アカデミー賞を受賞したトニー賞作品
ポップ・ミュージシャンの日本の聖地が武道館だとしたら、クラシックはサントリーホール、演劇・ミュージカルはやはり帝劇でしょう。
そんな帝国劇場は建て替えのため、2025年2月に休館します。
改めて見たらクロージング作品は、旧ジャニーズ勢に占拠されてるみたいで、ちょっと微妙な気持ちになりましたが、それはさておき、その作品のひとつが『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』。
TBSラジオリスナーとしては、プリンス井上が主演だし、スーさんが訳詞を担当してるし、ハロヲタとしてはかえでぃが出てるし…といろんな意味で注目の作品なのですが(※再演)、ミュージカルとしては珍しく、映画が先です。
いつの間にか顔がプラスチックになっていたニコール・キッドマンがとんでもなく美しく、アカデミー賞に初ノミネートしたのでよく覚えています。(ファンなので嬉しかった)
この映画は2001年の作品ですが、舞台化されたのは2021年。
元々ミュージカルなので、舞台化に20年もかかったのはなんでだろうと思いましたが、見事第74回トニー賞でミュージカル作品賞を受賞しています。
日々面白い原作を取り合っている映画界ですが、演劇界もそれは同じのようで、このようにアカデミー賞とトニー賞で「原作が同じ」という作品が少なくありません。
ノミネート作品まで加えるととんでもないことになるので、今回はトニー賞で作品賞を受賞した作品に絞って、アカデミー賞も受賞している作品を見ていきます!
映画が先の作品
ムーラン・ルージュ(2021/2001)
第74回アカデミー賞で8部門ノミネートし、衣装デザイン賞・美術賞の2部門で受賞しています。(前述)
ONCE ダブリンの街角で(2012/2006)
第80回アカデミー賞で歌曲賞を受賞しましたが、受賞者のマルケタ・イルグロヴァが話し始めてすぐに音楽がかかり、止められてしまいました。
これは相当なブーイングとなり、CM明けにスピーチの時間を改めて設けるという超ダサい進行になりました。
サンセット大通り(1995/1950)
第23回アカデミー賞に作品賞を含む11部門でノミネートされ、3部門で受賞。(美術監督・装置賞 白黒部門、脚本賞、作曲賞 ドラマ・コメディ部門)
ビリー・ワイルダー監督の代表作。
蜘蛛女のキス(1993/1985)
第58回アカデミー賞に4部門でノミネートされ、ウィリアム・ハートが主演男優賞を受賞しました。
これは昔舞台版を観たことがあります。
アプローズ~映画「イヴの総て」より~(1970/1950)
12部門14ノミネート(!)され、作品賞を含む6部門を受賞した名作。
主演女優賞と助演女優賞でWノミネート(つまり4人ノミネート)しているというすさまじい作品。女優を見るならコレ。
お芝居が先の作品
レ・ミゼラブル(1987/2012)
日本人大好きレミゼ!
第85回アカデミー賞で作品賞を含む7部門にノミネートされ、助演女優賞(アン・ハサウェイ)とメイクアップ&ヘアデザイン賞を受賞しました。
正直これは舞台版のほうがいいです。評価されてるのアン・ハサウェイだけだし…。
アマデウス(1981/1984)
個人的にアカデミー賞作品賞受賞作で上位に位置する『アマデウス』も舞台版の映画化。
『オッペンハイマー』は、この映画におけるモーツァルトとサリエリの関係と言われていて、『オッペンハイマー』が気に入った方は是非観てほしいです。
(長いけどもディレクターズ・カット版がおすすめ!)
10部門11ノミネートされ、作品賞を含む8部門で受賞。
(作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ賞、録音賞)
スウィーニー・トッド(1979/2007)
主演男優賞、衣装デザイン賞、美術賞の3部門でノミネートされ、美術賞を受賞。
女選びに失敗した結果、キャリアが地に落ちているジョニー・デップもこの頃は向かうところ敵なし状態だったなぁ…。
ティム・バートンとのコンビでオスカー受賞したら泣いちゃうかも。(ファンです)
キャバレー(1967/1971)
8部門を受賞したボブ・フォッシー渾身の一作。監督賞を受賞したのに作品賞を逃した数少ない作品でもあります。
和田アキ子さんの髪型はこの映画の主役であるライザ・ミネリを真似してるって知ってました?
