少しご紹介。 めあて ぼくは、こちらの記事でも書きましたが、黒板には、いわゆる「めあて」ではなく、成績に整合した3つの視点を書いています。 例えば 電動糸ノコギリを扱った題材では、 ・知識技能:電動糸ノコギリの安全な扱い方を知り、それをいかして、作品を作る ・思考判断表現:無作為に切った形から、作りたいものをイメージして、組み合わせ方を考える

          図工のめあてとふりかえり

          鑑賞という言葉をやめよう

          図工の活動を、ものすごく大きく分けると、「表現」と「鑑賞」になります。 「表現」はいわゆる「絵」や「工作」。 「鑑賞」は「見る活動」というイメージなのではないでしょうか。 今回はその「鑑賞」への思い。 「鑑賞」と聞いて、まず、どんな印象を持ったでしょうか。 先に書いたように、「見る活動」なのですが、どことなく堅苦しいというか、頭の中に美術作品や美術館がよぎった方もいるのではないでしょうか。 小学校の学習指導要領のなかで、「鑑賞」をおこなうことで子供にどんな力をつけてほ

          鑑賞という言葉をやめよう

          図工にいい(と思う)趣味

          子供も教員も短い春休み。趣味に時間を割いている方も多いのでは、と思います。今回はそんな趣味の話。 自分の趣味はカメラなのですが、とても図工と親和性が高いなあ、と思うので、その理由をつらつらと書いていきたいと思います。 自分がカメラを始めて、とても良かったなあ、と思った第一のことは、 「眼が変わったこと」 もちろん、眼球を入れ替えた、というわけではないです。 眼というのは比喩で、「世界の見方が変わった」ということ。 カメラをはじめて、色々なものに興味がでるようになりまし

          図工にいい(と思う)趣味

          ゲーム脳??受験脳??

          「ゲーム脳」という言葉は、ぼくが中学とか高校とかのときによくメディアで取り上げられていた印象なのですが、 その当時、「ゲーム脳」という言葉は、簡単に言うと「ゲームをするとバカになる」という意味して使われていました。 でも、最近は「ゲームするとボケが改善する」や「ゲームをしたほうが、脳の処理能力が高くなる」というような話題もでてきて、どっちが正しいのかよくわからない、という印象の言葉になっているかもな、と思っています。 そんなよくわからない「ゲーム脳」 これを図工の現場の

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          人生最後の図工。学習率。

          3月も半ばになってくると、各クラスの図工の授業が終わってきます。 6年生は、小学校最後の図工、ということになりますが、中学になると図工の内容は美術という教科に変化していきます。 つまり、(ぼくのように教員にならない限り)人生最後の図工の授業ということになります。 図工と美術の違い 図工の活動内容は ・絵や立体 ・工作 ・鑑賞 ・造形遊び となり、少し専門的な言葉を使うと 「絵や立体」は自分の感じたものを言語外で表現する、いわゆるファインアート(純粋表現)的なもの

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          描くことは見ること

          図工は、色々な教科のなかでは、比較的人気な教科ではありますが、苦手な子もそれなりに多くいます。 そのような苦手な子の多くは、意外に思われる方もいるかもしれませんが「描けない」ではなく、「見れていない」です。 描くのが苦手な人は、気づいている要素が少ないので、似たように描けない。そして、思い込みが邪魔をして描けないということがあります。 例えばペットボトルを描くときに、気付きが少なく思い込みが強いと、ふわっとしたニュアンスでしか描けなくなります。 フタは丸い、四角いペッ

          描くことは見ること

          題材主義への不安

          最近は減ってはきましたが、図工界隈で、根深く残る「題材主義」について話をしたいと思います。 「題材主義」とは、児童にどんな作品を作らせるか、他の学校の良さそうな題材事例を自校の学校で取り入れ、授業を行うことを主にしていることです。 ただ、ぼくが勝手に命名しているだけですが・・・。 「良い題材事例を取り入れる」こう聞くと、いいことのように聞こえますが、もう少し踏み込んで考えてみたいです。 この「“良い”題材事例」とは、誰にとって“良い”のでしょうか。 子供にとって? 大

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          「こだわる」をつたえるために

          最近の授業でこんな動画の一部を見せた。 どんなクラスに見せたかというと 活動中に、図工とは関係のない話が止まらなくなってしまう子がいるクラスに対して。 大前提として ぼくは「だまって活動する」とか「おしゃべり禁止」などのルールは設けていません。 話の中でアイディアが出てくることもあるし、何より自分をだす、という環境として、そのようなルール設定は合わないと考えるからです。 ただ、あまりにも話しすぎて制作が進んでいない子供には声をかけます。 常套句として「口よりも手を

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