屋根の上のバイオリン弾き(1965/1971)
日本版は森繁久彌さんと西田敏行さんが主演を務めていたことで有名(現在はミュージカルの帝王、市村正親さん)なこの作品はミュージカル上映から間もなく映画化されてます。
8部門にノミネートされ、撮影賞・音楽賞・音響賞の3部門で受賞を果たしています。
ヴァージニア・ウルフなんかこわくない(1963/1966)
第39回のアカデミー賞になんと13部門ノミネートし、5部門(女優賞、助演女優賞、撮影賞(白黒)、衣装デザイン賞(白黒)、美術賞(白黒))受賞した作品。
エリザベス・テイラーはこの作品で二度目のオスカー獲得となりました。
ローマで起った奇妙な出来事(1963/1966)
第39回アカデミー賞で編曲賞を受賞した作品で、ゴールデングローブ賞の作品賞にもノミネートされた作品ですが、この作品を知ってるひと、ほとんどいない気がする…。(私もそうでした…)
わが命つきるとも(1962/1966)
第39回アカデミー賞で、『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』を蹴落とし作品賞を受賞した作品。
作品賞のほか、監督賞・男優賞・脚色賞・撮影賞(カラー)・衣装デザイン賞(カラー)の5部門で受賞しています。
ヘンリー8世がカトリックなのに離婚して、再婚しようとするという話で(雑な説明ですが事実)、イギリスって今も昔も変わらねえな!と思います。
奇跡の人(1960/1962)
『奇跡の人』は日本でも著名なヘレン・ケラーの話です。舞台版は日本でも絶えず再演されていて、人気がとてもありますね。
たまに勘違いされてるひとがいるのですが、奇跡の人はヘレン・ケラーじゃなくサリバン先生のほうで、映画版でサリバン先生を演じたアン・バンクロフトは見事アカデミー賞主演女優賞を受賞しています。
(『ガラスの仮面』のエピソードにも出てくるヘレン・ケラーを演じたパディ・デュークも助演女優賞を獲得)
サウンド・オブ・ミュージック(1960/1965)
アカデミー賞作品賞のオールタイムベストはこの作品。
ストーリーは映画らしく都合よく改変されてるので、その辺りは現在はかなりツッコミどころ満載ではあるのですが、オープニングだけで120万点!という感じの作品です。
10部門にノミネートされ、作品賞を含む5部門で受賞しましたが、主演女優賞(ジュリー・アンドリュース)は穫れなかったことに今も納得してない。
マイ・フェア・レディ(1957/1964)
舞台版でイライザを演じたのは『サウンド・オブ・ミュージック』のジュリー・アンドリュースでしたが、映画では(ジュリー・アンドリュースに比べれば)お歌があまり上手くないオードリー・ヘップバーンになってしまいました。
その結果、映画は一定の評価を受けたものの、歌は吹き替えという謎の状態もあって、オードリーはノミネートさえされず、『メリー・ポピンズ』でノミネートされたジュリー・アンドリュースが主演女優賞を受賞することになりました。
12部門でノミネートされ、作品賞を含む8部門を受賞しています。
アンネの日記(1959年)
日本ではこぞって学校が読ませるであろう『アンネの日記』もアメリカでは禁書になっているという謎の状態になっていますが、この作品も舞台版が先のトニー賞受賞作品。
作品賞を含む8部門にノミネートされ、3部門で受賞しています。
王様と私(1952/1956)
周防監督の『シャル・ウィ・ダンス?』の劇中歌として使用されている大貫妙子が歌う"Shall we dance?"。
元はこの作品の歌で、「私」じゃなくて「王様」が歌ってます。
ケンワタナビがトニー賞でノミネートされたのも記憶に新しい本作ですが、度々再演されている人気作です。
9部門ノミネートされ、5部門で受賞しています。
バラの刺青(1951/1955)
沢尻エリカが復帰作として選んだ『欲望という名の電車』と同じテネシー・ウィリアムズの戯曲の映画化。
8部門ノミネートされ、3部門で受賞しています。
南太平洋(1950/1958)
元はジェームズ・A・ミッチェナーの小説『南太平洋物語』。
それがブロードウェイ・ミュージカルになり、ロングランとなったことを受けて映画化となったようです。
第31回のアカデミー賞で音響賞を受賞。撮影賞(カラー)と作曲賞(ミュージカル)にもノミネートされました。
ミスタア・ロバーツ(1948/1955)
第二次世界大戦を扱ったベストセラー小説の映画化。プロデューサーは『南太平洋』のプロデューサーでもありました。
ジャック・レモンがアカデミー賞で助演男優賞を受賞しました。(作品賞、音響録音賞にもノミネート)
本日のドレス:グレタ・ガーウィグ
惜しくも監督賞ノミネートを逃したグレタ・ガーウィグ。
ハズレ無しの監督業はすごいのだけれども、個人的には女優業のほうが好きなひと。ブランドはグッチ。(★★☆)
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